企業概要
りそなホールディングスは、りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらいフィナンシャルグループなどで構成される準大手金融グループ。2002年に大和銀行とあさひ銀行が合併して誕生したが、合併以前からの不良債権問題が浮上。過小資本に転落したことで2003年に国有化、公的資金の注入を受けた。その後は給与カットなどのリストラを経て、2015年に公的資金を全額返済。約20年間に渡る低迷を脱しつつある。
・準大手金融グループだが、経常収益はみずほFGの3分の1規模
・経常収益の成長は頭打ち、経常利益が減少傾向にある点がネック
・りそな銀行単体の平均年収は600万円台、中堅メーカー並みの給与体系
就職偏差値
専門職:73(最上位)
総合職:65(中堅上位)
■専門職採用
日本企業における最上位クラスの1社であり、数多ある大企業の中でも特筆すべき存在。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
■総合職
日本企業における中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
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業績動向
✔売上高と経常利益
りそなホールディングスの経常収益は緩やかな増加基調が続いているが、かつて2001年に記録した経常収益1.3兆円と比べると低空飛行感が強い。経常利益は横ばいであり、1,900億~2,300億円ほどのレンジで安定的*1。
*1:日銀による大規模な金融緩和によって貸出金と預金の利鞘が減少、2016年には史上初のマイナス金利政策が導入され銀行業の収益を圧迫している。
✔セグメント別の状況
りそなホールディングスは個人部門(個人向けローン・資産運用・資産承継ほか)、法人部門(法人向け貸出・企業年金・事業承継・事業成長サポートほか)、市場部門(貸金・為替・債券・デリバティブほか)、関西みらいフィナンシャルグループの4事業を有する。
収益と利益いずれも法人部門が約40%以上を占めており、稼ぎ頭。とはいえ、法人部門が利益の多くを稼ぐ国内三大メガバンクと比較すると個人部門の収益貢献も軽視できない点が特徴的である。
✔最終利益と利益率
りそなホールディングスの純利益は2014年から減少傾向にあるが、2017年のみ2363億円を計上*2。日銀による大規模な金融緩和によって貸出金と預金の利鞘が減少、2016年には史上初のマイナス金利政策が導入され銀行業の収益を圧迫。
*2:2017年にりそな傘下の近畿大阪銀行に三井住友フィナンシャルグループ傘下の関西アーバン銀行・みなと銀行が合流。この際の税務処理で純利益856億円が上積みされたことが理由(参考資料)。
✔自己資本比率と純資産
りそなホールディングスの自己資本比率は直近で3.6%と低めだが、銀行業としては問題はない水準。銀行業は顧客から預金・有価証券を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
りそなホールディングスの平均年収は直近で879万円とやや高水準だが、これは持株会社の1,554名のみの平均年収。りそな銀行の平均年収は679万円(2021年)どまり。大卒総合職は30歳で年収550万~650万円ほど、課長職レベルでも800万~950万円ほど。
✔従業員数と勤続年数
りそなホールディングスの単体従業員数は2020年頃から増加傾向が継続。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は1.92万人ほど*3。平均勤続年数は17年前後の水準だが、これは持株会社の1,554名のみの平均勤続年数。事業会社にあたる、りそな銀行単体の平均勤続年数は16.6年ほど。
*3:2018年から関西みらいフィナンシャルグループに合流した旧三井住友フィナンシャルグループ系の関西アーバン銀行・みなと銀行の従業員数が加わったことで従業員数が急増した。
総合評価
企業格付け:CC
■業界ポジション
国内三大メガバンクに続く、準大手金融グループ。しかし、業界第3位のみずほフィナンシャルグループに対して経常収益は3分の1にも満たず、背中は遠い。りそなホールディングス独自の強みは、①首都圏・関西圏の2大マーケットに地盤を持つ点、②メガバンクと異なり地域金融機関の連合体として個人・中小企業への営業志向の強さ、であろう。
■業績動向
収益・利益いずれも横ばいであり、成長も衰退もない推移が続く。誕生直後の2001年には経常収益1.3兆円以上を誇ったが、同年以降の経営混乱と実質国有化を経て減少。2009年以降は経常収益7,000億~9,000億円ほどで横ばい。
■財務体質
普通。かつては公的資金で救済されたイメージで企業イメージが毀損していたが、2015年に完済したことで過去は清算済み。過去15年で有利子負債を大幅削減しており、8,503億円(2009年)から1,810億円(2023年)まで削減。財務体質の改善が着実に進んでいる。
■ビジネス動向
新たに策定した中期経営計画では「リテールNo.1に向けたコーポレートトランスフォーメーション」を標榜。個人1,600万人・法人50万社の顧客基盤を自行の強みとして位置づけ、準メガバンクとしての規模感を活かしつつ個人顧客・中小企業向けのサービスを強化。メガバンクよりも個人顧客・中小企業向けの融資比率が高い分、高い貸出利回りで融資ができることが強味と自負。
就職格付け:専門職=AA/総合職=CC
■給与水準
最上位地銀並みであり、メガバンクには及ばない。持株会社の平均年収だけならば800万円を優に超えているが、事業会社であるりそな銀行の平均年収は679万円に過ぎず、中堅メーカーと大差ない。大卒総合職は30歳で年収550万~650万円ほど、課長職レベルでも800万~950万円ほどである。
■福利厚生
普通。家賃補助制度では遠隔地に実家がある場合に限って月額4万円ほどが支給されるが、実家が勤務地周辺に所在すると0円になる。転勤者には借上げ社宅が付与されるため、住宅コストは多少抑えられる。残業代削減に熱心であり、多くの支店が残業抑制に努めていることからワークライフバランスは保ちやすい方。メガバンクよりも関東・関西に支店が集中しているため、辺鄙な支店への転勤リスクが低いことは救いではある。
■キャリア
総合職・専門職の2職種制。総合職はソリューション・カスタマーサービスの2分野、専門職はデジタル・IT企画・データサイエンス・クオンツ・アセットマネジメント・マーケット・アクチュアリーなど。2021年から複線型人事制度と称して、自身の職種を20コースから選べるようになり、本人の希望に応じたキャリア形成がしやすくなった。
■専門職採用
りそなホールディングスは部門別採用を採用しており、専門職コースではマーケット部門・アクチュアリー部門・アセットマネジメント部門などが個別募集を行っている。採用直後は支店に配属されるが、最初の異動で業界準大手の花形部門へ直行できるキャリアパスが確約される点は大きな魅力。支店での転勤を繰り返すことなく本部直行でき、金融マーケットの根幹に関わる経験を積める点は高く評価できるだろう。