企業概要
野村アセットマネジメントは、投資信託の運用や資産運用アドバイザリーなどを展開する野村グループの資産運用会社。1959年に野村證券が投資信託委託会社として設立。1972年には日本初の外国証券ファンドを設立した他、1980年には日本初のインデックスファンドの運用をスタート。1997年には野村グループの投資顧問会社であった野村投資顧問と合併して、投資顧問事業を拡大。現在では資産運用残高が約87兆円に及び、上場投資信託(ETF)においては国内シェア首位を誇る。
・野村グループの資産運用会社、上場投資信託において国内シェア首位
・営業収益・利益いずれも安定的、営業利益率は業界トップ位好
・30歳で年収1,000万円~が目安、キャリア価値が高く地方転勤なし
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:76(最高峰)
サラリーマンとしては最高峰クラスの勝ち組。資産運用の専門性を確立できるキャリア価値に加えて、高い給与水準と転勤リスクの少なさが強み。目立った欠点がなく、総合力が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:最難関級
総合職の採用人数は年間25名~40名ほど。資産運用会社としては採用数は多いが、狭き門。ファンドマネージャー志望の求職者からの応募先として挙がりやすい企業だけに、やはり難易度は高い。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・神戸大学・一橋大学・東京工業大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・明治大学など(出典:外資就活ドットコム)
業績動向
✔営業収益と営業利益
野村アセットマネジメントの営業収益は1,230億~1,460億円で長期的に推移している。営業利益も260億~330億円で長期的に安定しており、景気後退局面にも利益は安定している*1。
*1:投資信託における主たる収入は信託報酬であるが、これは日々のファンドの純資産総額に信託報酬率を乗じて算出される。運用総額が大きければ安定的に信託報酬を得られるビジネスモデルであるため、営業収益・営業利益が安定している。
✔セグメント別の状況
野村アセットマネジメントは、資産運用サービス事業(機関投資家向け私募投信・個人投資家向け公募投信の開発〜販売〜運用、機関投資家向け投資ソリューション、投資顧問・アドバイザリーなど)のみの単一事業会社である。
当社は機関投資家・個人投資家向けに多種多様な投資信託を運用しているが、特に上場投資信託(ETF)分野では国内トップシェアを占有。当社の上場投資信託ブランド『NEXT FUNDS』は運用残高で国内シェア約43%、売買代金で国内シェア66%と断トツ首位(参考リンク)。
✔最終利益と利益率
野村アセットマネジメントの純利益は長期的に240億〜280億円で極めて安定的に推移している。営業利益率は過去8年間に渡って20%以上の高水準で安定。日系の大手資産運用会社としてはトップクラスの利益率を誇る。
✔自己資本比率と純資産
野村アセットマネジメントの自己資本比率は2022年まで70%前後の高水準で推移していたが、2023年に51.5%に急落*2している。純資産も2022年まで860億~870億円で横這いであったが、2023年に601億円まで急落。
*2:2023年に純資産・自己資本比率が急落した理由は、2023年に利益剰余金から約557億円を配当金として親会社にあたる野村ホールディングスに支払ったことが主要因。当社は業績が安定しており過剰資本を蓄える必要性に乏しいことが理由と推定される。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
野村アセットマネジメントの平均年収・平均年齢は非公開。大卒総合職は30歳で年収1,000万〜1,100万円ほど、ファンドマネージャーレベルで1,800万〜2,300万円ほどと推定。日系の資産運用会社としては同業他社を抑えてトップクラスの給与水準である。
[非公開会社のためデータなし]
✔従業員数と勤続年数
野村アセットマネジメントの単体従業員数は1,000名(2023年)と少数精鋭の組織体制となっている。平均勤続年数は非公開。
[非公開会社のためデータなし]
総合評価
企業格付け:AA
野村グループにおいて投資信託や投資アドバイザリーを主力としている資産運用会社。当社が展開している上場投資信託ブランド『NEXT FUNDS』は、日本の上場投資信託として断トツ首位の取引金額を誇っている業界のパイオニアである。巨額資産を動かす機関投資家や公的基金との関係も強く、資産運用総額は約87兆円にも及ぶ。業績においては営業収益・営業利益いずれも安定性が高く、巨額の資産運用総額から安定的に信託報酬を獲得し続けている。とりわけ営業利益は日系資産運用会社としてはトップクラスに高く、過去8年間に渡って営業利益率20%以上を安定的に確保できている。財務体質においても大いに優良であり、実質無借金経営。自己資本比率だけを見ると70.2%(2022年)から51.5%(2023年)に低下しているが、これは親会社にあたる野村ホールディングスに利益剰余金を配当金として支払ったことが主要因。ビジネスモデルとして巨額の設備投資や先行投資が不要である当社に過剰資本を残すよりも、いちど野村ホールディングスに配当金として支払った上でグループ全体の戦略投資などに有効活用する動きであると推察される。
就職格付け:AAA
日系の資産運用業界におけるトップ企業の一角。位置付けとしては野村グループにおいて資産運用を担う事業会社であるが、就職格付けとしてはグループ中核会社である野村證券の総合職採用を上回る価値がある(IB・GM採用を除く)。その理由としては、①巨額の資産運用を担う希少価値の高いキャリアをほぼ確実に歩める点、②中核拠点が東京・大阪に集中しており僻地勤務や高頻度転勤とは無縁である点、③キャリア価値が低いうえに高ストレスとなりがちなドサ周り営業を経験せずに済む点、などが挙げられるだろう。給与水準においても親会社とは遜色なく、総合職であれば30歳で年収1,000万〜1,100万円ほどに達する。ファンドマネージャーどなれば年収1,800万〜2,300万円ほどに達するために、将来的には更なる上振れも期待できる。総じて、金融業界において安定的に高収入を目指しつつ、己のキャリア価値を高められるという点において高く評価できる一社であるだろう。