本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
ジャノメは、家庭用ミシン・産業機器を主力とする精密機械メーカー。1921年に小瀬與作が日本初の国産ミシンメーカーとして創業。小型ミシンを量産化することで、それまで欧州製ミシンに依存していた国内市場において国産品シェアを伸ばした。戦時中には軍需品製造を担ったが、終戦後にはミシン製造に回帰。高度経済成長期には家庭用ミシンの普及を追い風として事業規模を拡大した。1990年代からはミシン需要の停滞を受けて、産業機器分野へと事業多角化を推進。精密機械技術をベースとして卓上ロボットやスカラロボットを投入した。2021年には社名を『蛇の目ミシン工業』から現社名へと刷新し、非ミシン分野の主力事業化を明確にした。現在では家庭用ミシンで国内1位・海外3位のシェアを有する業界大手であり、高付加価値ミシン・産業機器分野への展開を進めている。
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:57(中堅)
平均年収は標準的だが、福利厚生はかなり恵まれており、残業が少なく休みやすい環境。一般知名度もかなり高く、安定した長期勤続環境を求める場合には有力な選択肢となる。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用数は年間10人~20人ほど。本社が東京・八王子に立地しており、首都圏出身者の採用が多い。中堅大学からも積極採用しており、学歴による選別感は希薄である。
採用大学:【国公立】横浜国立大学・茨城大学・大分大学・富山県立大学・秋田県立大学など、【私立】立教大学・中央大学・法政大学・同志社大学・日本大学・東洋大学・成蹊大学・拓殖大学・芝浦工業大学・東京都市大学・久留米工業大学・津田塾大学・共立女子大学など(出典:マイナビ2028)
業績動向
✔売上高と営業利益
ジャノメの売上高は1991年に過去最高となる934億円に到達した*1が、過去8年間は355億~440億円ほどのレンジで推移している。営業利益は2021年に過去最高となる49億円に到達したが、これは一過性の要因*2。同時期を除けば、営業利益11億~22億円ほどで推移している。
*1:当社の売上高が1990年代でピークアウトした理由は、①ファストファッションの普及による服の低価格化、②それに伴う服の修理・裁縫文化の下火化が主要因。家庭用ミシンの需要縮小が逆風である。
*2:2021年に営業利益が急増した理由は、COVID-19感染拡大期の裁縫ブームが主要因(参考リンク)。外出自粛で在宅時間が増加したことによる裁縫趣味の拡大、手作りマスク需要が急拡大し、家庭用ミシンの販売台数が国内外で大きく伸長した。
✔セグメント別の状況
ジャノメは、家庭用機器事業(一般ミシン・ロックミシン・刺しゅう機・職業用ミシン・学校専用ミシンなど)、産業機器事業(卓上ロボット・直交ロボット、自動ねじ供給機、サーボプレスなど)、IT事業(ジャノメクレディアによる業務システム構築・システム保守、アウトソーシングサービス、データ分析基盤システムなど)、その他事業(不動産賃貸)、の4事業を有する。
当社の事業構造は、家庭用ミシンを主力事業としながら、精密制御・機構設計技術を産業機器・IT事業へ横展開することで成立している。家庭用ミシンでは、「家庭用途に特化した使いやすさ」と「高付加価値機種への強さ」に強みがあり、初心者向け廉価機から高級コンピュータミシンまで幅広いラインナップを有する。自動糸通し・自動糸調子・水平全回転釜・液晶ガイドなどの利便機能によって、手芸愛好家・洋裁層・キルト市場など根強い趣味需要を囲い込んでいる。特に海外市場では、刺繍・キルト文化が今なお残る地域が多く、高価格帯の高機能コンピュータミシンを中心に販売を拡大している。こうした事情から、ミシンメーカーという成熟産業にありながら、実は海外売上高比率は70%を超えるグローバル企業となっている。もっとも、国内ミシン市場はすでに成熟産業であるため、卓上ロボット・サーボプレス・ダイカスト関連機器などの産業機器分野を第二の柱として拡大を進めている。
✔最終利益と利益率
ジャノメの純利益は2021年に過去最高となる39億円に増加したが、同時期を除けば4億~17億円ほどで推移している。2023年のみ純損失▲3.9億円に転落したが、これは一過性の要因*3。営業利益率は2021年を除いて3%~8%ほどで推移しており、機械メーカーとしては良好な水準にある。
*3:2023年に純損失に転落した理由は、ミシンの訪問販売からの撤退と全国68直営支店の閉店に伴う特別損失▲16億円の計上が主要因。かつては全国に販売拠点を構えることが成長の源泉となったが、現在では固定費負担の重い販売網となっていたことで2022年に全支店の廃止が決定された。
✔自己資本比率と純資産
ジャノメの自己資本比率は2021年から右肩上がりの増加傾向が続いており、2025年は69.6%に到達している。負債に依存しすぎない事業運営ができており、財務健全性は大いに良好である。純資産は2020年まで250億円ほどで横ばいが続いていたが、2025年には354億円に上振れしている。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ジャノメの平均年収は2021年まで570万~590万円ほどで推移していたが、同年以降は600万円台で推移している。総合職の場合、30歳で年収410万~450万円ほど、課長職レベルで年収680万~750万円が目安。平均年齢は40.9歳(2025年)と大手企業の標準的な水準よりも若い。
✔従業員数と勤続年数
ジャノメの単体従業員数は長期的な減少傾向*4が続いており、2025年は416人の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,388人ほど。平均勤続年数は14.1年(2025年)と大手企業の標準的な水準よりも僅かに短い。
*4:当社の単体従業員数が減少している理由は、国内販売体制の見直しによる全国68直営支店の廃止が主要因(参考リンク)。これに伴い、従業員約300人が退職したことで従業員数が減少した。
上記の公開データを総合的に踏まえた、企業としての実力値と就職先としての評価を、以下に最終的な評価結論として整理します。
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