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【勝ち組?】長瀬産業の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

長瀬産業は、機能素材・化学材料・電子材料・日用品などを扱う化学系専門商社。1832年に長瀬伝兵衛が染料問屋として創業。明治時代には西欧との染料貿易を開始、戦前には薬品・機械・食品・日用品などを扱う商社へと発展。現在では化学系専門商社として最大手の規模を誇り、国内外に100社超のグループ企業を擁する。非化学分野にも多数進出。

POINT

・大阪本社の老舗商社、化学系専門商社としては最大規模の大手
・売上高・利益は2021年から成長基調、財務基盤もかなり堅実寄り
・平均年収1,095万円だが福利厚生は普通レベル、理系採用に積極的

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:71(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用数は年間20名〜35名、事務職の採用数は年間10名〜15名ほど。昨今の商社人気の高まりによって、当社の選考倍率も上昇しており難化傾向。
採用大学:【国公立】一橋大学・大阪大学・北海道大学・神戸大学・筑波大学・広島大学・金沢大学・埼玉大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・関西学院大学・中央大学・法政大学・学習院大学・獨協大学・東京理科大学・椙山女学園大学など(出典:就職四季報)

業績動向

✔売上高と営業利益

長瀬産業の売上高は2020年に6,252億円に急落*1したが、同年からは増加傾向に転換。2023年には過去最高となる9,128億円に到達*2。営業利益は2021年に352億円に増加したが、同年からは横ばい傾向。
*1:2020年に売上高が急減した理由は、COVID-19感染拡大によって自動車業界や印刷業界が低迷、樹脂・塗料などの販売が急落したことが主要因。
*2:2021年から売上高が増加している理由は、①樹脂関連製品の販売好調および原材料価格の高騰を受けた値上げ効果、②半導体業界向け商材の拡販効果、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

長瀬産業は、機能素材事業(塗料・樹脂・通信機材・フッ素ケミカル・シリコン材料など)、加工材料事業(熱可塑性樹脂・合成樹脂・樹脂成型機など)、電子・エネルギー事業(精密研磨材料・半導体アセンブリ材料・太陽光パネル・ディスプレイパネル装置など)、モビリティ事業(内外装素材・電動化製品・センサ・自動運転用製品など)、生活事業(食品・添加物・医療機器・医薬原料・飼料・化粧品など)、その他事業(情報処理サービスなど)、の6事業を有する。
当社は染料問屋として発祥した企業であるが、現在では化学分野を中核として多種多様な商材を扱う商社へと発展している。1990年代からは自社R&Dセンターを設置、自社の技術基盤を固めることで顧客ニーズに柔軟に対応できる体制を築いている(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

長瀬産業の純利益は2021年に過去最高となる259億円に到達したが、同年からは横ばい傾向。営業利益率は2%〜3%ほどで長期的に推移しており、ビジネス規模の大きさで利益を確保する構造となっている。

✔自己資本比率と純資産

長瀬産業の自己資本比率は45%〜55%のレンジで長期的に推移している。安定した利益体質を加味すれば、財務体質は良好である。純資産は2019年まで3.000億円前後で横ばいが続いていたが、同年からは増加傾向に転換。2023年には4,013億円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

長瀬産業の平均年収は2017年まで800万円台で推移していたが、同年から増加傾向。直近では1,095万円となっている。総合職の場合、30歳で年収800万〜900万円ほど、課長職レベルで年収1,300万〜1,500万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

長瀬産業の単体従業員数は800人〜900人ほどで長期的に横ばい、直近の2023年は975人ほどの組織体制。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7,530人ほど。平均勤続年数は直近でも15.7年と、大手企業の標準的な水準に留まる。

総合評価

企業格付け:AA

化学系専門商社としては最大規模を誇る名門であり、同業他社には稲畑産業・蝶理などがある。とりわけ稲畑産業とは歴史やビジネスモデルにおいても類似点が多く、現在に至るまで大阪本社という点においても共通。当社は化学系専門商社として知られるが、現在では機能素材・樹脂・塗料・食品・自動車部品など多種多様な製品を取り扱っており、『化学系』の枠に留まらない事業展開が特徴(参考リンク)。業績は2020年にCOVID-19影響で一時低迷したが、同年以降は急回復。2022年からは売上高・利益いずれも過去最高圏で推移しており、足元の業績は好調である。財務体質においては自己資本比率49.7%(2023年)と、上場企業の商社としてはトップクラスの水準を保っている。2021年からは新たな中期経営計画「ACE 2.0」が始動。当社が培ってきた知見を活かしつつ新規ビジネス創出を目指す重点分野として、環境エネルギー分野・次世代通信関連分野・ライフ&ヘルスケア分野を定めている(参考リンク)。

就職格付け:AA

江戸時代に染料問屋として創業された老舗商社。1928年に建築された長瀬産業大阪本社ビルは、戦前日本の傑作建築として著名であり、『生きた建築ミュージアム』にも選定されている(参考リンク)。創業から現代に至るまで創業一族である長瀬家が経営を指揮してきたが、2015年に非創業家出身の社長が初めて誕生。給与水準は2017年まで平均年収880万円ほどであったが、同年から増加傾向に転換。直近では平均年収1,095万円(2023年)と専門商社としてもトップクラスに位置している。総合職であれば、30歳で年収800万〜900万円ほど、課長職レベルで年収1,300万〜1,500万円に達する。福利厚生においては意外と傑出しておらず、独身寮は入社後10年間の上限があり、家賃補助制度も月額3万円までと普通。商社ながら理系採用に力を入れており、営業職の約半数が理系出身者かつ大学院卒が多い。

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出典:長瀬産業株式会社(有価証券報告書)