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海運会社

【勝ち組?】日本郵船の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

日本郵船は、三菱グループに属する国内最大手の大手海運会社。1885年に初代三菱財閥総帥の岩崎弥太郎によって設立され、戦前から日本のフラッグシップキャリアとしてグローバルな海運輸送網を構築してきた名門企業。現在では800隻以上の船舶を保有、コンテナ船・撒積船・自動車船・タンカー・豪華客船など多種多様な船舶を運航している。海運以外にも陸上輸送・航空輸送・不動産賃貸などの事業も展開。

POINT

・戦前から日本経済を海運で支える三菱Gの海運企業、国内最大手
・売上高は年度による好不調が極端、直近は業績好調で純利益1兆円以上に
・平均年収1,322万円と高待遇だが、海運不況時は900万円台に後退

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:77(最高峰)

日本企業における最高峰クラスのキャリアであり、誰もが勝ち組として認めるレベルの待遇・名声が得られる。入社するためには人並み外れた能力・努力は当然、運も必要である。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:最難関級

総合職の採用数は年間50人ほどに過ぎず、知名度の高さもあって倍率は極めて高い。大卒総合職の出身大学もトップレベルの大学が大多数であり、極めて狭き門である。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・一橋大学・大阪大学・東北大学・神戸大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・同志社大学など(出典:マイナビ2025

業績動向

✔売上高と営業利益

日本郵船の売上高は2019年まで低迷していたが、2022年には売上高2.61兆円まで急回復*1。営業利益も2019年まで低迷に苦しんでいたが、2022年には2,963億円まで急増。
*1:2020年からCOVID-19感染拡大によるサプライチェーンの混乱で海運市況が大幅高騰、海運運賃の上昇によって売上高・利益が急増。海運業界は極めて市況変動が激しい業界であり、市況高騰と低迷を歴史的に繰り返している特徴がある。

✔セグメント別の状況

日本郵船は、定期船事業(海運・船舶貸渡・コンテナターミナルなど)、航空運送事業(航空輸送)、物流事業(倉庫業・貨物輸送など)、不定期専用船事業(外航貨物海運・船舶貸渡など)、不動産事業(不動産賃貸・管理・販売)、その他事業(客船・船舶機械販売など)の4事業を有する。
2021年からの業績好調を牽引しているコンテナ船部門は2017年に新会社・ONEとして分社化(参考リンク)。現在では持分法適用会社である同社が事業を担当しているため、日本郵船による事業セグメントではないため、当グラフには表現されていない。

✔最終利益と利益率

日本郵船の純利益は長年に渡って数百億円レベルで低迷していたが、2022年には純利益1兆円を超える爆発的な増加を経験*2。営業利益率はコンテナ船部門の好調が反映されていないことから参考になりにくいが、それでも2022年には11%前後まで回復。
*2:2021年の好決算は同年のコンテナ船の運賃高騰で持分法適用会社のONEが純利益2.2兆円を確保したことに起因。同社からの持分法投資利益が純利益を7,000億円以上も押し上げている事情がある。

✔自己資本比率と純資産

日本郵船の自己資本比率はかつて20%台での推移が続いていたが、2021年から爆発的に増加。2022年には65.6%に到達して極めて健全な水準まで急回復。純資産は2014年頃から業績悪化で停滞していたが、2021年からは巨額利益を上げたことで2兆円以上にまで急増。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本郵船の平均年収は直近で1,322万円と高水準。大卒総合職であれば30代で1,000万円を超える。業績により賞与額が大きく変動するため、業績低迷時には平均年収900万円台に後退する。平均年齢は40歳前後の水準で横ばい推移。

✔従業員数と勤続年数

日本郵船の単体従業員数は微増傾向にあるが、直近でも1,299名に留まる。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は3.55万人ほど。平均勤続年数は13.8年とやや短めの水準だが、これは離職率が高い海上職が平均勤続年数を押し下げている為であり総合職の離職率は1%前後*3。
*3:日本郵船が公開している人事データのうち3年後離職率欄を確認されたい(参考リンク

総合評価

企業格付け:AAA

■業界ポジション
国内最大手の海運企業、島国日本の物流の根幹を支える企業であり戦前から日本経済を物流で支えてきた超名門企業。商船三井とは企業規模ではほぼ同格であるが、川崎汽船とは売上高で約2倍もの大差をつけて引き離す。

■業績動向
浮き沈みが極端に激しい。直近では純利益1兆円を超えて絶好調だが、2019年までは業績不振に喘いでいた。海運市況による業績好調と業績不振を歴史的に繰り返してきた過去があり、今の好調が永続することはまずない。

■財務体質
急回復。2020年までは自己資本比率20%台で低迷していたが、2021年以降の利益急増をよって2022年には自己資本比率65.6%まで急回復を遂げた。純資産は2兆円以上に膨れ上がっており、次の海運不況が到来したとしても耐えられるだけの財務基盤が整った。

就職格付け:AAA

■給与水準
直近の平均年収は1,322万円と高いが、これは業績好調により賞与が激増したことが主要因。海運不況期には平均年収900万円台まで後退するため、安定性はない。大卒総合職かつ業績堅調ならば30代で900万~1,000万円、課長職レベルなら1,200万~1,500万円にはなる。

■福利厚生
良い。若手社員には食堂付きの独身寮が与えられる他、借上げ社宅制度もあるため住宅コストの負担は極めて軽く済む。平均残業時間は19時間(2022年)とそれほど長くなく、平均有給取得日数も18.8日(2022年)と休みも取りやすい。

■キャリア
陸上職事務系・陸上職技術系・海上職の3職種制であり、このうち陸上職がいわゆる総合職に該当する。陸上職事務系は営業・運航管理・経営企画・法務・人事などに従事し、陸上職技術系は造船計画・発注・建造監督・技術開発などに従事する。総合職の5人に1人は海外赴任しており、赴任期間は3年前後。海上職は機関士や航海士などを経験しつつ、最終的には船長・機関長を目指すことになる。

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出典:日本郵船株式会社(有価証券報告書)