企業概要
アセットマネジメントOneは、投資信託の運用や資産運用アドバイザリーなどを展開するみずほグループの資産運用会社。2014年にみずほグループの資産運用会社4社(みずほ投信投資顧問・みずほ信託銀行の運用部門・DIAMアセットマネジメント・新光投信)が合併して設立。現在では、投資信託の商品開発・運用のみならず投資顧問業務・アドバイザリーも積極展開。顧客からの預かり資産は約69兆円に及び、日系資産運用会社として上位5社に食い込む。
・みずほグループの資産運用会社、日系資産運用会社として上位の運用規模
・営業収益は増加傾向だが営業利益は伸び悩む、財務体質は傑出して良好
・30歳で年収850万円~が目安だが、福利厚生は特筆すべきものなし
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:75(最高峰)
日本企業における最高峰クラスのキャリアであり、誰もが勝ち組として認めるレベルの待遇・名声が得られる。入社するためには人並み外れた能力・努力は当然、運も必要である。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関上位級
総合職の採用人数は年間15名~28名と少ない。日系の資産運用会社としては上位クラスの企業だけあって、ファンドマネージャー志望の求職者からの応募が多い。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・名古屋大学・東北大学・神戸大学・一橋大学・東京工業大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・明治大学・立教大学・中央大学・法政大学など(出典:外資就活ドットコム)
業績動向
✔営業収益と営業利益
アセットマネジメントOneの営業収益は2020年まで1,000億円前後で推移していたが、同年以降は1,100億〜1,270億円レベルへと上昇*1。営業利益は180億〜230億円で大いに安定しているが、営業収益の増加に反して伸び悩みが目立つ*2。
*1:2020年から売上高を伸ばしている理由は、①COVID-19後における世界的な株高局面による資金流入の増加、②新NISAをはじめとした政府主導の投資ブーム、など。
*2:利益が伸び悩む理由は、投資信託分野における手数料の切下げ競争の激化が主要因(参考リンク)。インデックス型の投資信託は手数料以外の差別化要素が薄く、顧客の囲い込みのために各社が手数料の引き下げを争っている状況にある。
✔セグメント別の状況
アセットマネジメントOneは、資産運用サービス事業(機関投資家向け私募投信・個人投資家向け公募投信の開発〜販売〜運用、投資顧問・アドバイザリーなど)のみの単一事業会社である。
当社は機関投資家・個人投資家向けに多種多様な投資信託を運用しており、顧客からの預かり総資産は約69兆円に達する(参考リンク)。営業収益を分解すると、①投信運用の対価である「委託者報酬」が約84%、②信託財産の保管管理の対価である「受託者報酬」は約14%となっている。投資助言業務による営業収益は約2%に過ぎず、割合は低い。
✔最終利益と利益率
アセットマネジメントOneの純利益は長期的に130億〜150億円で推移しているが、2023年は128億円にやや減少。営業利益率は2019年の19.7%から微減傾向にあり、2023年には16.2%となっている。
✔自己資本比率と純資産
アセットマネジメントOneの自己資本比率は70%〜77%の高水準で推移しており、財務健全性は非常に良好。純資産は緩やかな増加傾向が続いており、2023年には純資産808億円に到達している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
アセットマネジメントOneの平均年収・平均年齢は非公開。大卒総合職は30歳で年収850万〜950万円ほど、ファンドマネージャーレベルで1,500万〜1,800万円ほどと推定。入社から3年目には固定残業制へと移行。27歳で35時間/月の固定残業制、30歳で45時間/月の固定残業制となる。
[非公開会社のためデータなし]
✔従業員数と勤続年数
アセットマネジメントOneの単体従業員数は904名(2023年)と少数精鋭の組織体制となっている。平均勤続年数は2022年のみ公開されており、同年における平均勤続年数は12.9年となっている。金融業界としては長めであるが、大企業の標準的な水準を下回る。
総合評価
企業格付け:AA
みずほフィナンシャルグループにおける資産運用会社4社の合併によって、2014年に設立された企業。当時はアジア最大の資産運用会社として発足したが、その後の競合の躍進によって現在では首位からは陥落している。業績においては営業収益は過去最高圏で推移している反面、営業利益は伸び悩みが目立つ状況。2020年から世界的な株価局面が続いていることで資金流入が増加している一方で、同業他社との競争激化による信託報酬の引き下げ競争が痛手。人気を集めているインデックス型の投資信託は信託報酬以外の差別化要素が少ないのも、信託報酬を引き下げざるを得ない要因となっている。とはいえ、今なお営業利益率は16.2%(2023年)と高めであり、顧客から預かった資産を長期的に運用し続けるビジネスモデルゆえに業績が安定していることも強み。財務体質においては自己資本比率70%以上で安定しているうえ無借金経営と大いに良好。みずほフィナンシャルグループの顧客ネットワークによって集客力にも不安はなく、資産運用会社としての地位は固い。
就職格付け:AAA
みずほグループの資産運用会社として知られる企業だが、合併前の1者であるDIAMアセットマネジメントが第一生命のグループ会社であったために第一生命との縁も深い(現在も同社が発行済み株式数の約30%を保有する大株主である)。公的年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)からも運用受託機関として選定されており、国民が納めた年金保険料を金融市場において運用する役割も果たしている。給与水準においては、総合職の30歳で年収850万〜950万円ほど、ファンドマネージャーレベルで1,500万〜1,800万円ほど。福利厚生においては入社5年目までの若手社員についてのみ家賃補助制度で月額4万円が支給される程度であり、他は特筆すべきものはない。固定残業制を採用しており、入社から3年目で固定残業35時間/月、30歳で固定残業45時間/月が固定でつくようになる。