本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
JTBは、旅行代理店業・観光地開発などを主力とする大手旅行会社。1963年に日本交通公社から営業部門が分社化されて設立。1960年代から日本人・外国人向けの国内旅行・海外旅行・訪日旅行サービスを幅広く展開し、事業規模を拡大した。1973年には旅行雑誌『るるぶ』を創刊し、国内外の観光地情報を分かりやすく発信することで旅行文化の形成に貢献した。1985年には旅行の前分割払いを開始し、高額になりやすい海外旅行を計画的に準備できる仕組みを提供した。現在では旅行代理店として国内1位に位置しており、法人向け出張支援・自治体と連携した観光振興・地域産品の流通支援・ふるさと納税関連事業なども展開し、単なる旅行代理店にとどまらない交流創造企業として事業領域を広げている。
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:57(中堅)
旅行業界におけるトップ企業として高い一般知名度を誇るが、利益率はかなり低めで財務健全性も回復途上にある。将来的な旅行需要の縮小に向けた抜本的な回復策も未だ模索中。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関
総合職の採用人数は年間200人~500人ほど。就職人気ランキングの上位常連企業であり、選考倍率は高くなりやすい。ただし、採用大学に占めるハイレベル大学の比率は少ない。
採用大学:【国公立】名古屋大学・宮城大学・横浜市立大学・広島市立大学・青森公立大学・小樽商科大学・お茶の水女子大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・中央大学・立命館大学・南山大学・成城大学・成蹊大学・獨協大学・玉川大学・西南学院大学・愛知大学・東北学院大学・流通経済大学・平成国際大学・秀明大学・開智国際大学・東京家政大学など(出典:逆引き大学辞典)
業績動向
✔売上高と営業利益
JTBの売上高は2019年の1.36兆円をピークに低迷傾向にあり、2021年には0.37兆円まで急落*1。同年以降はやや回復傾向だが、売上高1兆円レベルでの停滞が続いている。営業利益は2020年に▲975億円まで急落したが、2023年からは黒字圏を回復。ただし、売上高の規模に対して営業利益の規模は少ない。
*1:2021年に売上高が急落した理由は、COVID-19感染拡大による旅行需要の消失が主要因。2020年には緊急事態宣言が発出されたことで国内旅行・海外旅行の需要が激減、当社の業績にとって「類例のない経営環境の悪化」を及ぼした。
✔セグメント別の状況
JTBは、ツーリズム事業(個人・法人向けの旅行ソリューションなど)、エリアソリューション事業(観光事業者・自治体向けの観光開発・DX・エリア開発など)、ビジネスソリューション事業(法人向けHR・総務・人材育成・経費削減ソリューション、ビジネスイベント運営支援など)、グローバル事業(海外顧客向け旅行事業)、事業基盤機能(コーポレート機能群としての事業・経営機能)、の5事業を有する。
当社の事業構造は、旅行販売を中核としながら、法人向けソリューション・地域交流・教育旅行・観光振興支援などへ領域を広げる「交流創造事業」として成立している。個人向けには国内旅行・海外旅行・訪日旅行を販売し、法人向けには出張・報奨旅行・修学旅行・イベント運営などを担う。加えて、自治体向けには観光プロモーション・地域産品の販路開拓・ふるさと納税支援なども展開しており、地域経済と旅行需要を接続する役割を果たしている。一方で、事業の根幹はあくまで旅行に依存しているため、景気後退・感染症・自然災害・国際情勢などの影響を受けやすい。特にCOVID-19感染拡大期には旅行需要の急減によって旅行会社の脆弱性が露呈した。最近では、自治体・官公庁と提携した観光開発も主導しており、沖縄北部などで地域全体を観光エリアとして開発する事業を展開する(参考リンク)。
✔最終利益と利益率
JTBの純利益は2021年に▲1,051億円と巨額損失を計上*2したが、同年以降は黒字圏を回復している。営業利益率は0%〜3%ほどで長期的に推移しており、2021年には▲10%まで悪化している。長期的に低利益率が常態化しているうえ、景気後退局面における不安定さも残る。
*2:2020年に純損失▲1,051億円まで悪化した理由は、COVID-19感染拡大による影響。深刻な業績悪化を受けて、①VR修学旅行・オンライン接客などのデジタルサービスの拡充、②リモートワークの普及を受けたワーケーション商品の開発、などで対応したが業績悪化を抑えきれなかった。
✔自己資本比率と純資産
JTBの自己資本比率は2021年に6%台まで低下したが、2025年には21.3%まで回復を果たしている*3。が、低利益率が続く状況において負債依存度が高いために財務体質の弱さは否定できない。純資産は2018年の1,782億円をピークに減少しており、2025年は1,404億円となっている。
*3:当社は2021年に純損失▲1,051億円を計上したことで純資産が急減、自己資本比率6%台まで減少する危機に陥った。その後、日本政策投資銀行や取引先銀行に総額300億円の第三者割当増資を実施、300億円の資本増強を受けて立て直しを図っている(参考リンク)。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
JTBの平均年収は非公開だが、長期的に480万円~590万円ほどで推移していると推定される*4。総合職の場合、30歳で年収450万~560万円ほど、課長職レベルで年収850万~950万円が目安。旅行業界としては上位レベルとなる給与水準である。平均年齢は非公開。
*4:この平均年収は求人情報・企業口コミ情報をベースに当組織が業績・平均年齢・平均勤続年数を加味して推計した数値である。
✔従業員数と勤続年数
JTBの単体従業員数は1.19万人(2024年)ほどの組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.89万人ほどの大所帯である。平均勤続年数は16.9年(2025年)と大手企業の標準的な水準をやや上回っている。
上記の公開データを総合的に踏まえた、企業としての実力値と就職先としての評価を、以下に最終的な評価結論として整理します。
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