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【勝ち組?】小野薬品工業の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

小野薬品工業は、がん治療薬・糖尿病治療薬などを主力とする大手製薬メーカー。1717年に伏見屋市兵衛が薬種仲買店として大阪府で創業。終戦後の1947年から西洋医薬品の本格製造に着手して現社名・小野薬品工業へと社名変更。当時は大衆医薬品で規模を拡大したが、1960年代以降は医薬品製造へと転換して世界初となる先端医薬品を続々と発売。2014年にはがん治療薬「オプジーボ」を発売、がん免疫治療薬の市場を切り開いたことで業績急拡大を果たした。

POINT

・世界初の新薬を多数擁する大手製薬メーカー、がん免疫治療を開拓
・売上高・利益は右肩上がりで増加、財務体質も極めて良好
・平均年収986万円と製薬メーカー上位級、福利厚生は住宅補助が手厚い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:73(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用人数は年間60人~70人ほど。業界トップクラスの大手製薬メーカーと比べれば知名度は劣るが、それでも人気度は相当である。総合職の出身大学もハイレベル大学で固められており、競争はやはり激しい。
採用大学:【国公立】大阪大学・九州大学・神戸大学・大阪府立大学・岐阜薬科大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・北里大学・昭和薬科大学・神戸薬科大学など(出典:リクナビ2025

業績動向

✔売上高と営業利益

小野薬品工業の売上高は右肩上がりの増加傾向にあり、2023年には5,026億円に到達。営業利益も売上高に比例して増加しており、2023年には1,599億円を記録。
*1:業績拡大の理由は、①2014年に発売したがん治療薬「オプジーボ」の販売急拡大、②「オプジーボ」で提携関係にあるブリストルマイヤーズスクイブ社からのロイヤルティ収入の拡大、③糖尿病治療薬「フォジーガ」の販売量増加、など。

✔セグメント別の状況

小野薬品工業は、医薬品事業(がん治療薬「オプジーボ」・糖尿病治療薬「グラクティブ」・糖尿病治療薬「フォシーガ」など)のみの単一事業会社である。ただし、売上高の約35%は他社からのロイヤルティー収入となっている。
当社のロイヤルティ収入元は、①ブリストルマイヤーズスクイブ社からの「オプジーボ点滴静注」のロイヤルティ収入、②メルク社からの「キイトルーダ」のロイヤルティ収入、となっている。

✔最終利益と利益率

小野薬品工業の純利益は2019年ごろから右肩上がりで増加。ただし利益好調の持続性には課題も*2。営業利益率は20%〜30%以上と大いに良好な利益率を誇る。
*2:当社の利益急拡大を支えてきたがん治療薬「オプジーボ」は2031年までに日米欧市場で特許切れに。当社は売上高の約48%を同薬で稼いでおり、特許切れまでに次の主力薬品を開発できるかが今後の命運を左右する事情がある。

✔自己資本比率と純資産

小野薬品工業の自己資本比率は長期的に85%前後の朝高水準で安定的。大手製薬メーカーとしてもトップクラスの水準にある。純資産は長期的に増加傾向にあり、直近の2023年には9,137億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

小野薬品工業の平均年収は長期的な微増傾向が続いており、直近では986万円に到達。総合職の場合、30歳で年収780万~880万円、課長職レベルで年収1,250万~1,500万円が目安。平均年齢は直近で43.8歳と、大企業として標準的な水準にある。

✔従業員数と勤続年数

小野薬品工業の単体従業員数は2020年以降は3,200人〜3,400人規模で安定的。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3,800人ほど。平均勤続年数は直近で16.8年ほど。

総合評価

企業格付け:AA

大手製薬メーカーと比べると企業規模は明らかに小さいが、世界初となる優れた医薬品を何度も生み出してきた歴史を持つ。とりわけ2014年に発売したがん免疫治療薬「オプジーボ」は、従来の放射線治療抗がん剤治療以外の新たな治療法としての免疫治療を生み出し、企業理念たる「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」を体現した画期的新薬である。そのため2014年以降は業績は右肩上がりで絶好調であるが、唯一課題は同薬が2031年までに特許切れを迎えること。現在の当社は実に売上高の約半分を同薬に依存しており、2031年までに「オプジーボの次」となる新薬を生み出せるか?時間との闘いを繰り広げている。

就職格付け:A

大衆薬は手がけていないために一般知名度は極めて低いが、人類と病との戦いの最前線にたつ医薬品を生み出し続ける在阪製薬メーカーの雄。平均年収は微増傾向が続いており直近では986万円に到達。トップクラスの大手製薬メーカーと比べるとやや低いが、それでも十分に良好な水準であろう。福利厚生として家賃補助制度・借上げ社宅制度が充実しており、若手社員のうちは月額5,000円程度の自己負担で済む。創業300年以上の老舗企業だけあって今なお年功序列色が色濃く、一定の職位までは年功序列で横並びで昇進できる。本社は大阪所在であるものの、研究所は大阪茨城に立地するほか工場は静岡山口に立地するなど意外と拠点が全国に分散している点には留意。

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出典:小野薬品工業株式会社(有価証券報告書)