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村上開明堂の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

村上開明堂は、自動車用バックミラー・電子ミラー・光学部品などを製造する自動車部品メーカー。1882年に漆器用金具メーカーとして創業、それから昭和中期までは金具・ガラス・鏡・プラスチック製品などを製造していた。が、1958年にトヨタ自動車向けにバックミラーを生産したことを転機として自動車部品メーカーへと業態転換。創業以来の金属・鏡の技術を活かしてバックミラー専門メーカーとして躍進した。現在では国内シェア40%・世界シェア4%ほど、日系自動車メーカーとの取引関係が深い。

POINT

1.バックミラーで国内首位の中堅自動車部品メーカー、静岡県に地盤
2.売上高・利益は横這いだが、財務体質は極めて堅実で利益率もそこそこ高い
3.平均年収631万円と中堅メーカー並みの水準、独身寮は家賃格安で良心的

業績動向

✔売上高と営業利益

村上開明堂の売上高は過去15年に渡って540億~770億円ほどで推移していたが、2022年には906億円に急伸して過去最高を更新*1。営業利益は50億~70億円レベルで安定的に推移しているが、2017年の77億円をピークにやや減少傾向。
*1:2022年に売上高が急増した理由は、業績悪化に陥った自動車部品中堅のミツバから同社子会社の大嶋電機製作所を買収したことが要因。大嶋電機製作所はドアミラー・ランプなどを手掛けており、村上開明堂とのシナジー性が高いと判断しての買収であった。

✔セグメント別の状況

村上開明堂は、日本事業(自動車用バックミラー・電子ミラー・光学部品の製造)、アジア事業(タイ・中国・インドネシアにおける製造)、北米事業(米国・メキシコにおける製造)、の3事業を有する。
村上開明堂は世界5ヵ国で事業展開するが、売上高の約半分を日本国内において確保している。ただし、利益面では約60%をアジア事業で確保しており、海外市場の利益率の高さが際立つ。主要取引先はトヨタ自動車・日産自動車・本田技研工業・マツダ・三菱自動車工業・スズキ・ダイハツ工業など。

✔最終利益と利益率

村上開明堂の純利益は長年に渡って30億~50億円レベルで安定的。ただし、2022年に売上高が急伸した割に純利益は伸び悩んでいる印象。営業利益率は2017年頃まで10%を上回っており優良な水準であったが、同年以降は減少傾向*2。
*2:村上開明堂の利益が減少している要因は、①2020年以降に自動車メーカーの新車生産が不安定化したことで生産計画の混乱、②世界的な原材料高・エネルギー費の高止まりによるコスト増、が主要因。

✔自己資本比率と純資産

村上開明堂の自己資本比率は長期的に70%レベルで安定的に推移。利益が安定していることに加えて、財務体質も極めて良好である。純資産は長期的な増加傾向が続いており、直近の2022年には純資産790億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

村上開明堂の平均年収は長年に渡って580万~640万円ほどの水準で安定的に推移。自動車部品メーカーとしては中堅レベルの給与水準である。大卒総合職は30歳で430万~550万円、課長職レベルで750万~880万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

村上開明堂の単体従業員数は長期的に880人~950人ほどで横這い。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3,200人ほど。平均勤続年数は直近で18.5年と長めであり、従業員の定着は相当に良い。

総合評価

企業格付け:DD

自動車用バックミラーにおいて日系首位のシェアを誇る日系自動車部品メーカー。鏡タイプのバックミラーのみならず、最近では車体後部のカメラからの映像を投影する電子ルームミラーも手掛けており、自動車の安全性向上に大きく貢献。業績は長年に渡って安定的であり、売上高・利益いずれも横這い傾向が強い。成長性こそ薄いものの利益確保力は底堅いものがあり、自動車業界が急激な業績悪化に見舞われたCOVID-19感染拡大期においても利益をしっかり確保した実績を有する。最近こそ営業利益率が低下傾向だが、2017年頃には営業利益率10%を上回っていた時期もあり利益率もかなり高めである。財務体質は極めて堅実であり、自己資本比率70%を上回っており無借金経営に等しい水準。…と総じて優秀であるが、いかんせん売上高1,000億円未満なので、自動車部品メーカーとしての企業規模は中堅下位クラス。バックミラーという枯れた技術であるが故に当面は安泰だが、電子ミラー・カメラの実用化が将来的に進んでくると大手電機メーカーなどが競合になるリスクはあるかもしれない。

就職格付け:DD

社名の物々しさからも伝わるだろうが創業140年以上の歴史を持つ老舗メーカー。自動車部品メーカーへと転じたのは1950年代であるが、それから数えても60年以上の歴史がある。創業者一族である村上家の影響力が強い企業であり、現在の代表取締役社長も同家出身者。給与水準は中堅自動車メーカーの標準的水準であり、平均年収600万円台での推移が長年に渡って定着している。福利厚生も中堅メーカーそのものであるため特筆すべき点はないが、独身寮の家賃は5,000円/月と極めて良心的。若手社員は格安価格で生活できるため貯金が捗るだろう。就職を考えるにあたってのポイントは、本社・工場・物流センターすべてが静岡県内に集中している点。静岡県に根を下ろして生活したい場合には確実にその狙いを果たせるため、無用な転勤リスクに苦しまずに人生を過ごせる。平均年収はそこまで魅力的な水準ではないが、静岡県内であれば居住コストが安いため、都心部で同額を得るよりも実質的な幸福度を高く持てるのは大きな強み。静岡県での就職を考える場合には隠れ優良の中堅企業として選択肢に入るだろう。

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