企業概要
フロンティア・マネジメントは、経営コンサルティング・M&Aアドバイザリー・経営執行支援・事業再生支援を主力とする経営コンサルティング会社。2007年に産業再生機構出身の大西正一郎らが経営コンサルティング会社として創業。2018年には東京証券取引所に株式上場を果たした。コンサルタント・アナリストだけでなく、弁護士・会計士・税理士が多数所属しており、高度な専門性に基づいたハンズオンの経営支援を得意とする。とりわけM&Aアドバイザリーでは国内上位10社に数えられる実績を誇る。
・新興の日系戦略コンサル会社、M&Aアドバイザリーに強い
・売上高・利益は成長が続く、積極的な事業拡大で財務体質がやや悪化
・平均年収1,268万円だが福利厚生は乏しい、キャリア価値は相当に高い
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:74(最上位)
上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼなく、良好な人生を送ることができる可能性が高いだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:至難
コンサルタントの採用数は年間10名〜15名に過ぎず、門戸は狭い。当社は上流工程に携われるコンサル会社であるために人気急上昇中であり、ハイレベル大学からの採用が多い。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・一橋大学・東京工業大学・東京外国語大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・中央大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
フロンティア・マネジメントの売上高は右肩上がりの増加傾向が続いており、2023年には過去最高となる100.2億円に到達*1。営業利益は2021年まで伸び悩んでいたが、同年からは増加傾向に転換。2023年には過去最高となる12.5億円に到達。
*1:当社の売上高が増加している理由は、①業績好調を受けたコンサルタント増員による規模拡大、②経営執行支援・DX支援などの新規ソリューションの拡大、③M&Aアドバイザリーにおける大型案件の受注増加、など。
✔セグメント別の状況
フロンティア・マネジメントは、コンサルティング・アドバイザリー事業(経営コンサルティング・M&Aアドバイザリー・再生支援など)、投資事業(中長期的な企業価値向上を目指した直接投資、経営人材の派遣など)、の2事業を有する。
当社は売上高の約98%をコンサルティング・アドバイザリー事業で稼いでおり、実質的にはコンサル専業会社である。投資事業は2022年に設立したフロンティア・キャピタルが担っているが、事業開始から間もないこともあり、利益には結びついていない(参考リンク)。
✔最終利益と利益率
フロンティア・マネジメントの純利益は、2023年に過去最高となる7.8億円に到達。営業利益率は2018年から8%〜14%レベルで横ばい。コンサルティング会社としてはそれほど高利益率ではないが、事業拡大への先行投資が嵩んでいる事情も大きい。
✔自己資本比率と純資産
フロンティア・マネジメントの自己資本比率は2019年の66.8%をピークに下落傾向。事業拡大に向けた有利子負債の増加によって自己資本比率は低下しており、直近の2023年は34%となっている。純資産は2023年に68.7億円に急増している*2。
*2:2023年に純資産が急増した理由は、①仏Athema社との資本業務提携による第三者割当増資(参考リンク)、②フロンティアキャピタルの事業開始に向けた第三者割当増資(参考リンク)、など。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
フロンティア・マネジメントの平均年収は長期的に1,200万〜1,390万円ほどで安定的に推移。30歳のコンサルタントで年収850万〜1,000万円ほど、マネージャーレベルで年収1,250万〜1,500万円ほど。これらの年収には、固定残業代45時間が含まれる。
✔従業員数と勤続年数
フロンティア・マネジメントの単体従業員数は右肩上がりの増加傾向が続いており、直近の2023年は328人ほどの組織体制。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は370人ほど。平均勤続年数は直近でも3.1年に留まるが、これは採用強化により新入社員が増加している事情による。
総合評価
企業格付け:A
2007年に創業された新興の日系戦略コンサルティングファーム。社内に弁護士・会計士・税理士など士業の有資格者の他、金融機関や事業会社の出身者も数多い。各専門分野に精通した専門家を社内に擁することで、各分野にまたがる専門的知見を結集しつつ、高品質かつスピーディな経営課題の解決をワンストップで支援することが当社の特徴である。業績は右肩上がりでの成長が続いており、2023年には売上高・利益いずれも過去最高を更新。更なる事業拡大に向けて、フランスのM&Aアドバイザリー会社Athema社と資本業務提携した他、投資事業を担う事業会社としてフロンティアキャピタルを立ち上げた。こうした先行投資が嵩んでいることで有利子負債が増加して自己資本比率が低下傾向にあることは気がかりだが、第三者割当増資を駆使して純資産は過去最高となる68.2億円まで積み上がった状況。更なる事業拡大に向けた飛躍が実るか、性急な事業拡大スピードが裏目になるかが問われる局面である。
就職格付け:AA
一般知名度は極めて低いが、コンサルティング業界において知名度を急速に高めている新興の戦略コンサルティングファーム。大手ファームと比べると事業規模は小さいが、戦略策定やM&Aなど上流工程に携われることから評価は高い。従業員数328人(2023年)という少数精鋭の組織体制であるため、従業員1人の所轄範囲や責任は重く、スピード感あるコンサル経験を蓄積できる。給与水準においては平均年収1,200万〜1,390万円とかなり恵まれ、30歳のコンサルタントで年収850万〜1,000万円ほど、マネージャーレベルで年収1,250万〜1,500万円ほど。が、福利厚生は給与に含みとなっており、家賃補助制度や借上げ社宅制度も当然ない。退職金もないため、上記の年収は退職金も含んだ額であると理解しておく必要があるだろう。そのため、金銭的に著しく恵まれるわけでもないのだが、当社において得られる戦略コンサルティングやM&Aアドバイザリーの経験自体が非常に貴重かつ市場価値が高いことを思えば、やはり相当以上の価値があると言えるだろう。