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【勝ち組?】イオンフィナンシャルサービスの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

イオンフィナンシャルサービスは、銀行・保険・クレジットカード・ローンなどを展開するイオングループの金融サービス会社。1981年にジャスコカードを扱うクレジットカード会社として設立、1990年代にはアジア圏への海外展開を加速させ、保険代理店業にも進出。2007年には金融庁の認可を得て「イオン銀行」を開設、総合金融サービス会社としての基礎を固めた。現在ではイオン銀行の預金ザンダは4兆円を超えてネット銀行3位の規模を誇り、世界11カ国で金融サービスを展開。マレーシアではバイク分割払いサービスでシェア1位。

POINT

・イオングループの総合金融サービス会社、利益の半分以上を海外で稼ぐ
・売上高・利益は2017年頃から横ばい傾向だが、財務体質も堅実で問題ない
・平均年収605万円だが福利厚生が充実、休みも取りやすい

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:58(中堅)

上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼなく、良好な人生を送ることができる可能性が高いだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:中難易度

総合職の採用人数は年間90名~100名ほど、企業規模の割には門戸は広め。中堅大学からも幅広く採用しており、かなりの穴場である。
採用大学:【国公立】名古屋大学・九州大学・神戸大学・横浜国立大学・信州大学・横浜市立大学・高崎経済大学など、【私立】関西学院大学・関西大学・立命館大学・日本大学・東海大学・成蹊大学・拓殖大学・國學院大学・西南学院大学・駿河台大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔営業収益と経常利益

イオンフィナンシャルサービスの営業収益は2020年まだ増加傾向が続いていたが、同年以降は横ばい。直近の2023年は営業収益4,856億円となっている。営業利益は2017年の701億円をピークにやや減少傾向にも見えるが、長期的には510億〜650億円ほどで横ばい*1。
*1:2023年に営業利益が減少した理由は、①顧客基盤の拡大に向けたマーケティング関連費用の増加、②世界的な景気減速による貸倒関連費用の増加、③世界的な金利上昇による資金調達コスト増加、など。

✔セグメント別の状況

イオンフィナンシャルサービスは、リテール事業(個人向け銀行・保険ビジネス)、ソリューション事業事業(クレジットカード・割賦販売・リース・債権管理回収など)、中華圏事業(中国・香港・台湾における事業展開)、メコン圏事業(タイ・ベトナム・カンボジア・ミャンマーにおける事業展開)、マレー圏事業(マレーシア・インドネシア・フィリピン・インドにおける事業展開)、の5事業を有する。
当社は営業収益の約65%を国内事業(リテール事業・ソリューション事業)で稼ぐが、全社利益においては海外事業が約75%を占める構造。特にメコン圏事業・マレー圏事業は高利益率となっており、海外事業で成功した企業といえる。

✔最終利益と利益率

イオンフィナンシャルサービスの純利益は2016年の394億円をピークに減少が続いている。直近の2023年には純利益208億円に後退しており、苦戦傾向。経常利益率も2018年までは15%前後で安定していたが、同年以降は8%~13%に低下。

✔自己資本比率と純資産

イオンフィナンシャルサービスの自己資本比率は6%~7%の低水準で推移しているが、これは当社が銀行業を展開しているためであり問題はない*3。純資産は長期的な増加傾向が続いており、直近の2023年には純資産5,743億円に到達している。
*3:銀行業は顧客から預金・有価証券を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

イオンフィナンシャルサービスの平均年収は640万〜800万円と不安定な推移だが、これは当社特有の事情による*3。総合職は30歳で年収480万〜550万円ほど、課長職レベルで900万〜1,100万円ほど。
*3:当社は2022年まで本社機能のみを有しており、そのため平均年収が実態と乖離していた。2023年に事業会社のうちイオンクレジットサービスを統合したことで一般社員の給与実態に近い平均年収が算出されるようになった経緯がある(参考リンク)。

✔従業員数と勤続年数

イオンフィナンシャルサービスの単体従業員数は長年に渡って120人〜220人ほどで推移していたが、直近の2023年に1,646人まで急増*4。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.59万人ほど。平均勤続年数も不安定な推移だが、直近の2023年は11.3年となっている*5。
*4:2023年に単体従業員数が急増した理由は、事業会社のうちイオンクレジットサービスを統合したことによる(参考リンク
*5:*3と同様の理由により、2023年の11.3年が実態に近い平均勤続年数となっている。

総合評価

企業格付け:CCC

日本最大の小売企業であるイオングループにおいて、銀行・保険・クレジットカードなどの金融サービスを担っている企業。世間一般では「イオン銀行」や「イオンカード」がよく知られるが、資産運用・保険・住宅ローンまで幅広く展開している。1980年代からアジア諸国へと進出してきた歴史があり、実は全社利益の半分以上を海外市場で稼ぐグローバル企業である。業績においては営業収益の拡大は2020年で頭打ちとなったものの、利益を安定的に稼げる体質が強み。海外事業が大きな利益基盤となっており、景気後退局面を含めて経常利益を確保できている。直近においては国内外における金利上昇や新興国の景気後退が業績の逆風となっているが、2023年も純利益208億円(前年比▲32%)で踏みとどまっている。2024年にはマレーシアで同国初となるイスラム金融方式に対応したデジタルバンクを開設(参考リンク)。海外ビジネスにおける先見性とスピード感は「イオングループの金融サービス子会社」の枠に留まらないレベルにあると評価できよう。

就職格付け:CCC

かつて1980年代にイオングループのクレジットカード会社として設立されるも、その後のグループの発展により総合金融サービス会社として発展した企業。親会社であるイオンが当社の発行済株式数の約48%を保有しているが、1996年には当社も株式上場を果たしている(現在もれっきとした東証プライム企業である)。給与水準においては平均年収605万円(2023年)と業界中堅。総合職であれば30歳で年収480万〜550万円ほど、課長職レベルで900万〜1,100万円が目安となる。福利厚生は大いに恵まれており、①借上げ社宅制度(自己負担1.5万円/月)、②イオングループ従業員割引、③フレックス勤務制度、④勤務時の服装自由、などが整う。平均有給休暇取得日数は15.5日と大いに休みやすい環境。就職先として比較されやすいのは中堅クレジットカード会社や地方銀行などであろうが、イオングループの巨大な顧客基盤という後ろ盾の存在はかなり心強いものがある。意外にもプロパー入社での出世枠も少なくなく、現代表取締役社長はイオン出身であるが当社プロパー入社で取締役まで登り詰めた役員も数多い。

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出典:イオンフィナンシャルサービス株式会社(有価証券報告書)