本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
日本製鋼所は、大型鋳鍛鋼品・射出成形機・防衛機器などを展開する大手鉄鋼・機械メーカー。1907年に日本政府の主導により英・アームストロング社と英・ヴィッカース社の協力により北海道室蘭市に兵器メーカーとして設立。戦前には大口径艦砲や装甲板の製造を担い、戦艦『陸奥』の主砲などを製造した。 終戦後には民需製品へと転換し、火砲製造で培った技術を活かして、発電用ロータシャフトや石油精製用圧力容器などの大型鋳鍛鋼製品を製造。1950年代にはプラスチックの将来性に着目、樹脂加工機械にも進出した。1960年代には原子力発電所向け圧力容器部材を製造、原子力発電所の普及にも貢献。現在では、射出成形機・原子炉容器・蒸気発生器などで世界シェア首位級、電気自動車向け電池部材フィルム装置で世界シェア1位。防衛省向けの火砲・ミサイル発射装置も手掛ける。なお、当社の室蘭製作所には1918年開設の鍛刀所が現存しており、大手上場企業としては稀有な、日本刀の作刀技術を受け継いでいる。
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:63(中堅上位)
現代では一般知名度が低いが、戦前から日本の工業化を支えてきた名門。給与水準は業界中堅だが、世界シェア上位の製品を多数擁する独自性に強みがある。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用人数は年間40人~50人前後、うち技術系が30人ほど。一般知名度は高くはないとはいえ、採用枠が少ないことがネック。一大拠点を構える北海道・広島の地元採用にも積極的。
採用大学:【国公立】九州大学・北海道大学・広島大学・横浜国立大学・岩手大学・電気通信大学・室蘭工業大学・北見工業大学・豊橋技術科学大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・中央大学・法政大学・同志社大学・日本大学・東京電機大学・広島工業大学など(出典:マイナビ2027)
業績動向
✔売上高と営業利益
日本製鋼所の売上高は2022年まで2,100億〜2,200億レベルでの横ばいが続いていたが、2023年からは売上高がやや増加。2024年には過去最高となる売上高2,525億円に到達している*1。営業利益は120億〜240億円のレンジで横ばいが続いている。
*1:2023年から売上高が増加している理由は、①日本国内における原発再稼働、海外における原子力発電所の再評価による原子力発電製品群の需要増加、②自動車業界向けの射出成形機・押出機の販売好調、③防衛政策の転換による火砲・装甲車などの防衛関連機器の販売拡大、など。
✔セグメント別の状況
日本製鋼所は、産業機械事業(樹脂製造・加工機械、成形機、防衛関連機器、産業機械など)、素形材・エンジニアリング事業(鉄鋼品・特殊鋼材・原子力発電所向け部品・火力発電所向け部品など)、その他事業(成膜・結晶事業など)、の3事業を有する。
当社の事業構造は、かつて火砲などの兵器製造で培われた大型鍛造技術を出発点として、電力・石油化学・防衛向けの大型鋳鍛鋼品分野と、射出成形機・押出機・フィルム製造装置などを展開する産業機械分野を二本柱として成り立っている。素形材・エンジニアリング事業は、巨大鋼塊の製造や高度な鍛造技術によって、電力設備・化学プラント・防衛装備など基幹産業向けの需要を担っている。ただし、そうした重厚長大型事業だけでは景気変動や投資サイクルの影響を受けやすいため、産業機械事業の比重を高めることで収益の安定化を図る構造へと移っている。産業機械事業ではプラスチック加工設備を中心に自動車・包装材・電子部品など幅広い製造業向け需要を取り込み、量産性の高い機械ビジネスとして収益を支えている。最主力製品は樹脂製造・加工機械である。同製品だけで売上高1,027億円を確保しており、当社売上高の約40%を支えている。すなわち当社は、単なる鉄鋼メーカーではなく、大型鋳鍛鋼品で築いた技術基盤を活かしつつ、より付加価値の高い機械分野で収益力を補強する構造を持つといえる。
✔最終利益と利益率
日本製鋼所の純利益は2019年に199億円まで上振れた*2が、同年を除けば60億〜180億円ほどで推移している。営業利益率は5%〜10%ほどで推移しており、鉄鋼メーカーとしてはやや高めの水準にある。
*2:2019年に純利益が増加した理由は、①自動車産業向けの樹脂製造装置の受注好調、②中東・アジアにおける石油・ガス田における耐食性輸送管向けのグラッド鋼板の販売好調、③固定資産の売却益17億円の計上、など(参考リンク)。
✔自己資本比率と純資産
日本製鋼所の自己資本比率は緩やかな増加傾向が続いており、2025年には48.5%まで到達している。鉄鋼メーカーとしては高めの自己資本比率を確保している。純資産は右肩上がりの推移が続いており、2025年には1,951億円に到達している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
日本製鋼所の平均年収は693万円(2025年)と大手鉄鋼メーカーとしては中庸な水準だが、2019年から緩やかな賃上げが続いている。総合職の場合、30歳で年収480〜580万円ほど、課長職レベルで850万〜930万円ほどが目安となる。平均年齢は38.8歳(2025年)と、重厚長大メーカーのイメージに反して若い組織である。
✔従業員数と勤続年数
日本製鋼所の単体従業員数は2020年までは2,200人〜2,340人ほどで推移していたが、同年以降は1,750人〜1,980人ほどに減少。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5,100人ほど。平均勤続年数は12.5年(2025年)とやや短いが、平均年齢が若い組織であることを考慮すれば違和感はない。
上記の公開データを総合的に踏まえた、企業としての実力値と就職先としての評価を、以下に最終的な評価結論として整理します。
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