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石油資源

【勝ち組?】コスモ石油の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

コスモエネルギーホールディングスは、石油・天然ガス・石油化学製品などの製造・販売を手掛ける石油元売企業。1907年に松村善蔵が設立した精油企業であり丸善礦油部を源流とし、1984年に同業の大協石油・精製コスモと合併して誕生。国内3位の規模を誇る石油元売企業であり、石油開発~石油精製~石油販売までの一気通貫したサプライチェーンを構築。最近は事業多角化にも熱心であり、半導体レジスト用ポリマーでは世界首位級のシェアを確立。将来的な脱炭素社会の到来を見越した洋上風力発電所の開発も手掛け、風力発電量において国内シェア3位を掌握。

POINT

・国内3位の大手石油元売会社、中東での石油開発も手掛ける
・売上高・利益いずれも安定感がない横ばい、財務体質は回復途上で弱含み
・総合職30歳で年収650万円〜が目安、福利厚生は手厚い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:68(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用人数は年間25人~40人と企業規模に比べて少ない。さすがに石油元売最大手と比べると人気は落ちるが、それでも高倍率企業であることに変わりはない。
採用大学:【国公立】大阪大学・九州大学・北海道大学・長崎大学・東京農工大学・名古屋工業大学・東京外国語大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・上智大学・明治大学・中央大学・国際基督教大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

コスモエネルギーホールディングスの売上高は2.2兆〜2.8兆円のレンジで横ばいの推移が続いている。営業利益は2021年に過去最高となる2,353億円まで増加したが、これは一過性の要因*1。同年以降は緩やかな減益傾向が続いており、安定感にはやや欠ける。
*1:2021年の営業利益の急増は、原油価格の高騰による在庫評価益700億円が主要因。石油元売会社には石油備蓄法により70日間分の石油を備蓄する義務があり、原油価格の大幅変動が起こった場合には備蓄による在庫が損益に大きく影響を及ぼす。この点についてはENEOSが詳細を解説しているため参考にしたい(参考リンク)。

✔セグメント別の状況

コスモエネルギーホールディングスは石油事業(揮発油・ナフサ・灯油・重油・潤滑剤・液化天然ガスなどの製造販売)、石油化学事業(エチレン・パラキシレン・ベンゼン・トルエンなどの製造販売)、石油開発事業(中東における原油開発・生産など)、再生可能エネルギー事業(風力発電による電力の供給販売)、その他事業の5事業を有する。
当社は大手石油元売企業の中でも石油関連事業への依存度が高い事業構造となっている。売上高の約83%を石油事業に依存する他、利益は石油事業・石油開発事業で約95%を占めている。石油化学事業・再生エネルギー事業など事業多角化を進める一方、これら事業の業績貢献は依然として薄い。

✔最終利益と利益率

コスモエネルギーホールディングスの純利益は年度により好不調が分かれており、▲280億〜1,300億円のレンジで推移している。営業利益率は0%〜9%レベルで上下変動しており、利益率は安定していない。

✔自己資本比率と純資産

コスモエネルギーホールディングスの自己資本比率は2015年時点では10%未満にまで低迷していた*2が、2024年には27.1%にまで回復している。しかし、利益が安定しない事情を踏まえると、依然として物足りない水準に留まっている。純資産は長期的な増加傾向がみられ、2023年は7,274億円に到達。
、*2:当社は持株会社制へ移行する以前の2012年・2014年に巨額の純損失を計上。業績悪化により自己資本比率が急低下した経緯がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

コスモエネルギーホールディングスの平均年収は1,118万円(2023年)と高水準だが、これは持株会社の221名のみの平均年収であるため参考にならない。実際には、大卒総合職の30歳で年収650万〜750万円ほど、課長職レベルで年収950万〜1,150万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

コスモエネルギーホールディングスの単体従業員数は221人に過ぎず、従業員の殆どは事業会社に属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は6,530人ほど。平均勤続年数は16.0年(2023年)だが、これは持株会社の221人のみの平均勤続年数である。

総合評価

企業格付け:BBB

エネルギー業界においてENEOS出光興産に続く、国内3位の大手石油元売企業。2022年頃から株式を旧村上ファンド系の投資会社に買い集められ、製油所統廃合・再生エネルギー事業分社化などを要求される事態へと発展していた…が、2023年には旧村上ファンド系の投資会社は保有する株式を岩谷産業に売却して撤退。物言う株主との争いは終息した一方、岩谷産業との資本関係が新たに生じた状況にある。業績においては石油市況・景気動向などに左右されやすく不安定、莫大な利益を上げる時もあれば甚大な損失を計上する時もある。財務体質においては2012年・2014年の巨額赤字によって自己資本比率10%未満にまで悪化したが、最近では自己資本比率27.1%(2024年)までの回復を遂げている。依然として物足りない水準にはある一方で、最悪期は脱しつつあると評価できるだろう。長期的な目線では国内における石油需要の縮小は避けられないため、石油以外の事業育成が急がれる状況。また原油市況に業績を大きく左右されるビジネスモデルのため、財務体質の強化が期待されるだろう。

就職格付け:BBB

日本人ならば”ココロも満タンに”のキャッチフレーズを聞いたことがあるであろう企業。ガソリンスタンドにおいては国内2,600店舗を展開している他、同業のギグナス石油にも発行済み株式数の約20%を出資して影響力を有している。給与水準においては持株会社の平均年収で1,118万円(2023年)ほど。平均年収は業界2位の出光興産と互角クラスではあるが、出光興産は現業職を含む平均年収であるのに対して当社は現業職を含まない平均年収である為、やはり出光興産の給与水準には劣る。実際には、大卒総合職の30歳で年収650万〜750万円ほど、課長職レベルで年収950万〜1,150万円が目安となるだろう。福利厚生においては相当に充実しており、家賃補助制度は最大8万円/月まで支給される(実家暮らしでも支給額こそ減額されるものの、家賃補助が支給される)。家族手当は子ども1人目で3万円/月、2人目で2万円/月。新卒定着率はほぼ100%に等しく、新卒が辞めにくい企業である。唯一、懸念するとすれば将来的な企業存続への懸念。国内の石油元売会社は統廃合の歴史を歩み続けており、2010年代だけでも①出光興産による昭和シェル石油の統合、②JX日鉱日石エネルギーによる東燃ゼネラル石油の統合、が発生。国内の石油需要が将来的に減り続ければ、現在の大手3社体制が統廃合によって変化する可能性があり、そうなった場合には他社と合併する可能性は頭の片隅に置いておきたい。

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出典:コスモエネルギーホールディングス株式会社(有価証券報告書)