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【勝ち組?】沖縄電力の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

沖縄電力は、沖縄県全域を管轄する地方電力会社。1952年に(米国統治下の沖縄において)米国政府が主導して琉球電力公社として設立。1972年に沖縄の本土返還に伴い、日本国政府・沖縄県が出資する特殊法人として発足。1988年には民営の株式会社へと移行。全発電量の90%以上を火力発電で補い、離島も含めた沖縄県全域への電力供給を担う。管轄エリアの狭さから、地方電力会社として最小の事業規模となっている。沖縄県知事が大株主に名を連ねており、発行済株式数の約4.97%を保有。

POINT

・沖縄県全域を管轄する地方電力会社、沖縄県におけるトップ企業の一角
・2022年に過去最悪の赤字を計上、財務体質もやや悪化
・平均年収774万円かつ住宅補助が充実、沖縄県では傑出した社会的名声

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:63(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用数は年間15名〜20名のみ。沖縄県”以外”の出身者からの応募数は少ないが、沖縄県内においてはトップクラスの就職先として絶大な人気を誇る。
採用大学:【国公立】東京工業大学・九州大学・筑波大学・広島大学・信州大学・長崎大学・琉球大学・長岡技術科学大学・室蘭工業大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・同志社大学・明治大学・立教大学・立命館大学・名城大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

沖縄電力の売上高は2021年まで1,750億〜2,050億円で推移していたが、同年以降は急増。2023年には過去最高となる売上高2,363億円に到達した*1。営業利益は2022年は▲484億円と巨額赤字に転落したが、同年を除けば30億~120億円で推移している。
*1:2022年以降の急激な売上高の増加は、世界的な原油価格の高騰による電力価格の上昇が主要因。
*2:2022年の大幅赤字の理由は、①ロシアによるウクライナ侵攻による資源価格の高騰、②為替レートの円安推移による燃料価格高騰、など。当社は全発電量の90%以上を火力発電で補うため、燃料価格の変動が業績を左右しやすい事情がある。

✔セグメント別の状況

沖縄電力は、電気事業(沖縄県内における発電・電力供給など)、建設事業(土木・建築・電気・通信工事の施工・保守点検)、その他事業(不動産賃貸、電気機械設備の受託運転など)、の3事業を有する。
当社は電気事業が売上高の約93%を占めており、他の地方電力会社と比べても電力事業への依存度が高い。全社利益においては建設事業・その他事業が約75%を占めており、直近数年における電気事業の利益低迷を補っている状況にある。

✔最終利益と利益率

沖縄電力の純利益は2022年に過去最悪となる純損失454億円に転落していたが、同年を除けば20億~80億円のレンジで安定的な推移している。営業利益率は2022年に▲21.6%まで急悪化したが、同年を除けば1%~6%ほどで推移している。

✔自己資本比率と純資産

沖縄電力の自己資本比率は2021年まで35%~37%で安定的に推移していたが、2022年の巨額赤字によって23%前後にまで低下。経済産業省の有識者審議会は一般電気事業の適切な自己資本比率を30%と掲げるが、沖縄電力の自己資本比率はこれを下回る。純資産も2022年の巨額赤字によって急低下、直近では1,188億円となっている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

沖縄電力の平均年収は長期的に750万〜780万円で安定的に推移している。総合職の場合、30歳で年収500万~590万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,050万円が目安。沖縄においてはトップクラスの給与水準を得られる。

✔従業員数と勤続年数

沖縄電力の単体従業員は1,500人~1,540人ほどで極めて安定的に推移している。平均勤続年数は直近で20.8年に到達しており、従業員の定着は大いに良好である。

総合評価

企業格付け:CC

沖縄県全域を管轄する地方電力会社であり、日本国内の電力会社としては最も規模が小さいことでも知られる。電源構成の90%以上を石炭火力・LNG火力・石油火力に頼っており、とりわけ石炭火力の電源構成比率は59%を占めることも特徴(参考リンク)。業績においては2021年から燃料価格の高騰に苦しんでおり、2022年には過去最悪となる営業損失484億円・純損失454億円を計上するに至った。2023年には燃料費調整制度によって燃料価格の高騰分は相殺が進み、営業黒字34億円・純利益23億円までの回復を遂げた。しかしながら、企業規模に見合わない巨額損失によって財務体質は相当の痛手を被っており、自己資本比率は35.7%(2021年)から23.4%(2023年)まで低下。2022年の純損失で毀損した財務基盤を回復するには最短でも5年から8年を要するものとみられる状況。

就職格付け:B

沖縄県におけるトップ民間企業の一角として、沖縄セルラー電話と双璧を成す企業。数多い離島を抱える沖縄県において電力供給を支える公益性は当然、同県を地盤とする数少ない上場企業かつ本土の大手企業にも匹敵する待遇を得られる点から、同県出身者にとっては憧れの企業である。給与水準においては平均年収750万〜780万円で安定しており、沖縄県における平均年収の約2倍にも達する。総合職の場合、30歳で年収500万~590万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,050万円が目安となる。福利厚生においても地方電力会社の例に漏れず、独身寮・社宅が完備されているために住宅コストを抑えることができる。労働環境もホワイトであり、平均残業時間16.3時間/月・平均有給取得日数18.8日(2023年)と無理なく働ける環境。その証左に、平均勤続年数は20.8年(2023年)と、従業員の定着は極めて良好。本土であれば同水準の待遇を提供する大手企業は数多くあるが、沖縄県において当社並みの待遇を得られる企業は他に沖縄セルラー電話のみ。また、沖縄県内に限れば社会的名声も傑出しており、金銭的・精神的な充足感は大いに高い。沖縄県での就職を考える場合には、最高峰の企業であることは疑いの余地がないだろう。

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出典:沖縄電力株式会社(有価証券報告書)