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【勝ち組?】岡三証券の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

岡三証券グループは、独立系の準大手証券会社。1923年に三重県津市で加藤清治が創業した岡三商店が源流企業。戦前は三重県の地場証券会社であったが、戦後になると大阪・東京・名古屋へと進出。現在では東海東京証券と共に準大手証券会社として認知される。現在では持株会社の傘下に岡三証券・岡三にいがた証券・三晃証券・三緑証券・証券ジャパン・岡三情報システム・岡三キャピタルパートナーズなどの事業会社が揃い、フルライン証券会社としての機能を有している。

POINT

・中部地方が地盤の準大手証券会社、対面営業を重視
・営業収益・利益の低迷が続いていたが2023年は業績好転、財務体質は普通
・総合職の30歳で年収550万〜850万円、営業適性があれば更に伸びる

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:部門別=68(廃止)/総合職=60

部門別:かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス。
総合職:上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼないだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:部門別=至難(廃止)/総合職=中難易度

採用実績は年間140名~200名ほどだが、うち50名ほどはエリア総合職としての採用。人格重視の採用方針のため、中堅大学からも幅広い採用実績がある。
採用大学:【国公立】神戸大学・岐阜大学・福島大学・愛知県立大学・高崎経済大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・立命館大学・関西大学・日本大学・近畿大学・東海大学・成城大学・獨協大学・愛知大学・皇學館大学・愛知淑徳大学・九州ルーテル学院大学など(出典:就職四季報)

業績動向

✔売上高と経常利益

岡三証券グループの営業収益は2022年まで650億~740億円ほどで推移していたが、2023年には845億円まで増加。営業利益も2022年まで減少傾向が続いていたが、2023年には161億円まで急回復*1。
*1:2023年に営業利益が急伸した理由は、①国内外における株式市場の好調による取引手数料の増加、②新NISAの開始による投資信託の販売好調、など。日経平均株価が約34年ぶりに史上最高値を更新したことで、個人投資家の投資意欲が向上したことが追い風となった。

✔セグメント別の状況

岡三証券グループは、投資金融サービス事業(有価証券売買・委託媒介、引受け・売出し・募集など)のみの単一事業会社である。
当社は国内69拠点・海外2拠点を展開する他、グループ会社には岡三にいがた証券・三晃証券・三縁証券などがある。手数料無料を掲げるネット証券に対して、当社は実店舗網を生かしての「対面営業・コンサルティング」を重視した営業方針を採る(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

岡三証券グループの純利益は年度により好不調が分かれるが、2023年は131億円まで急増。営業利益率も年度により好不調が分かれており、2022年には赤字圏に転落した一方で2023年には19%まで急上昇している。

✔自己資本比率と純資産

岡三証券グループの自己資本比率は直近で16.5%と低水準だが、これは証券業の特性によるもの。顧客から預金・有価証券を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。純資産は横ばい傾向が続いていたが、2023年に2,141億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

岡三証券グループの平均年収は直近で1,049万円と高めの水準だが、これは持株会社の37名のみの平均年収。事業会社の場合、総合職の30歳で年収550万〜850万円ほど、課長職レベルで900万〜1,100万円ほどと推定。実力があれば20代でも1,000万円を超えるが、実績がなければ中高年でも給料は伸びない。

✔従業員数と勤続年数

岡三証券グループの従業員数は直近でも37人に留まり、従業員の殆どは事業会社に属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3,200人ほど。平均勤続年数は2.5年と極端に短いが、これは持株会社の37名のみの平均勤続年数であるため参考にならない*3。
*2:事業会社の平均勤続年数は11.0年(2023年)となっており、証券会社に世間が抱くイメージほど短くはない(参考リンク)。

総合評価

企業格付け:CC

全国69拠点を展開する準大手証券会社であり、とりわけ創業の地である中部地方においては有名企業である。いずれの企業グループにも属さない独立系の証券会社でありながら、準大手まで登り詰めた歴史を持つ。なお、社名の由来は創業者の姓ではなく、創業当時の出資者にあたる岡副氏の姓が由来である。顧客口座数は約100万口座であり、野村證券(540万口座)やSMBC日興証券(390万口座)と比較しても規模感は意外と小さい。業績においては成長性が頭打ちの状態が続いていたが、2023年は国内外の株式市場の好調を追い風に好転。2018年から2022年まで営業利益▲10億~50億円ほどで低迷していたが、2023年には営業利益161億円まで急伸した。とはいえ、ネット証券が手数料無料を掲げて顧客基盤を充実させている状況にあり、手数料が割高な当社は不利な状況が否めない(参考リンク)。創業100周年の節目に策定した中期経営計画では、店舗戦略の見直しや顧客体験の進化などが掲げられるが、時代の趨勢である対面証券の衰退を打開できるかは疑問(参考資料)。

就職格付け:部門別=AA/総合職=C

■部門別採用=A(廃止)
当社は部門別コースを用意しており、グローバルマーケッツコース・アセットマネジメントコース・デジタルITコースが個別募集を行っている。業界準大手の花形部門へ直行できるキャリアパスが確約される点は大きな魅力。支店での転勤を繰り返すことなく本部直行でき、金融マーケットの根幹に関わる経験を積める点は高く評価できるだろう。大手金融機関のブレイン採用枠へ応募する際には併願することを前向きに検討したい。とはいえ、大手証券会社と比較すると規模がかなり小さいため、どうしても投資銀行部門で働きたい意欲がない場合は慎重に判断したい

■総合職=C
当社は全国型総合職・エリア総合職の2職種の採用枠が用意されており、後者は転勤範囲が限定のうえ採用される。給与水準においては総合職の30歳で年収550万〜850万円ほど、課長職レベルで900万〜1,100万円ほどが目安。当社は個人投資家向けの対面営業を主力とする為、大手証券以上に営業素質が問われる傾向が強い。良くも悪くも適性がハッキリと別れる職種であるため、自分の適性をしっかりと判断しておきたい。逆に、営業適性に自信があるならば学歴不問で出世を目指せる人生逆転コースとして就職するのも戦略的。当社は人格重視の採用方針であるため中堅大学からも積極採用を進めており、大学名を問われずに高収入に登り詰めるチャンスが広がっているのは大きな魅力であろう。

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出典:株式会社岡三証券グループ(有価証券報告書)