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半導体

【勝ち組?】キオクシアの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

キオクシアは、NAND型フラッシュメモリを主力とする大手半導体メーカー。1987年に東芝が世界初のNAND型フラッシュメモリを発明して事業化。1992年に三重県四日市市でメモリ工場を稼働開始、世界トップシェアの一角を占めるまでに成長を遂げた。東芝の経営危機に伴い、2017年に事業分社化した上で売却。2019年に東芝メモリから現社名・キオクシアに社名変更された。現在ではNANDフラッシュメモリで世界シェア上位5社に数えられる業界大手。

POINT

・東芝から分離独立した大手半導体メーカー、NAND型フラッシュメモリに注力
・売上高・利益は2021年から下落傾向、財務体質も連続赤字で悪化傾向
・総合職・30歳で年収600万円以上が目安、三重県四日市市では地元の雄

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:66(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用数は年間250名~300名、半導体業界において断トツの採用規模を誇る。地盤である三重県・岩手県の出身者からの人気が高い他、三重大学からの採用が多い。
採用大学:【国公立】東京工業大学・名古屋大学・東北大学・千葉大学・広島大学・三重大学・電気通信大学・名古屋工業大学・豊橋技術科学大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・中央大学・関西学院大学・名城大学・東京理科大学・芝浦工業大学など(出典:逆引き大学辞典

業績動向

✔売上高と営業利益

キオクシアの売上高は2021年から右肩下がりで推移しており、2023年には1.07兆円となっている*1。営業利益は2021年に2,162億円に到達したが、2022年・2023年は営業赤字が拡大傾向*2。半導体メモリ市況の浮き沈みが激しいために、当社の売上高・利益いずれも乱高下しやすい。
*1:2021年から売上高が減少した理由は、2022年からフラッシュメモリ需要低下による需給バランス悪化によって販売価格の急落したことが主要因。フラッシュメモリは市況産業であるために販売価格は市場の需給によって乱高下しやすい事情がある。
*2:2021年から営業利益が減少傾向となっている理由は、①市況悪化を受けた生産減少による未稼働製造固定費の増加、②販売価格の低下による棚卸資産評価損の計上、など。

✔セグメント別の状況

キオクシアは、メモリ事業(フラッシュメモリ及び関連製品の開発・製造・販売事業及びその関連事業など)のみの単一事業会社である。
当社の主力製品は、①法人向けフラッシュメモリ・エンタープライズ用途SSDストレージ、②個人向けのmicroSDメモリカード・USBフラッシュメモリ・SSDストレージ、など(参考リンク)。直近の2023年はメモリ事業が赤字転落しているために、黒字事業がない状況となっている。

✔最終利益と利益率

キオクシアの純利益は2021年から右肩下がりで推移しており、2023年には純損失2,437億円と大幅赤字に転落。営業利益率は過去3年間に渡って14%から▲23%まで右肩下がりで下落しており、安定感はまったくない推移となっている。

✔自己資本比率と純資産

キオクシアの自己資本比率は過去3年間に渡って下落傾向にあり、2023年は15.7%となっている。市況によって業績が乱高下する事業構造であることを踏まえると、財務体質としては不安が残る。純資産も赤字によって減少傾向にあり、2023年には4,496億円まで下落。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

キオクシアの平均年収は直近で1,045万円となっているが、これは持株会社の123人のみの平均年収。実際には、総合職の30歳で年収600万~700万円ほど、課長職レベルで年収1,050万~1,150万円が目安。能力があれば40歳手前で課長職へと昇格して年収1,000万円を超える。

✔従業員数と勤続年数

キオクシアの単体従業員数は直近でも123名ほどに過ぎず、従業員の殆どは事業会社に属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.51万人ほど。平均勤続年数は直近で14.2年となっているが、これは持株会社の123人のみの平均勤続年数であるため参考にならない。

総合評価

企業格付け:A

かつて東芝グループにおける虎の子事業と呼ばれていた半導体部門が分離独立して誕生した企業。世界初のNAND型フラッシュメモリを発明した実績を持ち、現在においてもNANDフラッシュメモリで世界シェア上位5社に数えられる業界大手。将来的にメモリ需要はデジタル社会の進展によって増加することが期待されており、スマートフォン・パソコン・データセンターの普及が事業拡大の追い風となってきた。が、2021年から売上高・利益は悪化傾向が続いており、とりわけ営業利益が2年連続で赤字で推移しており、本業で黒字が確保できていない状況。フラッシュメモリは市況産業であるために販売価格は市場の需給によって乱高下しやすい事情があり、業績の安定性はまったくない点に注意を要するだろう。財務体質においても2年連続の大幅赤字によって自己資本比率15.7%(2023年)まで低下しており、業績不安定である当社の特性を踏まえると安心感はまだないか。

就職格付け:B

日本を代表する半導体メーカーとして、ソニーグループルネサスエレクトロニクスなどと並んでよく知られる企業。1992年から30年以上に渡って主力工場が立地している三重県四日市市においては地元を代表する企業として絶大な影響力を持つほか、2020年から新工場を稼働する岩手県北上市では地元の新たな基幹産業として期待を集めている。給与水準においては半導体メーカーとしては中堅レベルであり、総合職の30歳で年収600万~700万円ほど、課長職レベルで年収1,050万~1,150万円が目安。外資系半導体メーカーや半導体製造装置メーカーと比較すると給与水準はやや低く、どちらかといえば大手電機メーカーに近い給与水準となっている。福利厚生においては(もともと東芝の一部門だったこともあって)大手メーカーなりの制度が整っており、30歳までの若手社員は社宅に最大2.5万円/月で入居でき(参考リンク)、30歳以上になっても家賃補助制度で最大3万円/月が支払われる。休みもとりやすい社風であり、平均有給取得日数は19.0日(2021年)と高水準。日本国内で半導体メーカーへの就職を目指すのであれば真っ先に候補に入る1社ではあるが、業績の浮き沈みが激しい点についてはよく理解をしておきたい。

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出典:キオクシアホールディングス株式会社(有価証券報告書)