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建設

【勝ち組?】長谷工コーポレーションの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

長谷工コーポレーションは、マンション建築を主力とする大手建設会社。1937年に長谷川武彦が個人工務店として兵庫県尼崎市で創業。1960年代からはマンション分野への特化を進め、土地持ち込みによる特命受注方式で急成長。1990年代にはバブル崩壊の余波で経営危機に陥るが、2000年代からのマンションブームで復活。現在ではマンション建設シェアで日系首位に君臨。用地取得・事業化・販売・管理修繕に至るまで、マンション事業に必要な全機能を一気通貫で提供、マンション累計供給数は70万戸を超える。

POINT

・マンション分野に特化した大手建設会社、関西発祥だが全国区で事業展開
・売上高は2023年に過去最高を更新するも利益は伸び悩む、財務体質は良好
・平均年収963万円、2024年から新卒初任給を30万円に引き上げ

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:67(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用人数は年間150人~200人ほど。業界大手かつ高待遇にも関わらず、建設業界の不人気もあって選考倍率は低め。中堅大学からの採用実績も多く、穴場感は強い。
採用大学:【国公立】大阪大学・千葉大学・金沢大学・新潟大学・熊本大学・滋賀大学・大分大学・鳥取大学・大阪公立大学・北九州市立大学・豊橋技術科学大学など、【私立】早稲田大学・立教大学・関西大学・立命館大学・学習院大学・獨協大学・駒澤大学・大東文化大学・神奈川大学・国士舘大学・佛教大学・東京理科大学・芝浦工業大学・工学院大学・など(出典:長谷工コーポレーション新卒採用

業績動向

✔売上高と営業利益

長谷工コーポレーションの売上高は2020年まで7,700億〜8,900億円で推移していたが、2021年から増加傾向に転換。2023年には過去最高となる1.09億円に到達*1。営業利益は長期的に730億~980億円で推移しているが、2017年のみ過去最高となる1,008億円に到達している*2。
*1:2021年から売上高が増加している理由は、①COVID-19後のマンション需要の増加による受注好調、②原材料価格・人件費の高騰を受けた受注価格の引き上げによる増収効果、など。
*2:2017年から営業利益が低下している理由は、①建設業界における人手不足を受けた労務費の上昇、②COVID-19後の原材料価格の高騰によるコスト上昇、が主要因。

✔セグメント別の状況

長谷工コーポレーションは、建設関連事業(分譲マンション・賃貸マンション・ホテル・オフィスビルなどの企画・設計・建設)、不動産関連事業(マンション・戸建住宅分譲、賃貸)、サービス関連事業(マンション大規模修繕・リノベーション・賃貸管理・社宅管理代行・建物管理など)、海外関連事業(アメリカにおける不動産開発・商業施設運営)、の4事業を有する。
当社はマンション分野に特化した建設会社として知られるが、最大の特徴は土地持ち込みによる特命受注方式にある。自ら土地を仕入れたうえで開発プランとセットでデベロッパーに提案する営業スタイルで収益拡大を果たしてきた(参考リンク)。また、マンション分野に特化することで建築・修繕ノウハウを集中的に蓄積、収益力をより高めている。

✔最終利益と利益率

長谷工コーポレーションの純利益は2018年に過去最高となる873億円に到達したが、同年以降は480億~590億円ほどで推移している。営業利益率は2017年の12.3%をピークにやや下降傾向がみられ、2023年には7.83%となっている。

✔自己資本比率と純資産

長谷工コーポレーションの自己資本比率は2019年に48.5%に到達したが、同年以降はやや減少傾向がみられる。2023年は自己資本比率37.8%と高くもなければ低くもない水準。純資産は右肩上がりの増加傾向にあり、2023年に5,112億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

長谷工コーポレーションの平均年収は890万~960万円ほどで長期的に安定。大卒総合職の場合、30歳で年収700万~790万円ほど、課長職レベルで年収1,150万~1,300万円が目安。スーパーゼネコン5社には及ばないが、建設業界としては上位クラスの水準にある。

✔従業員数と勤続年数

長谷工コーポレーションの単体従業員数は2,350人~2,470人ほどで長期的に横ばいが続いている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7,800人ほど。平均勤続年数は17年前後で安定しており、建設業界としては高めの水準。

総合評価

企業格付け:BBB

マンション分野に特化した事業展開で知られる大手建設会社。1960年代という早期からマンション分野に注目、土地持ち込みによる特命受注方式で急成長を果たした企業である。同方式は、鉄道系・商社系デベロッパーなど(親会社が異業種であるがゆえに不動産業界に明るくない)事業者からの受注において、大きな武器となってきた(参考リンク)。マンション分野に特化することで、設計・施工ノウハウを集中的に蓄積。コスト最適化を図ることも当社の武器となっている。業績においては2021年から売上高を伸ばしており、2023年には売上高1兆円を突破して過去最高圏に到達。が、営業利益においては2017年に1,008億円に到達してからは横ばい傾向が続いており、人件費・原材料価格の高騰に苦戦している状況。強いて言えば、このようなコスト上昇を受けても尚、営業利益率は7.83%(2023年)と建設業界としては高水準の利益率を保っている点は賞賛に値するだろう。

就職格付け:BBB

マンションという商材を扱う関係からBtoC業態に近いために一般知名度もかなり高く、テレビCM『マンションのことなら、長谷工~♪』が世間的にも広く認知されている。給与水準においては建設業界においても上位クラスであり、平均年収は890万~960万円ほどで長期的に安定している。大卒総合職であれば、30歳で年収700万~790万円ほど、課長職レベルで年収1,150万~1,300万円には到達する。2024年には建設業界の人手不足を受けて、大卒初任給を30万円にまで引き上げている(参考リンク)。福利厚生においては企業規模なりであり、日本全国50箇所以上に独身寮を整備している。ただし、家賃補助制度・借上げ社宅が建築業界の割にはやや弱めではある(実家からの通勤時間90分以上かつ入社6年目まで)。総じて、大手電機メーカーなど著名メーカーに勝るとも劣らない待遇にありながら(建設業界の不人気もあって)総合職の採用大学は多種多様であるため、かなりのお買い得企業であると評価できるだろう。

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出典:株式会社長谷工コーポレーション(有価証券報告書)