本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
松井証券は、インターネット証券取引に特化した独立系証券会社。1918年に松井房吉が株取引仲介業務店として創業。1920年には第一次世界大戦後の株価大暴落で売り方に回ったことで巨額利益を叩き出し、証券業界における名声を高めた。終戦後は中堅証券会社として存続したが、1990年代までは小規模な対面証券会社としての事業展開に留まった。が、1995年にはオンライン証券会社への転換を開始し、1998年には国内初となる本格的なインターネット株式取引サービスを実現。取引コストの大幅引き下げを実現したことで、オンライン証券における大手へと急成長を遂げた。2009年にはスマートフォン向け投資アプリをリリースし、スマートフォンの普及も追い風とした。現在では、日本株・米国株・投資信託・FX・先物・オプションなど幅広い金融商品を取り扱う大手オンライン証券の一角として知られる。
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:66(上位)
証券業界でも上位レベルの高待遇に加えて、全国転勤なく東京勤務を続けられる点が最大の強み。オンライン証券専業ゆえにノルマ営業もなく、ワークライフバランスも保ちやすい。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関
総合職の採用実績は年間8名~13名のみ。単体従業員数200名ほどの小規模企業であるために採用数自体が極めて限られており、入社難易度は相当に高い。
採用大学:【国公立】東京大学・大阪大学・北海道大学・神戸大学・筑波大学・埼玉大学・一橋大学・東京外国語大学・東京農工大学・東京学芸大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・明治大学・立教大学・青山学院大学・同志社大学・國學院大学・東京理科大学(出典:マイナビ2028)
業績動向
✔営業収益と営業利益
松井証券の営業収益は、2023年まで240億~310億円レベルで推移していたが、2025年には392億円まで急増している*1。営業利益は長期的に90億~185億円レベルで横ばいが続いている。景気後退局面にも安定して利益を得られているが、利益成長には伸び悩みがみられる。
*1:2025年に営業収益が増加した理由は、①株価上昇を追い風とした個人投資家の株取引増加による手数料収入の増加、②信用取引・FX取引の増加による金融収益の増加、など。
✔セグメント別の状況
松井証券は、オンライン証券サービス事業(日本株・米国株のオンライン証券取引、投資信託、先物・オプション取引、NISA・iDeCoなど)のみの単一事業会社である。
当社の事業構造は、個人投資家を対象とするオンライン証券事業へ特化し、日本株の売買手数料、信用取引に伴う金融収益、FX取引によるトレーディング利益を主な収益源として成立している。主力となる日本株事業では、現物取引と信用取引を個人投資家へ提供している。現物取引では株式の売買手数料が収益となる一方、信用取引では売買手数料に加えて、顧客への貸付資金から信用金利を得ている。したがって当社は、株式市場が活況となって売買代金が増えれば委託手数料が伸び、信用取引が増えれば金融収益も増える収益構造を持つ。反対に、株式市場が長期低迷して個人投資家の売買が減少すれば、手数料収入と信用取引収益が同時に縮小する可能性がある。最近ではSBI証券・楽天証券などが売買手数料無料化やポイント連携によって顧客数を急拡大しており、従来型の売買手数料モデルではなく、信用取引・FX・預かり資産による収益を拡大することが経営課題となっている。
✔最終利益と利益率
松井証券の純利益は2020年のみ61億円に低下*2したが、同年を除けば78億~129億円で安定的に推移している。営業利益率は35%~57%と、証券業界としてもトップクラスの高水準である。オンライン証券ならではの低コスト体質を活かして高利益率を維持している。
*2:2020年に純利益が減少した理由は、個人投資家による株式売買の低迷によって売買手数料が減少したことに加え、信用取引残高の減少によって金融収益が縮小したためである。
✔自己資本比率と純資産
松井証券の自己資本比率は、過去8年間に渡って6%~13%前後と低水準が続いているが、これは証券会社の事業特性が理由であり問題はない*3。純資産は2020年に約160億円以上も減少*4したが、同年以降は760億~800億円ほどで横ばいが続いている。
*3:顧客から受け入れた預り金や信用取引に伴う負債が貸借対照表に計上される事業の性質上、負債が大きくなりやすいためである。
*4:2020年に純資産が急減した理由は、①創業100周年記念配当と称して総額100億円を株主へ配当金として支払った点(参考リンク)、②創業100周年を記念して全正社員に1人あたり100万円の臨時賞与を支払った点(参考リンク)、など。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
松井証券の平均年収は2020年までは740万~870万円ほどであったが、同年以降は増加傾向。2025年には平均年収942万円に上振れしている。総合職の場合、30歳で年収750万〜850万円ほど、課長職レベルで年収1,100万~1,400万円ほどが目安となる。独立系証券会社としてはトップレベルの給与水準であり、大手証券会社にも決して見劣りしない。
✔従業員数と勤続年数
松井証券の単体従業員数は2021年から増加傾向が続いているが、2025年においても217人と極めて少数精鋭の組織体制となっている。平均勤続年数は10.3年(2025年)と低下傾向にあるが、これは採用強化で新規入社者が増えている反動である。
上記の公開データを総合的に踏まえた、企業としての実力値と就職先としての評価を、以下に最終的な評価結論として整理します。
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