企業概要
サントリーは、洋酒・ビール・清涼飲料水を主力とする大手飲料メーカー。1881年に鳥井信治郎が葡萄酒メーカーとして創業。1920年代にはウイスキーの製造に進出、洋酒メーカーとしての地位を固めた。戦後にはビール・清涼飲料水へと進出して総合飲料メーカーへと発展。2014年には世界的ウイスキーメーカーの米・ビーム社を買収、高級蒸留酒分野における地位を確立した。現在では飲料業界において世界4位の規模を誇り、代表的なブランドには『山崎』『プレミアムモルツ』『サントリー角瓶』などがある。
・日系首位の総合飲料メーカー、ウイスキー分野では世界的なブランド力
・海外市場の成長で売上高・利益いずれも成長、財務体質も改善が進む
・総合職・30歳で年収700万~が目安、住宅補助が大いに手厚い
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:74(最上位)
日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関上位級
総合職の採用数は年間150人~250名と多いが、一般知名度が極めて高いために選考倍率も高止まり。飲料業界のトップ企業だけあってハイレベル大学からの採用が多い。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・九州大学・北海道大学・神戸大学・筑波大学・横浜国立大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・同志社大学・立教大学・法政大学・立命館大学・関西学院大学など(出典:ダイヤモンドオンライン)
業績動向
✔売上高と営業利益
サントリーの売上高は2021年まで2.3兆~2.5兆円で横ばい*1だったが、同年以降は増加傾向に転換。2023年には過去最高となる3.28兆円に到達している。営業利益も2021年まで2,100億~2,500億円で推移していたが、2023年には3,171億円まで増加。
*1:当社の売上高が増加した理由は、海外市場における拡大が主要因。米州市場は2,772億円(2016年)から5,919億円(2023年)、アジア市場は2,766億円(2016年)から5,751億円(2023年)、欧州市場は2,849億円(2016年)から4,652億円(2023年)からまで急増している。
✔セグメント別の状況
サントリーホールディングスは、飲料・食品事業(清涼飲料・健康飲料・加工食品などの製造・販売)、酒類事業(スピリッツ・ビール類・ワインなどの製造・販売)、その他事業(健康食品・アイスクリーム・外食・花の製造・販売、中国事業)、の3事業を有する。
当社は飲料・酒類を中核とする総合飲料メーカーであるが、当社が直轄するのは酒類事業である。その他の各事業は傘下の事業会社によって運営されており、飲料・食品事業はサントリー食品インターナショナル・サントリーフーズ、健康食品はサントリーウエルネスが担う。なお、アイスクリーム大手のハーゲンダッツジャパンは当社の持分法適用会社である。
✔最終利益と利益率
サントリーの純利益は2020年まで減少傾向が続いていたが*2、同年以降は回復傾向が続いている。2023年には純利益2,281億円となっている。営業利益率は7%〜9%を安定的に確保できており、飲料メーカーとしては高めの利益率。
*2:2020年に純利益が減少した理由は、COVID-19感染拡大による影響が主。世界的な外食需要の落ち込みや外出自粛の影響によって酒類・清涼飲料の販売が落ち込んだ経緯がある。
✔自己資本比率と純資産
サントリーの自己資本比率は右肩上がりで推移しており、2023年には41.6%に到達している。2016年は自己資本比率21.6%と相当な低水準であったが、。純資産も長期的な増加傾向が続いており、2021年からは増加ペースが加速。2023年には純資産2.51兆円に到達した。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
サントリーの平均年収は長期的に増加傾向にあり、2023年には1,267万円に到達している。ただしこれは持株会社の従業員1,133人のみの平均年収である点には注意が必要。総合職の場合、30歳前後で年収700万~850万円ほど、課長職レベルで年収1,300万~1,450万円が目安。
✔従業員数と勤続年数
サントリーの単体従業員数は2021年まで400人規模で推移していたが、2022年に1,100人規模に急増した。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4.15万人ほどであり、殆どの従業員は事業会社に属している。平均勤続年数は19.6年(2023年)と高水準であり、従業員の定着は良好である。
総合評価
企業格付け:AA
日本を代表する総合飲料メーカーであり、飲料業界において業界首位の売上高を誇る。とりわけウイスキー分野においては戦前からジャパニーズウイスキーを牽引したパイオニアであり、2014年には米・ビーム社を買収したことで世界的なウイスキーメーカーへと飛躍を遂げている。業績においては2021年から拡大傾向にあり、2023年には過去最高となる売上高3.28兆円に到達。これは海外市場におけるシェア拡大が追い風となっており、米州・アジア・欧州いずれにおいても業容拡大に成功している。利益体質もかなり強靭であり、2020年には世界的なCOVID-19感染拡大による逆風を受けながらも純利益1,296億円を確保できている。財務体質は明らかな改善傾向にあり、2023年には自己資本比率41.6%まで到達しており負債依存度を引き下げることに成功している。過去8年間に渡って業績拡大に成功しており、人口減少による市場縮小が危ぶまれる日本国内への依存度を低減していることは将来への大いなる布石となるだろう。
就職格付け:AA
飲料業界のトップ企業でありながら株式公開をしていない非公開会社として知られる。当社株式の約89%は大阪・堂島に本社を置く寿不動産が保有しているが、同社はサントリー創業家一族による実質的な資産運用会社。すなわち、現在においても創業家一族が経営権を完全に掌握している点において、他の上場大手企業とは性質を大きく異にすることは特筆に値する。給与水準においては平均年収1,267万円(2023年)と飲料業界トップであるが、これは持株会社の従業員1,133人のみの平均年収。実際には、総合職の30歳で年収700万~850万円ほど、課長職レベルで年収1,300万~1,450万円が目安となるだろう。福利厚生においても恵まれており、住宅補助制度では5万円~10万円/月が支給されるほか、転居を伴う転勤時には借上社宅制度が適用されることで月額家賃の約80%が会社負担となる。が、2021年には当社社長が「45歳定年制」を提唱したことが、人材の切り捨てだとして社会的に大きな物議を醸した(参考リンク)。