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化学

【勝ち組?】カネカの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

カネカは、化成品・塩ビ樹脂・発泡樹脂・医薬品・食品などを主力とする化学メーカー。1949年に鐘淵紡績(現・カネボウ)から非繊維部門が分離独立して設立。設立当時は苛性ソーダ・製紙・酵母・食用油・化粧品など多種多様な事業を展開したが、1950年から塩化ビニル樹脂の量産を本格化。1960年代には化成品・樹脂分野で急成長を遂げ、1980年代には医薬品事業を軌道に乗せた。現在では化成品・樹脂分野で高い技術力を誇る他、医薬品分野や食料分野にも事業を多角化している。

POINT

・カネボウから分離独立した準大手化学メーカー、事業多角化を推進
・売上高は成長基調だが利益はやや伸び悩む、財務健全性も良好
・平均年収797万円で住宅補助も手厚い、独身寮は格安で35歳まで入居可能

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:64(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用人数は年間40人~70人ほどだが、うち15名前後は高専卒業生枠となっている。準大手化学メーカーとしては高めの一般知名度があり、選考倍率はやや高め。
採用大学:【国公立】大阪大学・九州大学・神戸大学・横浜国立大学・静岡大学・山梨大学・大阪公立大学・東京農工大学・名古屋工業大学・豊橋技術科学大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・立教大学・法政大学・関西学院大学・立命館大学・駒澤大学・東京理科大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

カネカの売上高は2020年まで5,400億〜6,200億円ほどで推移していたが、同年以降は増加傾向に転換。2024年には過去最高となる7,623億円に到達している*1。営業利益は長期的に260億〜435億円で推移しており、景気後退局面にも底堅い推移。
*1:2021年から売上高の成長が続いている理由は、①アジア市場における塩ビ樹脂の需要拡大、②欧米市場における建築・工業向けポリマー需要の拡大、③国内外における血液浄化器・カテーテルの販売好調、④COVID-19治療薬『ゾコーバ錠』向け中間体の販売好調、など。

✔セグメント別の状況

カネカは、マテリアル事業(塩化ビニル樹脂・苛性ソーダ・特殊樹脂など)、QOL事業(スチレン系発泡樹脂・発泡ポリオレフィン・太陽電池・アクリル系合成繊維など)、ヘルスケア事業(医療機器・医薬品原料・バイオ医薬品など)、ニュートリション事業(機能性食品素材・乳酸菌・パン酵母・香辛料など)、その他事業(損害保険・生命保険代理業務など)、の5事業を有する。
当社は化成品・樹脂・医薬品・食品など幅広い製品ポートフォリオを有するが、最大の稼ぎ頭はマテリアル事業である。同事業では1960年代から当社の成長を支えてきた歴史があり、塩化ビニルモノマー・ポリマー・特殊塩ビ樹脂・苛性ソーダなどを取り扱っている。とりわけ特殊塩ビ樹脂では海外にも生産拠点を置いて世界規模で展開している。

✔最終利益と利益率

カネカの純利益は長期的に140億〜230億円ほどでの推移が続いている。営業利益率は4%〜6%ほどで安定して推移しており、化学メーカーとしては高くもなければ低くもない水準。

✔自己資本比率と純資産

カネカの自己資本比率は長期的に51%~53%ほどで極めて安定的に推移しており、負債に依存しすぎない事業運営ができている。純資産は2021年から増加傾向にあり、2023年には4,743億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

カネカの平均年収は2022年まで730万〜770万円で推移していたが、2023年には797万円まで上振れている。大卒総合職の場合、30歳で年収520万~600万円ほど、課長職レベルで年収950万~1,050万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

カネカの単体従業員数は2018年をピークに微減傾向にあり、2023年は3,390人の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.15万人ほど。平均勤続年数は17.3年(2023年)と大企業の標準的水準を上回る。

総合評価

企業格付け:B

かつて鐘淵紡績(現・カネボウ)から非繊維部門が分離独立して誕生した企業。設立当時は苛性ソーダ・製紙・酵母・食用油・化粧品など多種多様な事業の寄せ集めであったが、1960年代からは塩化ビニル樹脂などの樹脂分野で業績拡大を果たしたことで化学メーカーとして発展。業績においては2021年から売上高を伸ばしており、2023年には過去最高となる売上高7,623億円に到達している。とりわけ、主力製品である塩化ビニル樹脂・シリコンポリマー・エラストマーなどがアジア・欧米市場で需要拡大していることが販売拡大の追い風となっている。ただし、営業利益・純利益は2021年をピークに伸び悩んでおり、世界的な原材料価格の高騰に苦戦している状況にある。財務体質においては、自己資本比率50%以上を長年に渡って継続しており、過度な積極財政に転じることなく安定的な財務体質を整えていると評価できる。

就職格付け:B

給与水準においては平均年収730万~770万円程で安定的に推移しており、準大手化学メーカーなりの水準。総合職なら30歳で年収520万~600万円ほど、課長職レベルで年収950万~1,050万円には到達する。福利厚生においては住宅補助が手厚く、独身寮は35歳まで月額5000円ほどで住めるうえ、結婚後の家賃補助制度では月額8万円が補助される。育児介護サポート休暇も手厚く、対象家族1名につき有給休暇20日が付与される。特筆すべきは2019年にインターネット上を騒がせた「育休から復帰後2日で関西への転勤辞令」事件であろう(参考リンク)。しかしながら、大手メーカー勤務の総合職であれば定期的な転勤は避けられないことは社会通念上の常識であり、背後事情も含めた詳細を説明するプレスリリースが発行されている(参考リンク)。少なくとも当社の恵まれた給与水準と福利厚生を考えれば、およそブラック企業とは限りなく程遠いと考えられる。

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出典:株式会社カネカ(有価証券報告書)