企業概要
マツキヨココカラ&カンパニーは、都市型ドラッグストア『マツモトキヨシ』『ココカラファイン』を展開する小売会社。1932年に千葉県松戸市で松本清が個人薬局として創業。1980年代には上野・アメ横や渋谷への出店を進め、取扱商品に化粧品・文房具・雑貨などを加えたことで、若者層の人気を獲得。積極的なテレビコマーシャルで知名度を高め、全国展開を進めた。2021年に同業大手のココカラファイングループと経営統合。現在ではドラッグストア業界3位の企業規模を誇る。
・都市型ドラッグストア最大手、ココカラファインとの経営統合で規模拡大
・売上高・利益いずれも増加傾向、財務体質も負債が少ない優良体質
・総合職30歳で年収550万~620万円、転勤者は借上げ社宅が無料
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:55(準中堅)
上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとして準中堅クラスの待遇を得られる。世間一般に見劣りすることのない、普通の人生を送ることができるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:易しい
総合職の採用実績は年間250名~330名ほど、ドラッグストアとしてトップクラスの企業規模ながらも、多種多様な大学から採用があり学歴には寛容。
採用大学:【国公立】金沢大学・埼玉大学・新潟県立大学・岩手県立大学など、【私立】法政大学・学習院大学・東洋大学・専修大学・拓殖大学・名城大学・産業能率大学・帝京平成大学・大阪経済大学・昭和大学・相愛大学・朝日大学・甲子園大学・相模女子大学など(出典:マイナビ2027)
業績動向
✔売上高と営業利益
マツキヨココカラ&カンパニーの売上高は2021年から急激な増加傾向が続いている。2021年にココカラファインと経営統合、2024年には過去最高となる売上高1.06兆円に到達している*1。営業利益も2020年まで310億~375億円ほどで推移していたが、2024年には過去最高となる820億円に到達。
*1:2021年~2023年に売上高・利益が急激に伸びた要因は、①COVID-19感染拡大が一服したことで都市部・駅周辺店舗への来客が回復した点、②訪日外国人の増加によるインバウンド需要の回復、③化粧品・プライベートブランドの販売好調、④経営統合したココカラファインとのシナジー拡大、が主要因。
✔セグメント別の状況
マツキヨココカラ&カンパニーは、マツモトキヨシ事業(都市型ドラッグストア『マツモトキヨシ』の運営)、ココカラファイン事業(都市型ドラッグストア『ココカラファイン』の運営)、管理サポート事業(グループ会社経営管理・商品仕入れ・間接業務受託・外部への商品供給)、の3事業を有する。
当社は都市型ドラッグストアの展開を得意としており、都市部の駅前などの好立地店舗が主力。食料品などの安売りで顧客を呼び込む必要がある郊外型ドラッグストアとは異なり、医薬品・化粧品など高利益率商品を低コストで販売しやすい点に強みがある。
✔最終利益と利益率
マツキヨココカラ&カンパニーの純利益は2020年にやや腰折れしたが、同年以降には増加傾向。2024年には過去最高となる純利益546億円に到達。営業利益率は2022年まで5%~6%で安定していたが、2024年には7%以上に上振れ。ドラッグストアチェーンとしては高い利益率を誇る。
✔自己資本比率と純資産
マツキヨココカラ&カンパニーの自己資本比率は長期的に70%前後の水準で推移しており、財務健全性は極めて良好。純資産も長期的な増加傾向が続いているうえ、2021年にはココカラファインとの経営統合により急増。2022年には純資産5,214億円に到達している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
マツキヨココカラ&カンパニーの平均年収は727万円(2024年)だが、これは持株会社の従業員の74人の平均年収であるため参考にならない。事業会社の総合職の場合、30歳前後で店長に昇格すると年収550万~620万円に到達、課長クラスで年収830万~920万円ほど。薬剤師職は年収450万~650万円が目安。
✔従業員数と勤続年数
マツキヨココカラ&カンパニーの持株会社の従業員は74人(2024年)と僅かであり、殆どの従業員は事業会社に属している。事業会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.27万人ほど。平均勤続年数は15.6年(2024年)だが、これは持株会社の74人の平均勤続年数であるため参考にならない。
総合評価
企業格付け:CCC
■業績動向
拡大基調。もともと同業大手よりも利益率が高かったが、2021年にココカラファインとの経営統合を経て、売上高・利益いずれも躍進。今や売上高1兆円を超える巨大ドラッグストアチェーンへと飛躍した。COVID-19感染終息によって都市型ドラッグストアを主力とする当社の強みが伸長した他、ココカラファインとの販売ノウハウ共通化などのシナジーが業績を底上げ。
■財務体質
強固。長年に渡って財務健全性に相当以上の気を使っており、実質無借金経営。有利子負債は12億円(2024年)に留まり、企業規模を考えれば「銀行とのお付き合い」程度のみ。経営統合で合流したココカラファインも長年に渡って無借金経営を貫いてきた企業であった為、経営統合を経ても尚、自己資本比率70%前後の極めて優良な財務体質を誇る。
■ビジネス動向
経営目標として「2025年までの売上高1.5兆円・営業利益率7%」を掲げる。業界1位のウェルシアを売上高で大きく抜き去り、利益率でも業界断トツ首位レベルを目指すことであるから、相当な野心的目標である。店舗戦略という観点では業界トップレベルの都市型店舗網を確立しており、次なる関心事は顧客データ活用によるマーケティングの強化である。2024年にはマツモトキヨシとココカラファインのアプリを統合、顧客データベースの共通化を急ぐ。
就職格付け:CC
■給与水準
30歳前後の店長で年収550万~620万円が目安、小売業界では高めの給与水準を提示している。店舗数が同業最多であるため店長ポストも多く、しっかりと実力を示せば早々に店長職へ昇格可能。薬剤師職は年俸制となっており、入社時から年収460万円~505万円の給与レンジとなっている。
■福利厚生
業界内では上位級。転勤者には借上げ社宅が無料で与えられるうえ、赴任手当として5万円が支給される。会社都合の転勤者とはいえ、自己負担ゼロというのは極めて珍しい厚待遇である。従業員割引制度により、店舗での買い物は全商品が10%オフとなるため長期的な恩恵は大きい。従業員の誕生日にはカタログギフトも贈呈される。
■キャリア
総合職・薬剤師職の2職種制。総合職は将来的にグループ経営を担う幹部候補生として店長・本社部門などを目指す。薬剤師職はまずは管理薬剤師を目指すものの、将来的には店長や本社部門への異動も可能。いずれも職種も店長・管理薬剤師などにまずは昇格しない限り、いち店舗スタッフに過ぎないため、店舗で実力を発揮して店長・管理薬剤師に昇格することを目指す必要がある。
出典:株式会社マツキヨココカラ&カンパニー(有価証券報告書)