企業概要
関電工は、電気設備・情報通信・配電線工事などを主力とする電気設備工事会社。1944年に軍需省電力局による電気工事業整備要綱に基づき、関東配電傘下の電力工事会社として設立。1950年代には高度経済成長を追い風に発変電所・送電施設工事を拡大、1958年には東京タワーの設備工事を遂行した。1970年代からはアンテナ・情報通信工事に参入、ネパールの配電網工事に参画してグローバル化を果たした。現在では電気設備系サブコンとして業界2位、東京電力グループが当社株式の約46%を保有する筆頭株主である。
・東京電力Gの電気設備系サブコン、電気・通信・空調工事を幅広く展開
・売上高は上下変動を経つつも利益は大いに安定的、財務体質も良好
・平均年収818万円で福利厚生は普通、平均勤続年数19年以上と良好
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:65(中堅上位)
サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用数は年間90人~120人だが、うち70名~80名は技術系採用枠となっている。サブコン分野ではトップクラスの大企業だが人気度は振るわず、中堅大学からの採用も少なくない。
採用大学:【国公立】名古屋大学・筑波大学・千葉大学・広島大学・静岡大学・新潟大学・山形大学・大阪公立大学・東京農工大学・電気通信大学・長岡技術科学大学など、【私立】早稲田大学・同志社大学・関西学院大学・立命館大学・龍谷大学・東京理科大学・芝浦工業大学・湘南工科大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
関電工の売上高は2019年に過去最高となる6,161億円に到達したが、同年以降はやや後退している*1。2021年には売上高4,955億円まで後退したが、2023年には5,984億円まで回復した。営業利益は260億~410億円ほどで長期的に安定しており、景気後退局面にも底堅い。
*1:2019年から2021年まで売上高が減少していた理由は、①COVID-19感染拡大による製造業・サービス業の設備投資の抑制、②高層ビル・商業施設の開発案件の先送り増加による設備工事の受注低調、など。
✔セグメント別の状況
関電工は、設備工事事業(屋内線工事・情報通信工事・配電線工事、発変電・土木・原子力・風力発電関連工事など)、その他事業(電気機器販売事業・不動産賃貸事業・リース事業など)、の2事業を有する。
当社は売上高・利益の約95%以上を設備工事事業が稼いでおり、電力・通信・空調設備工事に特化した事業展開を進めている。親会社にあたる東京電力グループ向けの工事は売上高のうち約25%ほどであり、グループ外からの受注もしっかりと確保できている。
✔最終利益と利益率
関電工の純利益は190億~220億円ほどで長期的に推移しているが、2023年には過去最高となる273億円に上振れしている。営業利益率は長期的に5%~6%ほどで推移しており、景気後退局面にも安定的に利益を確保できている。
✔自己資本比率と純資産
関電工の自己資本比率は2019年まで50%前後で推移していたが、2020年からは60%レベルまで上昇している。安定的な利益体質を加味すれば、財務基盤は十分に健全と評価できる。純資産は長期的な増加傾向が続いており、2023年には3,458億円に到達している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
関電工の平均年収は2022年まで740万~760万円ほどで推移していたが、2023年には818万円まで上振れしている。大卒総合職の場合、30歳で年収550万~600万円ほど、課長職レベルで年収980万~1,150万円が目安。平均年齢は42.3歳(2023年)と大手企業の標準的な水準。
✔従業員数と勤続年数
関電工の単体従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、2023年には7,769人に到達している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.04万人ほど。平均勤続年数は19.6年(2023年)と大手企業の標準的な水準を上回っており、従業員の定着はかなり良好。
総合評価
企業格付け:BB
東京電力グループを親会社とする電気設備工事会社であり、地盤である首都圏エリアを中核として発電所・送電施設・ビル・住宅などの電気・通信・空調工事を遂行している。世間においては『サブコン』と分類される企業であり、ゼネコンから設備工事を請け負う事業形態となっている。業績においては売上高こそ浮き沈みがみられる一方で、営業利益・純利益は大いに安定的。純利益ベースでは過去8年間に渡って170億~270億円ほどで安定しており、COVID-19感染拡大や米中貿易摩擦に伴う景気後退局面にも底堅い推移を示している。高層ビル・工場・商業施設などにおける大規模な電気設備工事においては、特に高い信頼性が重視されるため、当社の受注確保は相当に安定的である。言わずもがな、電力・通信・空調工事は一見地味だが現代社会において必要不可欠なインフラ整備の側面も強く、将来的にも安定的な需要が見込める点も強みだろう。財務体質においても自己資本比率58.9%(2023年)と高めであり、安定的な利益体質を加味すれば不安はまずないレベルを維持している。
就職格付け:BB
数ある電力会社系の設備工事会社のなかでも、きんでん(関西電力系)に続く業界2位の大手企業。歴史的には東京タワーや東京スカイツリーの設備工事を遂行した他、1986年から南極地域観測隊に社員を派遣して南極昭和基地でのインフラ整備も支えている(参考リンク)。給与水準においては平均年収818万円(2023年)とサブコン業界ではトップクラスである。大卒総合職であれば、30歳で年収550万~600万円ほど、課長職レベルで年収980万~1,150万円が目安となる。福利厚生においてはそこそこ恵まれているが、家賃補助制度がないのは惜しい。独身社員向けの独身寮・社宅(自己負担:月額1万円)が充実しているが、結婚後に家庭を持つと補助はない。とはいえ年間休日日数は125日とかなり多めであり、有給休暇は最大96日まで積立保有することができるのも強み。世間的には「サブコン業界は激務」と言われがちだが、平均勤続年数は19.6年(2024年)と従業員の定着は大いに良好である。不人気傾向が強い建設業界のなかでも更にマニアックなサブコン分野に注目する求職者はかなり少なく、高年収・待遇の割には選考倍率が低いのは相当の魅力。