企業概要
江崎グリコは、菓子・乳製品・レトルト食品・食品原料などを製造・販売する大手菓子メーカー。1921年に大阪府大阪市で江崎利一が菓子メーカーとして創業。戦前からグリコーゲン入りのキャラメル『グリコ』を大ヒットさせ、大阪を代表する菓子メーカーに躍進。戦後にはチョコレート・レトルト食品・プリンなど事業領域を拡大。ロングセラー商品「ポッキー」「プリッツ」「ビスコ」などを生み出した。現在では菓子業界において明治に続く業界2位に君臨、韓国・タイ・インドネシアなど海外市場にも積極進出。
・菓子業界における名門の一角、食品・乳製品・レトルト食品なども手掛ける
・売上高・利益いずれも横ばいで成長性薄いが、財務体質は大いに良好
・平均年収823万円で福利厚生も良いが、平均勤続年数が伸び悩む
就職偏差値
✔就職偏差値:68(上位)
かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:至難
総合職の採用数は年間20人~30人とかなり少なめであるうえ、一般知名度の高さと企業イメージもあって極端な高倍率に。よほどの情熱と実績を持ったうえで応募する必要がある。
採用大学:【国公立】京都大学・大阪大学・北海道大学・名古屋大学・横浜国立大学・山口大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・同志社大学・立命館大学・東京理科大学・龍谷大学など(出典:リクナビ2025)
業績動向
✔売上高と営業利益
江崎グリコの売上高は長年に渡って3,000億〜3,500億円ほどで横ばい。2019年のみ売上高2,881億円まで後退しているが、これは一過性の要因*1。営業利益は2019年に242億円に達したが、同年以降は120億〜190億円ほどでの推移となっている。
*1:当社は2020年に3月決算から12月決算に移行したため、2019年12月期は9か月のみでの決算となっている。2019年の売上高・利益の減少は、この決算月変更の影響が主要因。
✔セグメント別の状況
江崎グリコは、健康・食品事業(健康食品・レトルト食品・アイスクリームなど)、乳業事業(乳製品・洋生菓子など)、栄養菓子事業(チョコレート・ビスケットなど)、食品原料事業(小麦たん白・澱粉・色素など)、その他事業(直営店舗運営・オフィスグリコ事業・卸売販売など)、海外事業(中国・台湾・韓国・シンガポール・タイ・インドネシアなどにおける事業展開)、の5事業を有する。
当社は菓子メーカーのイメージが強いが、実際には食品・乳製品・菓子などが売上高をバランスよく構成している。ただし利益面では事業ごとの利益差が顕著であり、菓子事業・海外事業が大きく利益を稼ぐ反面、乳業事業は利益低迷が目立つ。
✔最終利益と利益率
江崎グリコの純利益はは2019年に181億円に達したが、同年以降は80億〜140億円ほどで横ばい。営業利益率は長期的に4%〜7%ほどで推移しており、それほど高くはない。
✔自己資本比率と純資産
江崎グリコの自己資本比率はやや微増傾向がみられ、直近では自己資本比率66%以上を確保しており財務体質は健全。純資産は緩やかな増加傾向にあり、直近の2023年には純資産2,631億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
江崎グリコの平均年収は800万〜830万円と菓子メーカーとしては最上位クラスの待遇。大卒総合職であれば30歳で550万~690万円ほど、課長職レベルで1,000万~1,200万円ほど。年功序列色が強いため、勤続年数を重ねることが昇給の近道となっている。
✔従業員数と勤続年数
江崎グリコの単体従業員数は2019年をピークにやや減少傾向にあり、直近では1,405人となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5,400人ほど。平均勤続年数は14年前後で横ばいであり、待遇の割には長くない。
総合評価
企業格付け:BB
戦前から長きに渡って菓子業界を牽引してきた名門企業であり、創業時の『グリコ』キャラメルは100年以上に渡って販売され続ける超ロングセラー製品である。現在では菓子だけでなく、健康食品・乳製品・レトルト食品なども幅広く展開しており、菓子事業に依存しない事業ポートフォリオを構築できている。業績は極めて安定的であり、過去8年に渡って売上高・利益いずれも横ばいが続いている。よく言えば安定企業であるが、悪く言えば少子高齢化・人口減少が進む現代においては事業拡大の余地は非常に限られているともいえよう。とはいえ財務体質は大いに健全であり、直近の自己資本比率は約66%と高水準を確保している。最近では海外展開も積極的に進めており、海外売上高比率は約20%まで成長。海外市場における継続的な成長を掴めるかが問われる局面にある。
就職格付け:BB
大阪府・道頓堀のグリコ看板で有名な大手菓子メーカー。現在においても本社は大阪府大阪市に置いており、在阪企業の雄としても知られる。給与水準は食品業界・菓子業界においてはトップクラスであり、平均年収は800万~830万円ほどで極めて安定的。大卒総合職であれば30歳で550万~690万円ほどには達し、課長職レベルで1,000万~1,200万円ほど。伝統的な日本企業らしく年功序列色が今なお色濃く、総合職として入社すれば年収800万円以上までは横並びで昇給していく。福利厚生においては住宅補助が恵まれており、30歳前後までは自己負担数千円程度で独身寮で生活することができる。結婚後も借上げ社宅に入居することができ、家賃額の約50%前後で生活できるために負担感は軽い。いずれも平均年収とは別に得られる補助であるため、実際の生活水準は平均年収+100万円前後にはなる。が、当社の平均勤続年数は長年に渡って14年前後での横ばいが続いており、数値上の待遇に対して従業員の定着はそれほど良くはない。また、大手菓子メーカーの例に漏れず、採用枠に対して極端な高倍率になりやすいため、内定獲得への道のりは極めて厳しい。