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【勝ち組?】第一生命の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

第一生命ホールディングスは、第一生命・第一フロンティア生命・ネオファースト生命・アセットマネジメントOneなどを傘下に擁する大手生命保険会社。1902年に日本生命の審査医を務めていた矢野恒太が日本初の相互会社として創業。1923年の関東大震災では迅速な保険金支払で明細を高め、1932年には生命保険業界2位に躍進。終戦後には特別養老保険・団体定期保険・こども保険などを展開し、保険料の月掛取扱制度によって顧客の負担感を軽減。2010年には株式会社化と株式上場を果たした。現在では日本生命と業界首位を争う関係にあり、2022年には保険料収入で業界首位に返り咲いた。

POINT

・生命保険業界2位で海外展開に強み、非生保領域にも注力
・業績は安定的で景気後退局面にも強い、財務体質も健全
・平均年収949万円だが昇給ペースは鈍い、福利厚生も転勤なし職種は弱い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:68(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

年間の採用数は200人を超えるが、総合職の採用数は年間120人ほど(他は生涯設計デザイナー職)。生命保険会社としては日本生命に続く人気を誇り、選考倍率は高い。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・東北大学・北海道大学・神戸大学・横浜国立大学・千葉大学・国際教養大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・明治大学・関西学院大学・立命館大学・南山大学・駒澤大学・安田女子大学など(出典:就職四季報)

業績動向

✔経常収益と経常利益

第一生命ホールディングスの経常収益は2019年までは6.4兆〜7.1兆円レベルで推移していたが、同年以降は急増傾向*1。2023年には経常収益11.0兆円に到達している。経常利益は2019年のみ2,183億円に下落*2したが、同年を除けば3,800億〜5,900億円ほどで推移。
*1:2019年から経常収益が増加した理由は、①外貨建て保険の販売好調による保険料収入の増加、②円安による海外債券の利息増加、③投資先企業の業績好調による配当金の増加、が主要因。
*2:2019年に経常利益が急減した理由は、①円高低金利環境による利益減少、②COVID-19感染拡大による保険料支払いの増加、③営業活動の自粛に追い込まれた生涯設計デザイナーへの休業補償、など。

✔セグメント別の状況

第一生命ホールディングスは、国内保険事業(第一生命保険・第一フロンティア生命・ネオファースト生命保険・アイペット損害保険など)、海外保険事業(アメリカ・オーストラリア・インド・タイ・ベトナム・インドネシアなどにおける事業展開)、その他事業(ベネフィット・ワン、オフィスビル賃貸・ソフトウェア開発・シンクタンクなど)、の3事業を有する。
当社の主力事業は国内生命保険事業であり、経常収益の約75%・利益の約55%を占めている。ただし自社チャネルによる保険販売は苦戦傾向にあり、2024年にはベネフィット・ワンを買収して福利厚生事業に参入している(参考リンク)。その他事業は全社利益の約27%を支えているが、これは同事業にグループ会社からの配当金収入が含まれているためである。

✔最終利益と利益率

第一生命ホールディングスの純利益は2019年に324億円に下落したが、同年を除けば1,730億〜4,090億円ほどで推移している。自己資本利益率も2019年を除けば6%~9%ほどで推移しており、保険業界としては標準的な水準。

✔自己資本比率と純資産

第一生命ホールディングスの自己資本比率は5.7%(2023年)と低めだが、生命保険会社であれば健全な水準。保険会社は顧客から保険料を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。純資産は2020年に4.8兆円まで急増したが、2023年は3.88兆円(2023年)に後退。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

第一生命ホールディングスの平均年収は930万〜980万円ほどで長期的に安定しているが、これは持株会社の895人のみの平均年収である。実際には、総合職の30歳で850万円~930万円ほど、課長職レベルで年収1,200万~1,300万円レベル。生涯設計デザイナー職の場合は、販売実績に応じて給与が決まる実力主義色が強い評価制度となっている*3。
*3:生涯設計デザイナー職の場合、入社5年目までは固定給だが6年目以降は契約実績に応じて給与が変動する。成績がよければ年収1,000万円を超える反面、成績が振るわなければ年収200万円台にも後退する。

✔従業員数と勤続年数

第一生命ホールディングスの単体従業員数は増加傾向にあるが、2023年でも895人の組織体制となっており従業員の殆どは事業会社に属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5.94万人ほど。平均勤続年数は直近で14.5年と大企業の標準的な水準をやや下回る。

総合評価

企業格付け:AA

日本で初めて相互会社による生命保険会社として設立された業界の名門。生命保険業界において日本生命に続く業界2位のポジションを確立しており、保険料収入だけで言えば2022年には日本生命を逆転するなど拮抗状態。日本国内の生命保険市場は飽和状態にあることを踏まえ、①マルチブランド展開による多様なニーズの取り込み、②ベネフィット・ワンやアイペット損保の買収による非生保領域の拡大、③北米・アジア地域におけるシェア拡大、を目指す状況。業績においては、2019年から経常収益は増加傾向にあるが、経常利益・純利益ベースでは横ばい。生命保険業界としては海外進出が特に進んだ企業であるため、収益基盤が国内外に分散されているのは強みか。財務体質においても純資産3.88兆円(2023年)と厚みがあり、保険業法等で定められた基準に基づいて標準責任準備金(参考リンク)を積み立てている他、高予定利率の終身保険のうち払込満了後契約等に対して、追加責任準備金の積立も進めている。

就職格付け:総合職=A/生涯設計デザイナー職=C

■総合職=A
給与水準においては他の業界大手と横並びレベルであり傑出はしない。持株会社の平均年収は930万~980万円で横ばいであり、総合職の30歳で850万円~930万円ほど、課長職レベルで年収1,200万~1,300万円レベル。総合職であっても年収1,000万円を超えるには管理職クラスへの昇格が必要となるため、金融業界の大手企業の割には卓抜しない。福利厚生においては相当に恵まれており、入社15年目までは家賃補助制度によって月額家賃の85%が会社負担(全国転勤型総合職のみ)になる他、東京ディズニーリゾートのオフィシャルスポンサーであるためにチケットの割引購入も可能である。が、総合職の場合には凡そ5年おきに全国転勤があり、地方から地方への長距離転勤が頻発するのは人生設計において大きな課題となる。転勤なしへの転換も可能だが、基本給ベースで約4万円の差があるうえ、当社最大の旨味である潤沢な家賃補助制度を受給できなくなる。

■生涯設計デザイナー職=C
生涯設計デザイナー職は給与制度・福利厚生が別枠となっているため注意が必要。給与制度においては入社5年目までは固定給だが6年目以降は契約実績に応じて給与が変動。成績がよければ年収1,000万円を超える反面、成績が振るわなければ年収200万円台にも後退する。また、入社時点では6か月の有期雇用契約となり、6か月後に再選考に合格して初めて無期雇用に転換される。女性職種であるがゆえに、福利厚生においては産前産後休暇・出産一時金・育児サービス経費補助などは卓越しているが、営業適性がなければ長期勤続が難しいことは課題となるだろう。

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出典:第一生命ホールディングス株式会社(有価証券報告書)