企業概要
ホシザキは、業務用の製氷機・冷蔵庫・食器洗浄機などを製造する電機メーカー。1947年にブラザー工業に勤務していた坂本薫俊がミシンメーカーとして創業。1965年には国産初となる全自動製氷機がヒットしたことで飲食店向け機器メーカーへと業態転換。1972年には業務用冷蔵庫を発売、日本全国の販売会社網を通じた直販体制を確立して飲食業界への販路を開拓。現在では業務用の製氷機・冷蔵庫などで国内シェア首位。海外進出にも積極的であり、海外売上高比率は40%を超える。
・業務用製氷機・業務用冷蔵庫において国内シェア首位、愛知県地盤
・売上高・利益は2020年から急回復して過去最高圏、無借金経営で財務健全
・平均年収751万円だが賞与比率が高め、福利厚生は普通レベル
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:63(中堅上位)
サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関
総合職の採用実績は年間25名~30名と少なめ。地盤である愛知県では優良企業として知られており、中部地方の出身者を中心に一定以上の人気がある。
採用大学:【国公立】名古屋大学・名古屋工業大学・静岡大学・愛知県立大学・豊橋技術科学大学など、【私立】慶応義塾大学・同志社大学・関西学院大学・名城大学・愛知大学(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
ホシザキの売上高は、2020年から右肩上がりの成長傾向にあり、2023年には過去最高となる売上高3,735億円に到達*1。営業利益も2020年から成長傾向にあり、2023年には過去最高となる営業利益435億円に到達。
*1:2020年から売上高が増加している理由は、①主要顧客の外食業界のCOVID-19影響一服、②海外市場への事業拡大の進展、③世界的な物価上昇に対応した値上げ対応、など。
✔セグメント別の状況
ホシザキは、製氷機事業(キューブ製氷機・チップ製氷機・異形製氷機など)、冷蔵庫事業(縦型冷蔵庫・冷蔵ショーケース・恒温高湿庫など)、食器洗浄機事業(食器洗浄機・器具洗浄機など)、ディスペンサー事業(生ビール・炭酸飲料ディスペンサー、ティーサーバーなど)、保守・修理事業(点検・修理・整備など)、他社仕入商品事業(厨房シンク・ガス機器・調理台など)、その他事業(電解水生成装置・ネタケース・電子レンジ・真空包装機など)、の7事業を有する。
当社は製氷機メーカーとして発展した企業であり、企業ロゴのペンギンマークにもその名残がある。しかし現在では総合厨房機メーカーとして発展しており、外食業界・農林水産業界・スーパーマーケットなどが必要とする多種多様な業務用機器をラインナップしている。
✔最終利益と利益率
ホシザキの純利益は2020年のみ114億円に低下*2したが、同年を除けば210億~260億円で安定的。2023年には過去最高となる純利益328億円に到達している。営業利益率は2020年~2021年を除けば10%以上で推移しており、電機メーカーとしては大いに良好な利益率を誇る。
*2:2020年に純利益が減少した理由は、①主要顧客の外食産業がCOVID-19感染拡大で大打撃を受けたことで設備投資を控えた点、②為替レートが円高に振れたことによる為替差損、など。
✔自己資本比率と純資産
ホシザキの自己資本比率は、過去8年間に渡って65%~70%前後で極めて安定的。実質無借金経営を達成しており、負債に依存しない財務規律を確立している。純資産も右肩上がりの推移が続いており、2023年には3,329億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ホシザキの平均年収は2020年を除けば720万〜760万円で安定的に推移している。総合職の場合、30歳で年収600万〜680万円、課長職レベルで年収900万~1,000万円が目安。賞与比率が高めの給与制度となっており、業績好調であれば毎年6か月分以上は支給されている。
✔従業員数と勤続年数
ホシザキの単体従業員数は長年に渡って1,100人~1,200人レベルで安定的に推移している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.33万人ほど。平均勤続年数は減少傾向が見られるが、直近でも17.8年と大企業の標準的水準。
総合評価
企業格付け:CCC
業務用厨房機器におけるトップ企業の一角。とりわけ業務用製氷機・業務用冷蔵庫においては国内シェア首位に長年に渡って君臨しており、当社の牙城となっている。一般家庭向けの冷蔵庫はハイアール・ミデアをはじめとする外資系家電メーカーによる価格競争が激化している一方、当社が扱う業務用冷蔵庫は信頼性・耐久性が極めて重視されることから当社の独壇場が今なお続いている。業績は2020年のCOVID-19感染拡大期に(主要顧客の外食産業が大打撃を受けたことで)一時的に低下したが、同年以降は急回復。2023年には売上高・利益いずれも過去最高を更新しており、足元の業績は絶好調。財務体質においても自己資本比率70%レベルと隙は無く、長年に渡って無借金経営を継続。当社の強みは「営業利益率10%以上」を安定的に稼ぎ出せる高い利益率にあり、電機メーカーとしては大いに良好な利益率を叩き出せる点にある。外食業界にとっての当社は「多少割高であっても当社製品であれば指名買いできる」それだけ重要な存在なのである。強いていえば、2019年に不適切会計によるスキャンダルが発覚(参考リンク)。子会社における無理な販売目標が不正を生んだ事件として世間を騒がせた経緯がある。
就職格付け:CCC
愛知県を地盤とする電機メーカーであり、中部地方においては優良企業として広く知られた存在。一般知名度はそれほど高くはないものの、レストランやスーパーマーケットにおいて当社企業ロゴの「可愛らしいペンギンマーク」を一度は目にしたことがあるだろう(実に50年以上に渡って使用され続けている当社のアイコンでもある)。給与水準は2020年を除けば平均年収700万円以上で安定しており、地盤の中部地方であればかなりの高水準。総合職であれば30歳で年収600万~680万円、課長職レベルなら年収900万~1000万円に達する。当社の給与制度の特徴として「基本給は低めに抑えて賞与と手当で補う」方針があり、大卒総合職の初任給は「基本給19.49万円+地域手当0.2万~2.89万円(2023年)」となっている。結果的には世間の相場並みの給与は得られるが、業績悪化時に賞与を削られると痛手になりやすいか。福利厚生についても独身寮・借上げ社宅制度などはあるが、対象者は限られるため必ずしも適用されるとは限らない。勤務地は本社が愛知県豊明市に所在しているが、生産拠点は島根県雲南市と極めて遠方に立地している。そのため中部地方出身者であっても愛知県内での生活が確定するわけではない点にも注意。