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【勝ち組?】NEXCO東日本の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

東日本高速道路(NEXCO東日本)は、北海道・東北・関東・信越エリアにおいて高速道路を運営する高速道路管理会社。2005年に小泉内閣によって日本道路公団が分割・民営化されたことで誕生。同目的で設立されたNEXCO中日本NEXCO西日本と共に高速道路3社と呼ばれ、財務大臣が全株式を保有する特殊会社となっている。高速道路の所有権は日本高速道路保有・債務返済機構が保有しており、当社は同機構から高速道路を賃借する立場にある。

POINT

・高速道路大手5社の一角、民営化されたが今なお国有企業であり続けている
・国有企業ゆえに利益を度外視した事業展開に特徴、公益性を追求
・平均年収775万円かつ住宅補助も手厚い、転勤範囲が広大すぎるほど広大

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:67(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。競合不在の独占企業であり、事業内容からして倒産リスクは皆無。安定した高待遇を期待できる一方、豪雪地帯の僻地勤務の辛さは軽視できない。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用実績は年間130名~150名だが、事務系採用枠は約50名のみ。まず潰れることがない公益企業だけあってインフラ業界の志望者に併願されやすく、選考倍率は例年高い。ただし、建築・土木系の専門性があるとかなり有利。
採用大学:【国公立】東京工業大学・東北大学・北海道大学・新潟大学・秋田大学・岩手大学・信州大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・中央大学・国際基督教大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

東日本高速道路の売上高は2018年のみ1.94兆円に激増*1したが、同年以外は1.0兆円~1.2兆円レベルで極めて安定的。営業利益は2016年に190.2億円を記録したが、同年以降は損益ギリギリの推移が続いている*2。
*1:2018年は東京外環自動車道の開通によって道路資産完成高が9,985億円(前年比8,692億円増)にまで急増。あくまでも会計処理上の一過性の計上であり、本業に大きな変化があったわけではない。
*2:当社は高速道路事業において「料金に利潤を含めない」方針であり、利益拡大を社是としていない事情がある。当社が回収した高速道路料金は、高速道路を保有する日本高速道路保有・債務返済機構への賃借料支払いに充てられ、利潤となっていない。

✔セグメント別の状況

東日本高速道路は、高速道路事業(高速道路の新設・改築・維持・修繕・災害復旧など)、受託事業(国・地方公共団体の委託による道路新設・改築・修繕など)、道路休憩所事業(高速道路のサービスエリア・ガソリンスタンドの建設・管理など)、その他事業(駐車場・トラックターミナルなど)、の4事業を有する。
当社は売上高の約93%を高速道路事業が占めるが、利益においては道路休憩所事業が約72%を占める構造。当社は高速道路事業において「料金に利潤を含めない」方針であるため、主たる利益はサービスエリア・ガソリンスタンドなどから得ている。

✔最終利益と利益率

東日本高速道路の純利益は2020年・2021年に赤字転落*3したが、同年以外は40億~200億円ほどで推移している。営業利益率は限りなく0%前後で横ばいであるが、利益率を度外視した公益追及のビジネスモデルであるため問題はない。
*3:2020年・2021年はCOVID-19感染拡大による外出自粛で高速道路の行楽利用が激減したことが赤字要因となっている。

✔自己資本比率と純資産

東日本高速道路の自己資本比率は12%~18%での低空飛行がつづいているが、これは当社特有の事情による*4。純資産はやや増加傾向にあり、2023年には2,567億円に到達。
*4:当社は長大な高速道路を保有していると思われがちだが、高速道路の所有権は日本高速道路保有・債務返済機構にあるため自社資産ではない。他方で、高速道路の建設・修繕に必要となる資金を賄うため多額の社債を発行しているため自己資本比率が低くなりやすい(参考リンク)。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

東日本高速道路の平均年収は770万~800万円ほどで長期的に安定している。総合職の場合、30歳で年収580万~650万円、課長職レベルで年収950万~1,050万円が目安。33歳頃までは昇進・昇給に殆ど差がつかないが、30代中盤から実力に応じて差が開き始める人事・給与制度となっている。

✔従業員数と勤続年数

東日本高速道路の単体従業員数は緩やかな増加傾向が長期的に続いており、直近の2023年は2,500人ほどの組織規模。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.53万人ほど。平均勤続年数は減少傾向が見られるが、直近でも16.5年と大企業の標準的水準。

総合評価

企業格付け:BB

かつての日本道路公団が小泉内閣によって民営化されたことで誕生した企業。上下分離方式が採用されたことで、高速道路の所有権は日本高速道路保有・債務返済機構にあり、当社は同機構から高速道路を賃借する立場にある。出自が類似するNTTグループや日本たばこ産業とは異なり、当社は今なお財務大臣が株式の100%を保有しており、今なお国策企業としての性格が強い。この性格は業績にも強く表れており、売上高こそ1兆円規模に及ぶものの、営業利益・純利益いずれも損益ギリギリが続いている。これは、高速道路の料金には利益を含めない基本方針からくるものであり、利益度外視の公益事業であるがゆえの特徴であろう。当社の利益の源泉は、高速道路に付帯するサービスエリア・ガソリンスタンドなどであるが、これらは売上高300億円・営業利益30億円ほどに過ぎないため、やはり大きな利益は見込みがたい。良くも悪くも社会にとって必要不可欠な高速道路インフラを支えることに特化した企業であるため、通常の営利企業とは異なる見方をしていく必要があるだろう。

就職格付け:BB

高速道路大手5社(NEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本・首都高速道路・阪神高速道路)の一角。歴代社長は初代こそ日本道路公団出身者であったが、以降は外部出身の経営者が多くを占めており、昭和電工・住友化学・日本製鉄などの経営者が就いてきた(現社長のみ国土交通省・復興庁の出身)経緯がある。給与水準は「民間大手未満・地方公務員以上」レベルが意識されており、過去8年間は平均年収770万~800万円ほどで横ばい。総合職であれば30歳で年収580万~650万円、課長職レベルで年収950万~1,050万円には達する。福利厚生も非常に恵まれており、日本全国どこに異動しても社宅・寮が用意されているために住宅コストの負担は格安で済む。平均有給取得日数は23.1日(2023年)に及び、休みもまったく取りやすい環境。が、当社最大の課題は2年~3年おきの転勤であろう。普通の転勤ならまだしも、当社は管轄エリアが北海道・東北・関東・信越エリアに及ぶため転勤範囲は極めて広大(参考リンク)なうえ、北海道や東北の人口過疎地・豪雪地帯も管轄している。倒産リスクとは無縁かつ恵まれた待遇ではあるが、「1カ所に根を下ろして暮らしたい」願望があるのならば不向きの一言に尽きる。己の人生観と向き合ったうえで志望度を見極めたい。

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出典:東日本高速道路株式会社(有価証券報告書)