企業概要
トヨタ車体は、SUV・ミニバン・商用車・福祉車両などを主力とするトヨタグループの自動車メーカー。1945年にトヨタ自動車から刈谷工場が独立、トラックメーカーとして設立。設立当初はトラックボディの生産に特化していたが、1950年代からは『ランドクルーザー』の生産を受託して乗用車製造を開始。1995年には『レクサスLX』を生産した他、2002年には『アルファード』を生産受託。現在ではトヨタグループの中核ボデーメーカーとしてSUV・ミニバン・商用車などの企画・開発・生産まで一気貫通で手がけている。
・トヨタグループの車体メーカー、SUV・ミニバン・商用車を得意とする
・売上高・利益は2022年から増加傾向、財務体質はやや負債が厚い
・総合職・30歳で年収600万円〜が目安、家賃補助制度はない
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:65(中堅上位)
サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関
総合職の採用人数は年間60人~120人と企業規模なりだが、非上場企業だけあって影は薄め。トヨタ系の大企業だけあって、中部地方の出身者からの人気は厚い。
採用大学:【国公立】名古屋大学・筑波大学・広島大学・横浜国立大学・静岡大学・岐阜大学・福井大学・名古屋工業大学・豊橋技術科学大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・青山学院大学・関西学院大学・立命館大学・日本大学・南山大学・名城大学など(出典:マイナビ2027)
業績動向
✔売上高と営業利益
トヨタ車体の売上高は2022年まで1.5兆~1.9兆円ほどで長期的に推移していたが、同年以降は増加傾向に転換。2024年には売上高2.57兆円に到達している*1。営業利益は年度による浮き沈みが大きいが、2024年は1,569億円まで増加している。
*1:2022年から売上高・利益が増加している理由は、①為替レートの円安推移による為替効果、②新型車『ランドクルーザー』『アルファード』の販売好調による増産、など。
✔セグメント別の状況
トヨタ車体は、自動車事業(トヨタ自動車向けのミニバン・SUV・商用車の企画・開発・生産、福祉車両・冷凍車・保冷車などの特装車開発、超小型EV『コムス』など)、のみの単一事業会社である。
当社はトヨタグループにおいて商用車・SUV・ミニバン分野を担っている。少量生産・高価格帯の車種を得意としており、国内外における生産台数は年間70万台(2024年)ほど。最近では『ランドクルーザー』『アルファード』などの高価格帯車が主力となっている他、当社子会社・岐阜車体工業が『ハイエース』の生産を担っている。
✔最終利益と利益率
トヨタ車体の純利益は2019年まで90億~355億円ほどで推移していたが、同年以降は増加傾向に転換。2024年には純利益1,181億円に到達している。営業利益率は2021年まで0%~2%ほどの低利益率が定着していたが、2024年には6.1%までの向上を果たしている。
✔自己資本比率と純資産
トヨタ車体の自己資本比率は31.3%(2024年)と、自動車メーカーとしてはやや低めの水準。当社は販売金融部門を持たないことを考慮*2すれば、負債比率は同業他社よりも相当に高めである。純資産は2021年に2,605億円に到達したが、同年以降は減少傾向にある。
*2:大手自動車メーカーは自動車ローンやリースなどの金融サービスを提供する販売金融部門を有しており、同部門に起因して負債が膨らみやすい傾向がある(≒自己資本比率が下がる)。が、当社は販売金融部門を持たない純粋な自動車メーカーである一方で、(販売金融部門を有している)大手自動車メーカー並みの自己資本比率に留まっている。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
トヨタ車体の平均年収は非公開だが、長期的に630万円~720万円ほどで推移していると推定される*3。総合職の場合、30歳で年収600万~690万円ほど、課長職レベルで年収1,050万~1,250万円に達する。平均年齢は41.2歳(2024年)と大手企業の標準的な水準を僅かに下回る。
*3:この平均年収は求人情報・企業口コミ情報をベースに当組織が業績・平均年齢・平均勤続年数を加味して推計した数値である。
✔従業員数と勤続年数
トヨタ車体の単体従業員数は1.24万人(2024年)と、かなりの大所帯となっている。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は1.77万人ほど。平均勤続年数は18.8年(2024年)と、大手企業の標準的な水準を上回る。
総合評価
企業格付け:B
トヨタグループにおける少量生産・高価格帯の車種を担当している車体メーカー。非上場企業ゆえに一般知名度はかなり低いが、トヨタグループ中核13社の一角に列せられるほどにはグループ内での地位は高い。業績においては2021年まで利益低迷がみられたが、同年以降は増益傾向。為替レートの円安推移による為替効果が追い風となっている他、主力車種『ランドクルーザー』『アルファード』の販売好調も当社業績を押し上げている。財務体質においては自己資本比率31.3%(2024年)とやや低めであるうえ、販売金融部門を持たない当社固有の事情を加味すれば、負債比率はやや高めと言わざるを得ないか。とはいえ、2019年・2020年のCOVID-19感染拡大期にも赤字転落しない程度には業績が底堅いため、さしあたってのリスクとはならないだろう。
就職格付け:CCC
かつてトヨタ自動車の刈谷工場が分離独立して設立された車体メーカーであり、創業の地である富士松工場はトヨタグループ源流企業である豊田自動織機が1936年に自動車工場として設立した名門の地である。給与水準においては630万円~720万円ほどで推移していると推定され、自動車メーカーとしては中堅クラス。ただし、総合職の給与テーブルはより恵まれており、30歳で年収600万~690万円ほど、課長職レベルで年収1,050万~1,250万円に達する。トヨタグループで敢えて比較すれば「トヨタ自動車・デンソー・豊田自動織機には敵わないが、アイシン・ジェイテクトなどには勝るとも劣らない」水準であろう。強いて言えば、当社は親会社100%子会社(非上場企業)であるため、上場企業の方が好ましい場合には適さないか。福利厚生においては企業規模の割には普通であり、家賃補助制度はなし。主力拠点の周辺に立地する独身寮・社宅は格安で利用できるものの、共同生活を好まない場合には自腹で居住場所を確保する必要がある。