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【勝ち組?】沖電気工業の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

沖電気工業は、ATM・現金処理機・IoTセンサ・官公庁システムなどを主力とする芙蓉グループの電機メーカー。1881年に沖牙太郎が電信機メーカーして創業。戦前から電話交換機の国産化に成功したことで電電公社(現・日本電信電話)ファミリー企業として成長。1960年代には半導体製造に進出した他、1970年代にはATMの開発に成功。1990年代にはバブル時代の過剰投資が祟って経営危機に陥ったが、情報通信分野と電子デバイス分野への注力で再建。現在ではATMの国内シェア上位、官公庁向けシステムにも強い。

POINT

・創業140年を超える芙蓉Gの名門電機メーカー、ATM分野で高シェア
・売上高・利益は1990年代にピークアウト、財務体質も普通レベル
・平均年収751万円、課長職なら900万を超える、福利厚生はまずまず

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:64(中堅上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用実績は年間90名ほどだが、直近2年間は総合職の採用枠を年間120名まで拡大中。一般知名度はそれほど高くないうえ事業内容もマイナー寄りであるため穴場感はある。
採用大学:【国公立】名古屋大学・東北大学・新潟大学・静岡大学・熊本大学・東京外国語大学・京都府立大・長岡技術科学大学など、【私立】明治大学・立教大学・立命館大学・東京理科大学・津田塾大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

沖電気工業の売上高は1998年に7,645億円を記録したが、最近では縮小傾向*1。直近の2023年には売上高4,218億円となっている。営業利益は2019年から減少傾向が続いていたが、直近の2023年には186億円まで増加*2。
*1:1990年代に当社の業績がピークを迎えた理由は、①半導体事業など事業多角化による規模拡大、②バブル景気による設備投資の急拡大、など。が、当時の過大な投資が祟って経営危機に陥った経緯もある。
*2:2023年に営業利益が急増した理由は、①エンタープライズ事業の大型案件の完了および貸倒引当金の戻し入れ、②世界的な半導体不足の収束による生産回復、など。特に①は一過性要因であるため当社の利益率が大きく向上したわけではない。

✔セグメント別の状況

沖電気工業は、パブリックソリューション事業(交通・官公庁・防衛システム、航空機器、通信キャリア向け通信システムなど)、エンタープライズ事業(ATM・現金処理機、予約発券端末・営業店端末、工事保守サービスなど)、コンポーネント事業(IoTデバイス、センサネットワーク、PBX、クラウドサービスなど)、EMS事業(設計・生産受託サービス、ケーブル・電極線・プリント配線版など)、その他事業、の5事業を有する。
当社は電話交換機で発展した企業であるが、現在では電話機事業はビジネスフォンなどの一部製品しか残存していない。現在の主力事業はATMなどを扱うエンタープライズ事業であり、同事業が全社利益の半分以上を稼いでいる。

✔最終利益と利益率

沖電気工業の純利益は、2020年から2022年まで損益ギリギリの状況が続いていたが、2023年には純利益256億円まで回復。営業利益率は0%〜4%で長期的に推移しており、それほど高くはない。

✔自己資本比率と純資産

沖電気工業の自己資本比率は25%〜30%での推移が長期的に続いており、大手メーカーとしては高くない水準。純資産は2022年まで900億〜1,100億円で横ばいであったが、2023年には純資産1,413億円まで急増している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

沖電気工業の平均年収は、過去8年間に渡って700万〜750万円ほどで横ばい。総合職の場合、30歳で年収580万〜650万円、課長職レベルで年収900万~1,050万円が目安。総合職であれば30代のうちに係長クラスへと昇格して年収700万円を超えられる。

✔従業員数と勤続年数

沖電気工業の単体従業員数は、2018年から増加傾向が続いていたが、2021年からは横ばいに転換。直近の2023年は4,600人ほどの組織規模。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.44万人ほど。平均勤続年数は直近で19.6年と、大企業の標準的水準を上回る。

総合評価

企業格付け:CC

ATMや官公庁システムなど多岐に渡る事業展開を特徴とする電機メーカー。かつては電話機メーカーとして栄えたが、1970年代からは半導体やプリンタなど事業多角化を志向。1990年代の経営危機に陥ってからは事業整理を進め、現在ではエンタープライズ事業(ATMや営業端末など)を中核としつつ、公共システムやEMSで稼ぐ事業構造となっている。業績は1990年代がピークであり、当時の売上高7,645億円(1997年)・営業利益614億円(1995年)と比べると事業規模がシュリンクしている事実は否めない。規模縮小しても利益体質が優良であれば良いのだが、過去8年間は営業利益こそ黒字圏を維持しているものの、最終利益では2020年・2022年に赤字転落。利益率という観点においても、営業利益率0%〜3%台での推移が長く、利益率も高いとは言えない。財務体質においても自己資本比率25%〜30%台という大手メーカーとしてはやや低めの水準が長期化している(2023年のみ自己資本比率33%に到達)。総じて大企業ではあるのだが、いまいちパッとしないのが難点であろうか。

就職格付け:CC

芙蓉グループに属する創業140年以上の老舗名門電機メーカー。現在では一般知名度は低いが、当社が電電ファミリーとして栄えた時代を知る高齢者には一定以上の知名度がある。BtoBビジネスが主力のため一般消費者との接点は少ないが、街中のATMの筐体を観察すると「OKI」のロゴを見つけることができるだろう。給与水準は平均年収700万〜750万円で安定しており、業績の割には従業員の待遇はかなり良い。総合職であれば30歳で年収580万〜650万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,050万円には達する。福利厚生においては30歳以下の若手社員には月額4万円の家賃補助が支給される。が、大手メーカーによくある独身寮が高崎事業所(群馬県)にしかないため、その他の地区はすべて家賃補助制度となる。さすがに最大手電機メーカーには待遇面では敵わないが、企業規模の割にはかなり恵まれた待遇であろう。うまく出世すれば現実的に年収1,000万円を超えられるポテンシャルはある。

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出典:沖電気工業株式会社(有価証券報告書)