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化学

デンカの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

デンカは、カーバイド・電子材料・肥料・医薬品・ファインセラミックスなどを製造する化学メーカー。1912年に藤山常一博士がカーバイド生産を目的に創業、1915年に三井財閥の有力者によって再編された。カーバイド生産の国内シェアは90%にも達するが、1960年代以降には石油化学・特殊混和材・医薬品・ファインセラミックスにも進出しており事業多角化に成功。現在では球状アルミナ・アセチレンブラック・クロロプレンゴムなどで世界シェア1位、カーバイド・モーター基板・リチウムイオン電池正極材でも国内1位。

POINT

1.事業多角化に強みをもつ中堅化学メーカー、世界的シェアの製品多数
2.売上高・利益いずれも安定的、財務体質においても大いに健全な水準
3.平均年収が右肩上がりで増加して直近では768万円に到達、福利厚生も良好

業績動向

✔売上高と営業利益

デンカの売上高は長年に渡って3,500億~4,100億円レベルで推移しており、売上高の安定性はかなり高い。営業利益は300億円前後で極めて安定しており、売上高の変動に左右されにくい。2021年には過去最高となる営業利益401億円を記録。
*1:2021年に利益増加した要因は、①電気自動車・半導体の需要拡大による電子・先端プロダクツ製品の販売好調、②COVID-19抗原検査キットの販売好調、③原材料価格の高騰による値上措置、など。

✔セグメント別の状況

デンカは、電子・先端プロダクツ事業(電子包装材料・電子回路基板・産業用テープ・ファインセラミックスなど)、ライフイノベーション事業(ワクチン・がん治療剤・関節機能改善剤など)、エラストマー・インフラソリューション事業(セメント・カーバイド・肥料・セメントなど)、ポリマーソリューション事業(ポリスチレン樹脂・スチレンモノマー・ABS樹脂など)、その他事業(プラントエンジニアリング・商社事業など)、の4事業を有する。
2022年のデンカは世界的な景気後退によってエラストマー・ポリマー製品が赤字転落。これら製品は景気動向に利益率を大きく左右されやすいが、電子・先端プロダクツ事業やライフイノベーション事業が安定的に利益を稼ぐことで全社利益を維持している。

✔最終利益と利益率

デンカの純利益は2021年に過去最高となる260億円に到達したが、直近の2022年には128億円まで急後退*2。営業利益率は長年に渡って7~10%レベルで安定しており、良好な利益率を安定的に確保できる点に強み。
*2:2022年は世界的な景気減速によってエラストマー・ポリマー製品が赤字転落。本業における利益率の悪化によって純利益も急減。政策保有株式を売却して約50億円の特別利益を確保したが、それでも純利益128億円に留まった。

✔自己資本比率と純資産

デンカの自己資本比率は長年に渡って50%前後の水準で極めて安定的。業績安定性に優れるのみならず、財務体質においても大いに健全な水準を維持している。純資産は長期的な増加傾向が続いており、直近の2022年には3,004億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

デンカの平均年収は長年に渡って緩やかな増加傾向が続いており、直近の2022年には768万円に到達。過去8年間で平均年収が約140万円も増加しており、勢いがある。大卒総合職は30歳で630万~730万円、課長職レベルで930万~1,050万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

デンカの単体従業員数は長期的な増加傾向にあり、2020年には単体従業員数4,000人を突破*3。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は6,400人ほど。平均勤続年数は直近で16.4年と大手メーカーの標準的な水準。
*3:2020年に単体従業員数が急増したのは、同年に子会社のデンカ生研を吸収合併したことが主要因。

総合評価

企業格付け:BBB

北海道でカーバイド工場として創業した化学メーカーであり、現在でもカーバイドで国内シェア90%を占める大手。だが、当社の真骨頂は事業多角化にあり、現在では工業用原料・建築材料・電子材料・食品包装材料・医薬品に至るまで、幅広い事業領域で高い競争力を有する総合化学メーカーである点。業績は極めて安定的であり、売上高・利益いずれも景気動向に左右されにくい。エラストマー・ポリマーなどは景気動向に利益率を大きく左右されるものの、電子・先端プロダクツ事業やライフイノベーション事業などが安定的に利益を稼ぐことで業績安定化を果たしている。財務体質においても優良であり、自己資本比率50%前後を手堅く維持し続けている。当社が世界シェア60%を制圧する球状アルミナは将来的な需要拡大の見通しも明るく、①電気自動車向けリチウムイオン電池の放熱パッド、②半導体パッケージ向け放熱シート、③5G通信基地局向け高放熱グリース、などに用いられる。強いて言えば、2022年にはいくつかの不祥事が発生。5月には安全認証に関する不適切行為が判明した他、6月には青梅工場において配管破裂事故によって死者が発生。

就職格付け:BBB

事業多角化に強みをもつ中堅化学メーカー。BtoB事業が主力であるため一般認知度は極端に低いものの、化粧品やCOVID-19抗原検査キットなどは一般消費者向けにも一部販売している。利益率が極めて安定していることもあって給与水準は右肩上がりで増加しており、直近では平均年収768万円に到達している。旭化成・カネカ・帝人などをも給与水準で上回りつつあり、知名度以上の高待遇が魅力である。福利厚生においてもかなり恵まれており、各拠点の独身寮における家賃は5,000円/月ほどで格安。借上げ社宅制度では既婚者に限るもののUR物件に1万円/月ほどの負担で住むことができる。特別年休制度は目を見張るものがあり、通常2年で消滅してしまう有給休暇を最大100日まで積立することができる。勤続年数が長い社員は(本来消えるはずだった)余剰分の有給休暇が貯まっていくため、家庭事情で長期休暇が必要となった場合などに大いに助かる制度設計となっている。総じて、中堅化学メーカーにおける優良企業といって良いだろう。

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