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【勝ち組?】東映の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

東映は、テレビ朝日グループの大手映画製作・配給会社。1951年に東急の仲介で東京映画配給・東横映画・太泉映画の3社が合併して発足。創業直後は赤字経営であったが、1953年に『ひめゆりの塔』が大ヒットしたことで負債を完済。時代劇でも頭角を現し、映画界に東映時代劇ブームを巻き起こした。1980年代にはアニメ・テレビ製作や不動産事業にも進出して事業多角化を推進。現在では映画会社として東宝に続く業界2位、アニメ制作を担う子会社・東映アニメーションも上場企業となっている。

POINT

・映画配給会社として業界2位の大手、アニメ分野において特に強み
・売上高・利益はヒット作に恵まれて2022年から好調、財務体質も良好
・平均年収857万円と業界上位級、福利厚生は企業規模なりで普通

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:71(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:至難

総合職の採用人数は年間10名~15名と少なく、門戸は極めて狭い。映画業界のトップ3大企業の一角だけあって人気度は高く、入社難易度は著しく高い。
採用大学:【国公立】東京大学・大阪大学・名古屋大学・東北大学・横浜国立大学・大阪公立大学・東京外国語大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・上智大学・立教大学・同志社大学・関西学院大学・立命館大学・成城大学・成蹊大学・同志社女子大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

東映の売上高は2021年まで1,070億~1,400億円ほどで推移していたが、2022年からは増加傾向。2024年には過去最高となる売上高1,799億円に到達している*1。営業利益は2021年まで120億〜220億円で推移していたが、2022年に過去最高となる363億円まで急増している。
*1:2022年から売上高・利益を伸ばしている理由は、①アニメ作品『ONE PIECE FILM RED』『THE FIRST SLAM DUNK』の記録的な大ヒット、②自社IPを活かしたマルチユース展開の成功による増収増益、③為替レートの円安推移による為替効果、など(参考リンク)。

✔セグメント別の状況

東映は、映像関連事業(劇場用映画・テレビ映画の製作・配給、キャラクター商品化・映像版権の許諾、DVD・BD販売など)、興行関連事業(直営劇場・シネマコンプレックスの運営)、催事関連事業(東映太秦映画村の運営、キャラクターショー・文化催事の企画・運営など)、観光不動産事業(商業施設の賃貸・ホテルの経営など)、建築内装事業(建築工事・室内装飾請負など)、の5事業を有する。
当社は1950年代から多種多様な映像作品を制作してきた歴史があり、現在の保有 IPは劇場映画 4,400作品・テレビ映画 39,000話・配信映画600話に及ぶ。最近では子会社・東映アニメーションの『ONE PIECE FILM RED』『THE FIRST SLAM DUNK』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』などが好成績を記録している。

✔最終利益と利益率

東映の純利益は70億〜150億円ほどで安定的に推移している。営業利益率は2022年まで12%~20%ほどで推移しており、エンタメ業界としても高い利益率を誇っている。2022年以降は業界首位の東宝に匹敵する営業利益率に高まっている状況。

✔自己資本比率と純資産

東映の自己資本比率は56%〜58%ほどでの横ばいが続いており、安定性が高い推移となっている。良好な利益体質を加味すれば、財務体質は極めて堅牢と評価できよう。純資産は右肩上がりの増加傾向が続いており、2024年は3,543億円となっている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

東映の平均年収は820万〜890万円のレンジで長期的に推移している。総合職の場合、30歳で年収550万〜630万円、課長職レベルで年収1,000万~1,150万円ほどが目安となる。平均年齢は42.7歳(2024年)と大手企業の標準的な水準。

✔従業員数と勤続年数

東映の単体従業員数は381人(2024年)に過ぎず、知名度の割には極めて少数精鋭の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1,100人ほど。平均勤続年数は15.4年(2024年)と、大手企業の標準的な水準。

総合評価

企業格付け:AA

東宝・松竹と並んで日本3大映画配給会社の一角として知られる企業。戦前からの歴史がある東宝・松竹とは異なり、1950年代に合併によって誕生した後発組であるが、アニメ分野において特に強みがある。とりわけ子会社・東映アニメーションの存在は大きく、世界的知名度がある『ドラゴンボール』『ワンピース』『スラムダンク』などが成長の起爆剤となっている。業績においては売上高・利益いずれも2022年から増加傾向にあり、劇場大型アニメ作品のヒットが追い風。営業利益率においても12%〜20%で推移しており、高利益率が定着している状況。かつてはヒット作品の有無による業績の浮き沈みが大きかったが、最近では版権・許諾ビジネスやキャラクター商品など放映後にも安定的に稼げるビジネスモデルによって安定化が図られている。財務体質においても自己資本比率57.1%(2024年)と負債に依存しすぎない事業運営ができており、財務健全性も十分以上である。

就職格付け:A

かつて東急の仲介によって映画会社3社が合併して誕生した企業。ただし1964年には東急との資本関係は希薄化しており、現在ではテレビ朝日と相互に株式を持ち合う関係にある。総合職の場合、30歳で年収550万〜630万円、課長職レベルで年収1,000万~1,150万円ほどが目安となるだろう。ただし、年功序列色が強い給与制度となっており、20代〜30代のうちは給与差がつきにくい。福利厚生においては企業規模なりであり、さすがに超大手企業のような充実した制度はなく、強いて言えば自社作品を鑑賞できる社内試写室がオフィスに設置されている点は珍しいか。全社員一律で住宅手当が3.7万円/月ほど支給されるが、どちらかといえば基本給を抑えるための口実として住宅補助が支給されている感は否めない。かつて練馬に保有していた社員寮は2023年に賃貸マンションへと再開発されており、現在では消滅している(参考リンク)。

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出典:東映株式会社(有価証券報告書)