カテゴリー
電機メーカー

富士通ゼネラルの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

富士通ゼネラルは、ルームエアコン・ビル用エアコン・ヒートポンプ式温水暖房システムなどの空調関連機器を製造・販売する電機メーカー。1936年に八尾敬次郎が蓄音機の製造・販売を目的に設立した八歐電機を源流とし、戦後には”ゼネラル”ブランドでテレビ・クーラー・冷蔵庫などを製造。1984年に富士通と資本業務提携を締結して富士通グループ入りを果たし、翌年の1985年に現社名の富士通ゼネラルへ社名変更。1993年に世界で初めてプラズマディスプレイを商品化。1990年代には名門テレビメーカーとして君臨したが、2008年にはテレビ市場の競争激化により撤退。現在では空調機器を主力製品として事業展開。

POINT

1.富士通Gの空調機器メーカー、海外売上高比率80%以上
2.売上高・利益いずれも安定的、財務体質も自己資本比率45%と良好
3.平均年収700万円レベルで安定的、福利厚生もそこそこ充実

業績動向

✔売上高と営業利益

富士通ゼネラルの売上高は2,500億~2,800億円レベルで安定していたが、2022年に売上高3,710億円まで急成長*1。営業利益は2015年の275億円をピークに下降トレンドが続く。
*1:2022年の富士通ゼネラルは、①世界的な原材料価格の高騰を受けた販売価格の値上げ、②為替レートの円安推移による為替効果での増収効果、により売上高が急増。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー不足に陥った欧州市場で、ヒートポンプ式温水暖房システムが脚光を浴びたことも追い風に。

✔セグメント別の状況

富士通ゼネラルは空調機事業(ルームエアコン・ビル用エアコン・ヒートポンプ式温水暖房システム・サービスメンテナンスなど)、電子デバイス事業(消防システム・防災システム・外食産業向けソリューション・車載カメラ・パワーモジュールなど)、その他事業(家電リサイクル・電磁波障害コンサルティング)の3事業を有する。
富士通ゼネラルはかつて映像機器部門や家電部門を保有していたが、現在では空調機事業が売上高の約91%を稼ぐ事業構造となっている。電子デバイス事業として消防システムなどのBtoBソリューションも提供するが、売上高・利益に占める割合は大きくはない。

✔最終利益と利益率

富士通ゼネラルの純利益は30億~130億円レベルで安定的。年度により好不調が分かれるものの、純損失への転落はなく利益を着実に確保している。営業利益率は2015年頃には10%を上回っていたが*2、直近では営業利益率4%ほど。
*2:富士通ゼネラルは2015年に過去最高となる営業利益275億円を記録したが、同時期は消防無線システムのデジタル移行特需により電子デバイス事業の利益が100億円以上で推移。一過性の事情で営業利益率が高まっていた。

✔自己資本比率と純資産

富士通ゼネラルの自己資本比率は概ね45%~50%ほどで推移。電機メーカーとしてはかなりの高水準を維持している*3。純資産は増加傾向が続いており、直近の2022年には純資産1,396億円に到達。
*3:富士通ゼネラルはリーマンショック直後の世界的な景気後退局面も含めて純利益を堅実に確保。過去15年間で着実に利益を積み重ねたことで財務体質を良化させてきた経緯がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

富士通ゼネラルの平均年収は700万円前後で推移しており、大手電機メーカー未満・中堅メーカー以上の給与水準。大卒総合職なら30歳で年収550~680万円、課長職レベルで850~900万円ほど。平均年齢は42.6歳と大手電機メーカーと同水準。

✔従業員数と勤続年数

富士通ゼネラルの従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、直近の2022年には1,729人に到達。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は8,300人ほど。平均勤続年数は17年前後の水準であり、大手企業として標準的な水準。

総合評価

企業格付け:CCC

富士通グループの空調機器メーカーであり、エアコン業界では準大手の立ち位置。かつてはプラズマディスプレイなど映像機器・家電製品を主力としていたが、2000年代以降に事業再編。競争力が高かった空調機器へ集中したことで、利益を安定的に確保できる事業ポートフォリオを確立した。業績は売上高・利益いずれも安定的だが、2022年には過去最高となる売上高3,710億円に急増。為替レートの円安推移による増収効果もあるが、ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー不足に陥った欧州市場において同社のヒートポンプ式温水暖房システムの拡販が進むなどの追い風を享受。2023年には富士通が富士通ゼネラルの保有株式の売却を模索していることが報道されており、遠くない未来に富士通グループを離脱する可能性がある点には注意。親会社の富士通がデジタルソリューションに注力する状況において、シナジーの薄い空調機器メーカーである富士通ゼネラルの売却を検討するのは当然と言えば当然ではある。

就職格付け:CCC

かつて独立系の映像機器メーカーであった時代に富士通グループ入りを果たしながら、現在では業態転換によって空調機器メーカーへと生まれ変わっている独特の生い立ちの企業。海外売上高比率が80%以上を占めるグローバル空調機器メーカーであり、国内市場よりも海外市場の方が存在感は大きい。給与水準は平均年収700万円ほどと大手家電メーカーには及ばないながらも、電機メーカーとしては上位級の給与水準を確保。利益体質が安定している為、業績変動による給与水準の乱高下がない点は強みだろう。福利厚生もそこそこ充実しており、悪くない。家賃補助制度は30歳まで月3万円/月の支給と凡庸だが、年間休日128日と休みは大手電機メーカーをやや上回る。長期休暇においては9~10連休。総じて、ホワイト色が強めで安定した企業である。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!