カテゴリー
不動産

【勝ち組?】野村不動産の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

野村不動産ホールディングスは、マンション分譲・都市開発などを主力とする野村グループの総合不動産会社。1957年に野村證券の本社社屋を管理する目的で資産管理会社として誕生、1960年代から宅地・マンション分譲を展開。1970年代にはオフィスビル事業を加速させ、1978年に旗艦物件「新宿野村ビル」を竣工。バブル崩壊後には業績悪化に見舞われるが、マンション事業への注力で存続を果たして2006年に東証一部上場を達成。現在では総合不動産会社として業界5位、高級分譲マンション「プラウド」が著名。

POINT

・野村グループの大手不動産会社、業界5位でマンション分野に強い
・売上高・利益いずれも増加傾向で利益率も良い、非住宅分野も順調
・平均年収1,090万円と恵まれ、総合職なら30歳で1本は超える

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:74(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用実績は年間50名~60名と多くもなければ少なくもないが、やはり不動産デベロッパー志望者の併願先ゆえに倍率は相当に高い。採用選考は人柄重視ゆえに必ずしも旧帝大・早慶クラスに集中せず、上記以外の大学からの採用も多い。
採用大学:【国公立】一橋大学・京都大学・大阪大学・九州大学・千葉大学・横浜国立大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・立教大学・同志社大学など(出典:大学通信ONLINE

業績動向

✔売上高と営業利益

野村不動産ホールディングスの売上高は長期的な増加傾向が継続しており、直近では7,347億円に到達。2000年代前半は売上高2,000億円であったから、過去20年強で売上高を3倍以上に伸ばしている*1。営業利益は2020年頃まで700億円レベルで推移していたが、同年以降は利益拡大が続いている。
*1:野村不動産の業績拡大を続けている理由は、①富裕層を中心とするタワーマンション・高級マンション需要の拡大、②都市部におけるマンション人気の高揚、③高級マンション「プラウド」のブランド化の成功、④原材料価格・人件費高騰によるマンション価格の長期的な高騰傾向、など。

✔セグメント別の状況

野村不動産ホールディングスは、住宅事業(マンション・戸建て住宅の開発分譲、老人ホーム・ホテル開発など)、都市開発事業(オフィスビル・商業施設・物流施設の開発・賃貸など)、海外事業(海外における住宅・複合開発など)、資産運用事業(REIT・私募ファンドなど)、仲介・CRE事業(不動産仲介・コンサルティング・保険代理店など)、運営・管理事業(マンション・オフィスビルなどの管理運営・修繕工事・清掃など)、その他事業、の7事業を有する。
売上高においては主力事業の住宅事業が約50%以上で最大を占めているが、利益においては都市開発事業が約40%で最大を占める。高級マンション「プラウド」は高価格帯マンションとして知られるが、利益面における貢献は売上高・ブランドイメージの割にはそれほど傑出しているわけではない。

✔最終利益と利益率

野村不動産ホールディングスの純利益は2020年までは400億円レベルで横這いであったが、同年以降は増加傾向が続いている。直近の2023年には純利益681億円まで増加を遂げた*2。営業利益率は12%~15%ほどの高水準で安定している。
*2:近年の利益拡大を支えている要因は、①マンション価格高騰および販売戸数の高位安定、②円安・株高による不動産投資意欲の活況を追い風とした高級マンションの販売好調、③都市開発事業における物件売却収入の増加、など。

✔自己資本比率と純資産

野村不動産ホールディングスの自己資本比率は長期的に30%ほどの水準で安定的に推移。やや低めにも見受けられるが、これは不動産デベロッパーとしては標準的な水準*3。純資産は右肩上がりでの増加が続いており、直近では6,924億円に到達。
*3:不動産デベロッパーは土地建物への投資額が巨額に及び、投資期間も長期に渡る。そのため長期借入金などの資金調達で費用を賄うことが多く、自己資本比率が高まりにくい傾向がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

野村不動産ホールディングスの平均年収は長期的に950万~1,090万円ほどで横ばい推移。財閥系不動産デベロッパーと比べるとやや少ないが、不動産業界トップレベルの待遇である。総合職の場合、30歳で年収950万~1,050万円、課長職レベルで年収1,200万~1,400万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

野村不動産ホールディングスの単体従業員数は直近で358人に過ぎず、従業員の殆どは事業会社に属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7,900人ほど。平均勤続年数は直近で12.9年だが、これは持株会社の358人の平均勤続年数であるため参考にならない。

総合評価

企業格付け:AA

総合不動産デベロッパーとして業界5位。マンション分譲に強みを持ち「プラウド」や「オハナ」などのシリーズを展開、中価格帯〜高価格帯までを網羅する。財閥系総合不動産デベロッパーには規模・質で勝てないが、少なくとも利益率ベースではそれほど見劣りせず善戦している。業績は長期的に拡大傾向が続いており、2000年代前半の売上高2,000億円レベルから3倍以上に規模拡大している。とりわけ都心部におけるマンション需要の高騰は当社にとって追い風であり、好景気による高級マンション「プラウド」の分譲好調が強み。バブル崩壊後の業績悪化時にマンション領域に集中した経緯から非住宅分野にはそれほど強くはないが、最近では商業施設・物流施設が好調。必ずしもマンション領域に依存しない事業展開を目指しつつある。

就職格付け:AAA

給与水準においては平均年収1,090万円と業界上位級。さすがに財閥系総合不動産デベロッパーには敵わないが、不動産業界の上位企業に相応しい待遇がある。総合職であれば30歳前後には年収1,000万円に到達するうえ、意外にも入社10年目程度までは年功序列色が強いために能力に1,000万円の大台には横並びで到達する。ただし福利厚生面では(財閥系大手不動産デベロッパーにはおなじみの)借上げ社宅制度や独身寮はなく、家賃補助が条件付きで適用されるのみであるため同業他社と比べると旨味が少ないのは否定できず。総じて成長企業かつ恵まれた待遇を提供する優良企業であるにも関わらず、同業の財閥系大手不動産デベロッパーと比較されてしまうが故に過小評価されがちであるのが辛いところ。が、上を見ればキリがないうえに、当社の待遇は数多ある日系大企業の中でもトップクラスの待遇であることは決して忘れてはならない。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!

出典:野村不動産ホールディングス株式会社(有価証券報告書)