企業概要
ビジネスエンジニアリングは、基幹業務システム(以下、EFPと表記)の開発・導入支援を主力とするシステムインテグレータ。1987年に東洋エンジニアリングのシステム部門として発足、設立当時は同社の社内システム開発を主力としていた。1991年に独・SAP社とパートナー契約を締結して、ERP導入支援サービスに参入。1996年には自社製ERPの開発に成功、自社製・他社製ERPいずれも対応できる体制を整えた。1999年には東洋エンジニアリングから分離独立、2001年には東京証券取引所への株式上場を果たした。現在では製造業の企業向けのERP導入支援および導入後の保守サービスまでを手掛ける。
・東洋エンジニアリングから分離独立したSIer会社、ERP導入支援・保守に特化
・売上高・利益は成長基調が続いており、財務健全性も良好
・平均年収785万円だが福利厚生はやや弱め、入社4年目以降は裁量労働制
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:64(中堅上位)
サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:やや難関
総合職の採用人数は年間15人~25人ほど。最近のIT・コンサル人気の高まりによりハイレベル大学からの就職も増加傾向だが、中堅大学からの採用にも前向き。
採用大学:【国公立】京都大学・東北大学・神戸大学・千葉大学・金沢大学・三重大学・福島大学・富山大学・佐賀大学・琉球大学・横浜市立大学・電気通信大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・明治大学・立教大学・法政大学・立命館大学・成蹊大学・東京農業大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
ビジネスエンジニアリングの売上高は2017年まで130億円レベルで推移していたが、同年以降は増加傾向*1。2023年には過去最高となる194億円に到達。営業利益も売上高に連動した増加傾向が続いており、2023年には過去最高となる38.8億円に到達している。
*1:当社の売上高の成長が続いている理由は、①世界的なデジタル投資の活性化によるERP導入需要の拡大、②自社製ERP『mcframe』の販売上振れ、など。
✔セグメント別の状況
ビジネスエンジニアリングは、ソリューション事業(SAPなど他社開発のERPパッケージの導入支援・コンサルティング・プロジェクトマネジメントなど)、プロダクト事業(自社開発のERPパッケージ『mcframeシリーズ』『GLASIAOUS』の開発・販売・導入など)、システムサポート事業(基幹業務システムを導入した企業へのシステム運用・保守支援サービス)、の2事業を有する。
当社は他社製・自社製のERP導入・保守が主力事業であり、売上高・利益のほぼすべてをERP関連によって稼いでいる。ソリューション事業が売上高の約65%・利益の約56%を占めており、自社製ERPを主力とするプロダクト事業は売上高の約32%・利益の約35%となっている。
✔最終利益と利益率
ビジネスエンジニアリングの純利益は長期的な増加傾向が続いており、2023年には過去最高となる26.2億円に到達。営業利益率も右肩上がりで増加しており、2022年には19.9%に到達している。
✔自己資本比率と純資産
ビジネスエンジニアリングの自己資本比率は2018年から増加傾向。2023年には自己資本比率69.7%に到達しており、負債に依存しない事業運営ができていると評価できよう。純資産は右肩上がりの増加傾向にあり、2023年には109.5億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ビジネスエンジニアリングの平均年収は長期的に760万~830万円程で安定的に推移している。大卒総合職の場合、30歳で年収650万~700万円ほど、課長職レベルで年収950万~1,050万円が目安。ただし、この平均年収には退職金前払い制度の金額が含みとなっているため、割り引いて見ておく必要がある。
✔従業員数と勤続年数
ビジネスエンジニアリングの単体従業員数は緩やかな増加傾向にあり、2023年は537人ほどの組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は700人ほど。平均勤続年数は11.2年(2023年)と長くはないが、人材の流動性が高い情報通信業の企業としてはやや長めか。
総合評価
企業格付け:CCC
かつて東洋エンジニアリングのシステム部門が分離独立したシステムインテグレータ。同社のシステム部門だった時代からERPの可能性を見出し、1991年に日本企業として初めて独・SPA社とパートナー契約を交わした先見の明がある。現在では他社製・自社製いずれのERPも販売できる体制を整え、製造業の企業を中心にERP導入を支援している。競合にはオービックなどがあるが、製造業への専門性を高めることで差別化を図っている。業績においては売上高・利益いずれも過去8年間に渡って拡大傾向。デジタル投資の活性化の恩恵を享受している状況にある。財務体質においても良化傾向にあり、最近の業績好調によって内部留保の蓄積が進んだことで自己資本比率69.7%(2023年)と相当以上の高水準に到達している。
就職格付け:CC
独立系かつERP分野に特化したシステムインテグレータ。かつては東洋エンジニアリングが大株主であったが、2018年に同社が保有していた全株式を手放したことで現在では資本関係は失われている。給与水準においては平均年収760万~830万円程で安定的に推移しており、総合職なら30歳で年収650万~700万円ほど、課長職レベルで年収950万~1,050万円には到達する。ただし当社は退職金前払い制度があるため、他社と比較するなら40万~70万円ほどは割り引いて見るとよい。福利厚生においては特筆すべき制度はなく、家族手当制度・家賃補助制度はない。ただし若手社員に限れば入社後4年間に渡って借上げ社宅が与えられる。また、入社後4年が経過すると裁量労働制へ移行するため、月額40時間分の固定残業手当の支払いとなる。強いて言えば、会社の所在地は東京・大阪・名古屋のみであり、ほとんどの従業員は東京勤務で固定されるのは強みだろう。