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三井住友海上火災保険の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

MS&ADインシュアランスグループホールディングスは、損害保険事業を主力とする大手金融グループ。2010年に三井住友海上・ニッセイ同和損害保険・あいおい損害保険が合併、MS&ADインシュアランスグループに再編された。現在は三井住友海上火災保険・あいおいニッセイ同和損害保険・三井ダイレクトの3ブランドが主力。2015年にはイギリス第2位の損害保険会社のアムリンを買収、海外展開の拡大を急ぐ。

POINT

・国内三大損保の一角で業界2位、三井住友海上を筆頭ブランドとして擁する
・売上高・利益いずれも横ばいだが、業績悪化していた英アムリンの再建に目途
・総合職なら30代で年収750万~850万円ほど、福利厚生はそこそこ

業績動向

✔売上高と経常利益

MS&ADインシュアランスグループの経常収益は、4.8兆~5.5兆円レベルで横ばいが続く。経常利益についても、1,500億~3,900億円レベルで伸び悩んでいる状況*1。
*1:2015年に買収した英アムリン(参考資料)が不祥事・業績悪化を繰り返しており、同年以降は同社が業績の足枷となっている状況であった。が、2023年には英アムリンの収益構造について改善の見通しが立ち、海外事業の展開を再加速させる方針

✔セグメント別の状況

MS&ADインシュアランスグループは国内損害保険事業(三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保・三井ダイレクト損保)、国内生命保険事業(三井住友海上あいおい生命・三井住友海上プライマリー生命)、海外保険事業(海外支店・海外現地法人・海外子会社)の3事業を有する。
海外事業が利益に占める割合は8%未満、殆どの利益を日本国内で稼いでいる。2015年に英アムリンを総額6,347億円を投じて傘下に収めたが、同社が業績悪化に陥ったことで当初期待された海外事業の急拡大までには至っていない。

✔最終利益と利益率

MS&ADインシュアランスグループの純利益を概ね1,400億~2,600億円レベルで推移している。長期的な成長力は見られないが、2021年には過去最高益となる純利益2,628億円を記録*2。
*2:2021年はCOVID-19感染拡大による外出自粛で事故が激減、保険金の支払いが少なかったことで利益拡大。同年は金融マーケットの好調により、有価証券売却益や利配収入も伸長した事情がある。

✔自己資本比率と純資産

MS&ADインシュアランスグループの自己資本比率は直近で12.7%と低めだが、損害保険会社であれば健全な水準。損害保険会社は顧客から保険料を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。総資産は2020年から3兆円レベルで推移している*3。
*3:純資産が2020年に増加した理由は、①COVID-19感染拡大による業績好転、②金融マーケットの好況により当社が保有する有価証券評価額の上昇、など。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

MS&ADインシュアランスグループの平均年収は直近で1,101万円と高水準だが、これは持株会社の418名のみの平均年収。事業会社にあたる三井住友海上保険の場合、大卒総合職は30歳で年収750万~850万円ほど、課長職レベルで1,200~1,400万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

MS&ADインシュアランスグループの単体従業員数は400人ほどに過ぎず、従業員の殆どが事業会社に属している。子会社・関連会社を含めた連結従業員数は3.8万人ほどである。平均勤続年数は20年以上の高水準だが、これは持株会社の418名のみの平均勤続年数であるため参考にならない。

総合評価

企業格付け:BB

■業績動向
過去8年間は横ばい傾向が強く、成長性が薄い状況が継続。2010年に三井住友海上・ニッセイ同和損害保険・あいおい損害保険が合併した直後の経常収益4兆円弱の時代と比べれば、経常収益5兆円規模にまで拡大しているとはいえ、業績拡大ペースは緩慢。経常利益も横ばいであり、2013年頃から1,500億~3,000億円での推移が続く。

■財務体質
良好。自己資本比率は12.7%と一見すると低いが、損害保険会社としては標準的な水準。顧客から預かった保険料が貸借対照表の負債に計上されていることが自己資本比率を押し下げているに過ぎず、実際の有利子負債は7,174億円に留まっている。

■事業構造
MS&ADインシュアランスグループの実態は三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保の寄り合い所帯であり、組織構造の点で不利。2021年には初のシステム統合が始まり、2010年の合併から11年を経て改善が始まった。グローバル展開については、海外で利益の約30%以上を稼ぐ東京海上ホールディングスに対して、当社は利益の約7%程度に留まっており道半ば。

就職格付け:総合職SPEC=AAA/総合職=BBB

■給与水準
損保業界上位級。大卒総合職は30歳で年収750万~850万円ほど、課長職レベルで1,200~1,400万円ほどになる。ただし、損保業界には「新車の購入・数年おきの買替」の文化があるため、可処分所得は見た目の平均年収以下である。また、国内外200拠点以上での定期的な転勤があるため共働きには向かず、世帯年収を上げにくいのもネック。

■福利厚生
良い。総合職であれば全国転勤が伴うものの、家賃補助制度・借上げ社宅制度により住居コストを抑制可能。借上げ社宅制度は55歳まで適用されるため、恩恵を得られる期間も長め。ただし、地域総合職になると住宅補助が一気に目減りする。要するに、4~6年おきの全国転勤の対価としての住宅支援であり、全国転勤を耐える社員たちへの生活保障としての色彩が強い。

■キャリア
グローバル総合職・ワイドエリア総合職・エリア総合職・総合職SPECの4職種制。グローバル総合職は国内外の全国転勤が伴うものの給与・昇進・福利厚生が大きく厚遇され、入社後は4~6年おきのローテーションを経ながら経験を蓄積していく。ワイドエリア総合職・エリア総合職は、転勤範囲が限られるものの給与・福利厚生が大きく目減りするため注意が必要。

■総合職SPEC採用
総合職SPEC採用のみ就職格付けはAAAランクとなる。新卒初任給は総合職採用と同一であるが、配属先にアクチュアリー・グローバル・金融IT部門などの花形部門を確約。東京都内の事業所がメインの部門を確約されるため、大手損保就職のリスクである「営業ドサ周りと転勤リスク」を抑制できる点は魅力。とはいえ、大手証券会社ブレイン採用や外資系金融・コンサルは初任給600万円以上でのオファーも珍しくないため、その点では不利。

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