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石油資源会社

コスモエネルギーホールディングスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

コスモエネルギーホールディングスは、石油・天然ガス・石油化学製品などの製造・販売を手掛ける石油元売企業。1907年に松村善蔵が設立した精油企業であり丸善礦油部を源流とし、1984年に同業の大協石油・精製コスモと合併して誕生。国内3位の規模を誇る石油元売企業であり、石油開発~石油精製~石油販売までの一気通貫したサプライチェーンを構築。最近は事業多角化にも熱心であり、半導体レジスト用ポリマーでは世界首位級のシェアを確立。将来的な脱炭素社会の到来を見越した洋上風力発電所の開発も手掛け、風力発電量において国内シェア3位を掌握。

POINT

1.国内3位の大手石油元売会社、中東での石油開発も手掛ける
2.売上高・利益いずれも年度により好不調が分かれる、財務体質は回復途上
3.平均年収1,096万円、福利厚生も手厚くホワイト

業績動向

✔売上高と営業利益

コスモエネルギーホールディングスの売上高は2.2兆~2.7兆円のレンジで推移している。営業利益は年度により好不調が分かれるが、2021年には過去最高となる2353億円に到達*1。
*1:2021年の営業利益の急増は、原油価格の高騰によって石油事業において在庫評価益が約700億円ほど発生したことが主要因。石油元売会社には石油備蓄法により70日間分の石油を備蓄する義務があり、原油価格の大幅変動が起こった場合には備蓄による在庫が損益に大きく影響を及ぼす。この点についてはENEOSが詳細を解説しているため参考にしたい(参考リンク)。

✔セグメント別の状況

コスモエネルギーホールディングスは石油事業(揮発油・ナフサ・灯油・重油・潤滑剤・液化天然ガスなどの製造販売)、石油化学事業(エチレン・パラキシレン・ベンゼン・トルエンなどの製造販売)、石油開発事業(中東における原油開発・生産など)、再生可能エネルギー事業(風力発電による電力の供給販売)、その他事業の5事業を有する。
コスモエネルギーホールディングスは大手石油元売企業の中でも石油関連への依存度が高い事業構造。売上高の約83%を石油事業に依存する他、利益は石油事業・石油開発事業で約95%を占めている。石油化学事業・再生エネルギー事業など事業多角化を進める一方、これら事業の業績貢献は依然として薄い。

✔最終利益と利益率

コスモエネルギーホールディングスの純利益は年度により好不調が分かれており、▲500億~1,300億円のレンジで推移している。営業利益率は0~9%レベルで推移しており、利益率が安定しない。

✔自己資本比率と純資産

コスモエネルギーホールディングスの自己資本比率は2015年時点では10%に満たない水準*2であったが、直近の2022年には24.9%にまで回復。しかし依然としてやや物足りない水準。純資産は右肩上がりで増加、直近では6,634億円に到達。
*2:コスモエネルギーホールディングスは持株会社制へ移行する以前の2012年・2014年に巨額の純損失を計上。業績悪化により自己資本比率が急低下した経緯がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

コスモエネルギーホールディングスの平均年収は直近の2022年で1,096万円と高水準だが、これは持株会社の221名のみの平均年収。大卒総合職は30歳前後で年収650~750万円ほど、課長職レベルで年収900~1,000万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

コスモエネルギーホールディングスの従業員数は221人に過ぎず、少数精鋭の組織となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は6,659人ほど。平均勤続年数は17.1年前後であり、大手企業としては標準的な水準。

総合評価

企業格付け:A

ENEOSホールディングス・出光興産に続く、国内3位の大手石油元売企業。アラブ首長国連邦の政府系ファンドであるムバダラ・インベストメントが過去10年以上に渡って筆頭株主の地位を占めていたが、2022年には保有する全株式を売却。ところが、売却された株式を旧村上ファンド系に買い集められ、2023年には製油所統廃合・再生エネルギー事業分社化などを要求される事態へと発展。物言う株主との争いが勃発しつつある状況。業績は石油市況・景気動向などに左右されやすく不安定、莫大な利益を上げる時もあれば甚大な損失を計上する時もある。財務体質は2012年・2014年の巨額赤字によって自己資本比率10%未満にまで悪化したが、最近では徐々に回復が進む。長期的な目線では国内における石油需要の縮小は避けられないため、石油以外の事業育成が急がれる状況。また原油市況に業績を大きく左右されるビジネスモデルのため、財務体質の回復が急がれる状況。

就職格付け:BBB

“ココロも満タンに”のキャッチフレーズで著名なコスモ石油は国内2,600店舗を展開する他、同業のギグナス石油にも発行済み株式数の約20%を出資して影響力を有している。給与水準は持株会社の平均年収で700~1,000万円ほど。平均年収は業界2位の出光興産と互角ではあるが、出光興産は現業職を含む平均年収であるのに対してコスモエネルギーホールディングスは現業職を含まない為、やはり出光興産の給与水準には一歩劣る。福利厚生はかなり恵まれており、家賃補助制度は最大8万円/月まで支給。実家暮らしでも額は少ないものの家賃補助が支給される点は珍しい。家族手当は子ども1人目で3万円/月、2人目で2万円/月。新卒定着率はほぼ100%に等しく、ホワイト企業である。唯一、懸念するとすれば将来的な企業存続への懸念。国内の石油元売会社は統廃合の歴史を歩み続けており、2010年代だけでも①出光興産による昭和シェル石油の統合、②JX日鉱日石エネルギーによる東燃ゼネラル石油の統合、が発生。国内の石油需要が将来的に減り続ければ、現在の大手3社体制が統廃合によって変化する可能性があり、そうなった場合には他社と合併する可能性は頭の片隅に置いておきたい。

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