企業概要
伊藤忠テクノソリューションズは、伊藤忠商事グループのシステムインテグレータ。1972年に伊藤忠商事が100%出資してシステム子会社・伊藤忠データシステムとして発足。1999年に東京証券取引所への株式上場を果たした。2006年にはCRCソリューションズと経営統合して、法人向けITシステムのコンサルティング・設計・開発へと事業規模を拡大。2023年には親会社の伊藤忠商事が当社株式の100%を取得して完全子会社化、伊藤忠商事グループにおけるIT中核会社としての地位を固めた。
・伊藤忠商事グループのシステムインテグレータ、製品販売の比率が高い
・売上高・利益は長期的な成長な継続、財務体質も大いに安定的
・平均年収1,076万円と業界上位級、福利厚生はそこそこレベル
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:69(上位)
かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:やや難関
総合職の採用人数は年間150名~210名とIT企業としては相当の大規模採用。高待遇ながらも多種多様な大学から採用しており、学歴にも寛容である。
採用大学:【国公立】京都大学・名古屋大学・北海道大学・筑波大学・広島大学・千葉大学・静岡大学・熊本大学・大阪公立大学・東京農工大学・豊橋技術科学大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・上智大学・中央大学・関西学院大学・成蹊大学・国士舘大学・大東文化大学・サイバー大学など(出典:マイナビ2027)
業績動向
✔売上高と営業利益
伊藤忠テクノソリューションズの売上高は2021年から増加傾向にあり、2024年には過去最高となる7,282億円に到達。営業利益も緩やかな増加傾向が長期的に続いており、2024年には過去最高となる676億円に到達している。
*1:当社の売上高が長期的に成長している理由は、①民間企業・自治体における旺盛なDX需要によるシステム投資の拡大、②2010年代後半からのクラウドサービスへの移行ニーズ拡大、など。
✔セグメント別の状況
伊藤忠テクノソリューションズは、サービス事業(システム運用・保守、クラウドサービスなど)、開発事業(ITインフラ構築・システム構築・アプリケーション開発など)、製品販売事業(製品・ソフトウェア販売・通信環境整備など)、の3事業を有する。
当社はシステムインテグレータとして多種多様なITソリューションを提供しており、顧客企業は省庁・自治体・金融業・製造業・サービス業・通信キャリアなど極めて広範に渡る。製品販売が約40%を占めており、海外企業300社以上の先端技術を組み合わせて提供するビジネスモデルに特徴(参考リンク)。
✔最終利益と利益率
伊藤忠テクノソリューションズの純利益は緩やかな増加傾向が続いており、2024年には過去最高となる503億円に到達している。営業利益率は7%~9%ほどで推移しており、IT企業としては標準的な水準。
✔自己資本比率と純資産
伊藤忠テクノソリューションズの自己資本比率は52%~56%ほどで安定的に推移しており、負債に依存しすぎない事業運営ができている。純資産は過去8年間に渡って増加傾向が続いており、2024年には3,608億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
伊藤忠テクノソリューションズの平均年収は緩やかな増加傾向が続いており、2023年には1,076万円まで上振れ。大手システムインテグレータとしては最上位クラスの給与水準となっている。総合職の場合、30歳で年収850万〜950万円、課長職レベルで年収1,200万~1,400万円ほどが目安となる。
✔従業員数と勤続年数
伊藤忠テクノソリューションズの単体従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、2024年には5,983人まで組織規模を拡大。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.22万人ほど。平均勤続年数は13.4年(2023年)と、大手企業の標準的な水準を下回る。が、人材の流動性が高いIT業界としては長め。
総合評価
企業格付け:BBB
伊藤忠商事グループにおいてIT分野の中核を担う企業であり、システムインテグレータ業界においても上位5社に食い込む事業規模を誇る大手。同業他社との特徴は、製品販売分野(国内外企業のITソリューションを顧客ニーズに応じて組み合わせて販売する)が売上高の約41%を占める点にあろう。業績においては長期的な成長基調が続いており、2024年には過去最高となる売上高7,282億円に到達。営業利益・純利益においては先行投資の嵩みを受けつつも前年比増は保ちつつづけている。財務体質においても自己資本比率56.3%(2024年)と良好であり、安定的な利益体質を加味すれば十分すぎる水準であると評価できよう。
就職格付け:A
2006年に伊藤忠テクノサイエンスとCRCソリューションズが合併して誕生した企業。同2社はいずれも伊藤忠商事グループの企業であったが、伊藤忠テクノサイエンスが製品販売分野に強く、CRCソリューションズがシステム設計・開発を得意としていた経緯がある。給与水準においては平均年収1,076万円(2023年)と、システムインテグレータとしては業界最上位クラス。総合職の場合、30歳で年収850万〜950万円、課長職レベルで年収1,200万~1,400万円ほどが目安となるだろう。福利厚生においては新卒入社から独身寮(月額3万円)が4年間に渡って与えられるが、その後の家賃補助制度はなし。会社制度としてテレワークを推進しており「勤務地から片道100km圏内」までの居住を認めている(参考リンク)。