企業概要
オカムラは、オフィス家具・商品棚・物流機器などを主力とするオフィス家具・機械メーカー。1945年に終戦によって軍需を失った旧・日本飛行機の社員たちがスチール家具メーカーとして創業。1957年には小型自動車の生産にも進出したが、1960年にはオフィス家具分野へと注力。1970年代には物流機械分野にも進出して、オフィス家具・商品陳列棚に並ぶ主力事業へと成長。現在ではオフィス家具分野においてコクヨ・イトーキなどを抑えて国内シェア1位に君臨する。
・オフィス家具分野で業界首位、商品棚や物流機器などにも事業多角化
・売上高・利益は緩やかな増加傾向、財務体質はかなり良好
・平均年収737万円だが福利厚生は弱め、日本各地に生産拠点が分散している
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:61(中堅上位)
サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:やや難関
総合職の採用実績は年間80名~130名ほど。オフィス家具分野における大手ながら一般知名度は振るわず、選考倍率はそれほど高くなりにくい。
採用大学:【国公立】横浜国立大学・信州大学・埼玉大学・秋田大学・名古屋市立大学・滋賀県立大学・電気通信大学・京都工芸繊維大学など、【私立】立教大学・青山学院大学・立命館大学・関西学院大学・日本大学・専修大学・成城大学・東京理科大学・東京電機大学など(出典:マイナビ2027)
業績動向
✔売上高と営業利益
オカムラの売上高は2020年を除けば緩やかな増加傾向が続いており、2023年には過去最高となる2,982億円に到達している*1。営業利益は2022年まで110億~170億円ほどで推移していたが、2023年には過去最高となる240億円に上振れ。
*1:当社の売上高が増加している理由は、①人手不足を受けたオフィス環境のリニューアル需要拡大、②顧客ニーズを捉えた提案営業による拡販、③原材料価格の増加を受けた販売価格の値上げ対応、など。
✔セグメント別の状況
オカムラは、オフィス環境事業(オフィス家具・公共施設用家具・セキュリティ製品・ヘルスケア関連製品など)、商環境事業(店舗向け商品陳列棚、冷凍冷蔵ショーケース、店舗カウンターなど)、物流システム事業(工場・倉庫向け物品保管棚・物流自動機器など)、その他事業(トルクコンバータ・トランスミッション・トランスファーなど)、の4事業を有する。
当社はオフィス家具メーカーとして知られる通り、オフィス環境事業が売上高の約54%・利益の約73%を占めている。商環境事業は売上高の約37%を占めるが、利益に占める割合は約21%と利益率が振るわない。物流システム事業は売上高・利益の10%に満たず、まだ発展途上の状況。
✔最終利益と利益率
オカムラの純利益は2022年まで80億~160億円ほどで推移していたが、2023年には202億円まで上振れている。営業利益率は緩やかな増加傾向がみられ、2023年には8.06%にまで到達。オフィス家具メーカーとしては良好な利益率となっている。
✔自己資本比率と純資産
オカムラの自己資本比率は61.1%(2024年)と相当な高水準にあり、負債に依存しすぎない事業運営ができている。純資産は緩やかな増加傾向にあるが、2023年には1,747億円にまで上振れしている。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
オカムラの平均年収は2020年まで670万~690万円ほどで推移していたが、同年以降は700万円台へと上昇。2024年は平均年収737万円となっている。総合職の場合、30歳で年収450万~510万円、課長職レベルで年収880万~950万円が目安。年功序列色が強いため、昇給のためには勤続年数を重ねる必要がある。
✔従業員数と勤続年数
オカムラの単体従業員数は2020年まで増加傾向が続いていたが、同年をピークに頭打ち。2023年は3,940人ほどの組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5,490人ほど。平均勤続年数は17.0年(2024年)と大企業の標準的水準をやや上回る。
総合評価
企業格付け:CC
オフィス家具分野において国内首位のシェアを掌握している業界大手。単にオフィス家具・什器を販売するだけに留まらず、自社製品を通じて顧客企業の生産性向上に貢献することまでを含めた提案力を強みとしている。業績においては売上高・利益いずれも増加傾向にあり、2023年には過去最高となる売上高・営業利益・純利益に到達している。最近では大手企業・自治体において人材確保・働き方改革のためオフィス環境を刷新するニーズが拡大しており、当社は提案型営業による受注増加に成功している。最近では原材料価格の上昇によるコスト増加も起こったが、積極的な値上げ対応によって利益率を落とすことなく耐えることに成功した。財務体質においては自己資本比率61.1%(2024年)と負債に依存しすぎない事業運営ができている状況。
就職格付け:CC
敗戦によって航空機の生産を禁じられた旧・日本飛行機の社員らが立ち上げたオフィス家具メーカー。1950年代にはトルクコンバータ式オートマチック小型乗用車の生産にも進出、短期間ながらも自動車メーカーとして知られたこともある。給与水準においては平均年収737万円(2024年)とオフィス家具メーカーとしては上位級だが、同業のコクヨ(平均年収782万円・2024年)には及ばない。総合職の場合、30歳で年収450万~510万円、課長職レベルで年収880万~950万円が目安となるだろう。ただし、年功序列色が強いため、若手のうちは給与が伸びにくいとも。福利厚生においては企業規模なりであるが、若手社員向けの独身寮は月額1万円ほどで入居することができる。ただし、30代以降には家賃補助・社宅などがないため自己負担が増える。注意すべきは主力拠点が日本各地に分散している点にあり、神奈川県・山形県・大阪府・静岡県・長野県・岩手県・岡山県などに立地している。全国型の総合職の場合には、転勤範囲が広大となる点には注意が必要だろう。