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【勝ち組?】明治安田生命保険の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

明治安田生命保険は、三菱グループに属する大手生命保険会社。1881年に阿部泰蔵が日本初の生命保険会社として創業。1934年には昭和建築の傑作と評価される明治生命館を建設したが、終戦後にGHQに接収される。1976年には米・パシフィックガーディアン生命を買収して、日系生保として初となるアメリカ進出を果たした。2004年には旧安田財閥系の安田生命保険と合併して規模を拡大。現在では生命保険において業界3位に位置、2015年には米・スタンコープ社を買収して北米事業の拡大に注力。

POINT

・日本最古の生命保険会社で業界3位、団体保険では業界トップのシェア
・業績は安定的だが利益は伸び悩む、財務健全性は大いに良好
・総合職・30歳で年収800万~850万円、全国転勤あり総合職は更に手厚い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:68(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

年間の採用数は340~500人だが、うち総合職の採用数は290人ほど(他は営業職が主となる)。大手生命保険会社としての一般知名度は高く、選考倍率は高め。
採用大学:【国公立】大阪大学・東北大学・北海道大学・神戸大学・筑波大学・広島大学・滋賀大学・大阪公立大学・一橋大学・東京工業大学・小樽商科大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・明治大学・中央大学・学習院大学・南山大学・近畿大学・甲南大学など(出典:就職四季報)

業績動向

✔経常収益と経常利益

明治安田生命保険の経常収益は2021年までは3.6兆〜4.1兆円レベルで推移していたが、同年以降は急増傾向*1。2023年には経常収益4.8兆円に到達している。経常利益は2018年まで3,100億~3,700億円で推移していたが、同年以降は2,300億円前後に後退。
*1:2022年から経常収益が増加した理由は、①外貨建て保険の販売好調による保険料収入の増加、②円安による海外債券の利息増加、③投資先企業の業績好調による配当金の増加、が主要因。
*2:2019年から経常利益が落ち込んでいる理由は、①COVID-19による保険金支払いの増加、②保有する有価証券の評価損・売却損の拡大、など。

✔セグメント別の状況

明治安田生命保険は、保険料収入事業(生命保険事業・損害保険事業による収入など)、資産運用事業(株式・公社債・外国証券による預かり資産運用、明治安田アセットマネジメントなどによる投資運用・助言、不動産投資・不動産管理など)、その他事業(システム開発・事務代行・金銭収納代行・有料老人ホームなど)、の3事業を有する。
当社は国内向けにはマルチブランド戦略を採らず、明治安田生命保険・明治安田損害保険を通じて保険事業を展開している(複数ブランドを展開する日本生命・第一生命との相違点である)。北米ではパシフィック・ガーディアン生命保険およびスタンポープ・フィナンシャル・グループを通じて保険事業を展開しており、保険料収入において約13%を占める。

✔最終利益と利益率

明治安田生命保険の純利益は2022年に1,041億円に下落したが、同年を除けば1,530億~2,650億円ほどで推移している。ただし、2017年頃をピークに利益は伸び悩んでいる状況。自己資本利益率も2017年には6%台を記録したが、2022年・2023年には2%台に後退している。

✔自己資本比率と純資産

明治安田生命保険の自己資本比率は11.8%(2023年)と低めだが、生命保険会社であれば健全な水準。保険会社は顧客から保険料を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。純資産は5.60兆円(2023年)に及び、業界2位の第一生命(3.88兆円・2023年)を超える。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

明治安田生命保険の平均年収は非公開だが、800万円~880万円ほどで推移していると推定される。総合職の場合、30歳で年収800万~850万円ほど、課長職へ昇格すると年収1,100万~1,200万円に到達する。MYリンクコーディネーター職の場合は、販売実績に応じて給与が決まる実力主義色が強い評価制度となっている*3。
*3:MYリンクコーディネーター職の場合、固定給は14.5万円~となっており、契約実績に応じて給与が大きく変動する。成績がよければ年収1,000万円を超える反面、成績が振るわなければ年収200万円台にも後退する。

✔従業員数と勤続年数

明治安田生命保険の単体従業員数は1.08万人(2023年)の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4.83万人ほど。平均勤続年数は直近で18.2年と生命保険業界としてはトップクラスに長い。

総合評価

企業格付け:AA

1881年に創業された日本最古の生命保険会社。2004年に旧安田財閥系の安田生命と合併したことで業界3位の地位を固めている。伝統的に企業・官公庁向け取引に注力してきた歴史があり、団体保険・団体年金では業界首位のシェアを確立(参考リンク)。業績においては2022年から経常収益を大きく伸ばしているが、経常利益・純利益は2018年頃をピークに伸び悩んでいる状況。直近において当社の増益を妨げているのは、①COVID-19感染拡大による保険料支払いの増加、②日米の金利差拡大による為替ヘッジコストの増加、③外貨建保険の標準責任準備金の積立負担、など。財務体質においては業界上位クラスの財務健全性を備えており、短期的な利益追求の必要性が薄い相互会社の形式を大いに活用して純資産を厚く保っている。この性質は資産運用にも表れており、国内公社債に比重を置いて運用することで金融環境の変動にも耐性がある資産配分としている(参考リンク)。

就職格付け:総合職=AA/トータルパートナー職=C

■総合職=A
給与水準においては日本生命・第一生命を僅かに下回る。具体的には、総合職の30歳で800万円~880万円ほど、課長職レベルで年収1,100万~1,200万円レベル。ただし、全国転勤あり総合職(career S)であれば入社6年目に営業所長に昇格すると年収1,000万円にスピード到達できる。福利厚生においては全国転勤あり総合職を優遇しており、全国転勤の代わりに月額家賃の約80%が会社負担となる。他方で、エリア転勤・非転勤型の総合職の場合は家賃補助制度・借上げ社宅の対象とならない。

■MYリンクコーディネーター職=C
MYリンクコーディネーター職は給与制度・福利厚生が別枠となっているため注意が必要。採用から半年間は固定給として支給されるが、その後は固定給+実績給へと移行する。とはいえ固定給は最少14.5万円~となるため、契約を獲得できなければ相当の低賃金になってしまう点には注意が必要。女性職種であるがゆえに、福利厚生においては子育て支援・介護支援など「仕事と家庭の両立」を支援する制度に恵まれているが、営業適性がなければ長期勤続が難しいことは課題となるだろう。

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出典:明治安田生命保険相互会社(決算情報)