企業概要
ファミリーマートは、コンビニエンスストア『ファミリーマート』を展開する伊藤忠商事傘下の大手小売会社。1973年に西友ストアー(現・西友)が埼玉県でコンビニエンスストア実験店舗として開業、1963年に『ファミリーマート』として正式開業。1978年にフランチャイズ展開を開始し、1981年に株式会社として独立。1994年に伊藤忠商事に株式売却され、伊藤忠商事グループ入りを果たした。2016年には同業のサークルKと経営統合、ローソンを抜いて業界2位の店舗数へと躍進。
・日系コンビニチェーン業界2位、大手3社中で唯一の日本発祥ブランド
・売上高はやや減少するも利益は安定的、財務体質は大いに良好
・総合職・30歳で年収520万円〜が目安、全国転勤への理解は必須
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:57(中堅)
上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼなく、良好な人生を送ることができる可能性が高いだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:やや易しい
総合職の採用人数は年間80人~110人と、同業のローソンよりも少ない。小売業界では上位クラスの給与を得られるが、いかんせん業界自体の不人気もあって選考倍率は高まりにくい。
採用大学:【国公立】神戸大学・滋賀大学・富山大学・新潟県立大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・中央大学・東海大学・駒澤大学・近畿大学・甲南大学・拓殖大学・名城大学・玉川大学・神奈川大学・国士舘大学・佛教大学・北星学園大学・ノースアジア大学・東京農業大学など(出典:マイナビ2027)
業績動向
✔売上高と営業利益
ファミリーマートの売上高は2017年の6,370億円から減少傾向が続いた*1が、2021年に底打ち。同年以降は売上高4,500億~4,750億円ほどでの推移が続いている。営業利益は2021年に712億円まで増加したが、同年以降は590億~650億円で横ばい。
*1:2017年から売上高の減少が続いた理由は、①不採算店舗の大規模な閉店(参考リンク)、。②COVID-19感染拡大期における外出自粛による減収、③世界的な物価高騰を受けた節約意識の高まりによるコンビニ離れ、④ドラッグストアなど他業態との競争激化、など。
✔セグメント別の状況
ファミリーマートは、コンビニエンスストア事業(コンビニ『ファミリーマート』のフランチャイズ展開・直営店運営、無人決済コンビニ、電子マネー『ファミペイ』など)、のみの単一事業会社である。
当社は国内1.63万店舗・海外0.84万店舗を展開しており、日系コンビニチェーンとしては業界2位の地位にある。親会社・伊藤忠商事は市場・消費者ニーズを把握する事業基盤として『ファミリーマート』店舗を活用しており、消費データ収集を通じたマーケットインの事業変革を図っている(参考リンク)。最近では衣料品『コンビニエンスウェア』展開においても伊藤忠商事が支援をしており、親会社と一体となった事業展開に特徴がある(参考リンク)。
✔最終利益と利益率
ファミリーマートの純利益は2020年に純損失▲164億円に転落したが、2021年には902億円まで回復。同年以降は純利益340億~610億円ほどで推移している。営業利益率は5%~10%ほどで推移しており、小売業界としては良好な利益率を安定的に確保できている。
✔自己資本比率と純資産
ファミリーマートの自己資本比率は年度による上下変動が大きいが、2023年からは58%~61%ほどで推移している。安定的な利益体質を加味すれば、財務健全性は大いに良好と評価できよう。純資産は5,800億~6,200億円ほどで長期的に推移しており、横ばい傾向が強い。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ファミリーマートの平均年収は非公開だが、長期的に610万円~680万円ほどで推移していると推定される*2。総合職の場合、30歳で年収520万~630万円ほど、課長職レベルで年収850万〜950万円に達する。小売業界としては上位クラスの待遇となっている。
*2:この平均年収は求人情報・企業口コミ情報をベースに当組織が業績・平均年齢・平均勤続年数を加味して推計した数値である。
✔従業員数と勤続年数
ファミリーマートの単体従業員数は2019年に急増*3しており、。2023年は5,813人ほどの組織体制となっている。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は6,880人ほど。平均勤続年数は12.4年(2023年)と、大手企業の標準的な水準を下回っている。
*3:当社は2019年にユニーファミリーマートホールディングスと組織改編がされており、2019年までのファミリーマートの法人格を消滅させると共にユニーファミリーマートホールディングスを新たな株式会社ファミリーマートとした。これにより従業員数の急変動が起こった経緯がある(参考リンク)。
総合評価
企業格付け:CC
日系コンビニエンスストアチェーンとして業界2位の大手であり、伊藤忠商事グループの中核会社の一角としても知られる。独自の商品開発力には定評があり、看板商品『ファミチキ』『 コンビニエンスウェア』『生コッペパン』などは特に有名。最近では伊藤忠商事のバリューチェーンの最前線を担う機能も重視されており、消費データ収集やデジタルサイネージ広告など新たなビジネス拡大への試行錯誤が続けられている(参考リンク)。業績においては2017年をピークに売上高が減少しているが、これはサークルKサンクスとの経営統合後の不採算店舗の統廃合が主要因。売上高こそ落とした一方で、利益においては2019年から590億~650億円で横ばいが続いている。「コンビニ=斜陽産業・飽和産業」という世間のイメージこそあれど、十分に健闘しており衰退もしていない。財務体質においては自己資本比率61.0%(2024年)と高く、安定的な利益体質を加味すれば不安要素はない。
就職格付け:C
コンビニ大手3社において唯一の日本発祥のブランド(他大手であるセブンイレブン・ローソンいずれもアメリカ発祥のブランドである)。給与水準においては平均年収610万円~680万円で推移しており、小売業界としては高めの水準。総合職の場合、30歳で年収520万~630万円ほど、課長職レベルで年収850万〜950万円に達するが目安となるだろう。福利厚生においては借上げ社宅制度が充実しており、月額家賃の約70%が会社負担となる(参考リンク)。…が、これは全国転勤が多い当社特有の事情による部分が大きい。総合職の場合は、入社数年で店長職を経験したうえで加盟店指導を担うスーパーバイザーへと昇格する(参考リンク)。が、当社の加盟店は日本全国に散財するために転勤範囲は広大。運が良ければ本部付で転勤を回避することも不可能ではないが、事業の性質上、単身赴任ないし家族帯同での転勤を覚悟する必要があるだろう。