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【勝ち組?】東京メトロの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

東京メトロ(正式表記:東京地下鉄)は、東京都を地盤とする大手鉄道会社。1920年に早川徳次が鉄道会社として創業、1927年には上野-浅草間で東洋初となる地下鉄を開業。1941年には戦時統制により同業他社と合併して帝都高速度交通営団に改組。終戦後にもGHQによる解体を免れ存続したが、2004年に小泉内閣によって民営化。現在では地下鉄を中心とした180駅・9路線・195kmを運営して東京都市圏の交通を支える。2024年には株式上場を果たして上場鉄道会社へと移行。

POINT

・元公営企業の大手地下鉄会社、輸送人員数は私鉄会社トップ
・売上高・利益はCOVID-19で下落するも、利益率は業界トップクラス
・平均年収770万円と業界上位級、平均勤続年数も17.5年と長い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:69(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:総合職=至難、現業職=難関

総合職の採用数は年間20人前後、現業職の採用数は120人~140人ほど。都心勤務が確約されるうえ待遇も良い総合職は鉄道会社としてもトップクラスの人気を誇り、採用難易度は極端に高くなる。
採用大学:非公開(出典:リクナビ2025

業績動向

✔売上高と営業利益

東京メトロの売上高は2019年までは4,100億〜4,300億円で安定していたが、2020年には2,957億円まで後退*1。同年以降は回復傾向にあるが、直近でも売上高3,892億円ほどに留まる。営業利益は2020年・2021年には営業赤字に転落したが、平常時であれば700億〜1,000億円ほど。
*1:当社はCOVID-19感染拡大で大打撃を被った1社。外出自粛によって通勤・通学・レジャーが急減したことで鉄道事業の採算が急激悪化。

✔セグメント別の状況

東京メトロは、運輸事業(地下鉄9路線による鉄道事業など)、不動産事業(沿線におけるオフィスビル賃貸・ホテル運営など)、流通・広告事業(沿線駅における商業施設運営、駅構内広告・車両内広告、光ファイバー賃貸など)、その他事業、の4事業を有する。
当社は運輸事業が売上高の約90%を越えており鉄道依存度が極めて高い。大手鉄道会社は事業多角化が進んでいることが多いが、かつて公営企業だった歴史的経緯やそもそも鉄道事業の利益が高い事業構造から事業多角化にはそれほど熱心ではない。

✔最終利益と利益率

東京メトロの純利益は2019年以前は500億~600億円だが、2020年・2021年に赤字転落している。直近では462億円まで回復。営業利益率はCOVID-19影響期間を除けば19%~20%ほどで推移しており、大手鉄道会社としては著しい高利益率を誇る。

✔自己資本比率と純資産

東京メトロの自己資本比率は長期的に30%~40%ほどに留まる*2が、鉄道会社としては上位級の水準。純資産は2019年までは増加傾向であったが、同年以降は横ばいが続いている。直近では純資産6,684億円に到達。
*2:鉄道会社は鉄道車輛や線路の維持管理に膨大な設備投資資金を要する特性があり、自己資本比率は他業界と比べて低めとなる特徴がある。ただし、安定したキャッシュフローが得られる業態であるため自己資本比率がやや低めであったとしても大きな問題とはならない。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

東京メトロの平均年収は直近で770万円と鉄道会社としては上位級の水準。大卒総合職の30歳で年収600万~690万円、課長職レベルで900万~1,100万円ほどが目安。現業職であっても30代で年収550~600万円には誰でも到達できる。

✔従業員数と勤続年数

東京メトロの単体従業員数は長期的に9,400人~9,700人で推移している。平均勤続年数は16年~18年ほどで推移しており、鉄道会社としてはトップクラスの勤続年数を誇る。

総合評価

企業格付け:A

日本国内における最大人口集積地である東京都市圏の鉄道交通を支える地下鉄会社。戦前から日本の首都の地下鉄インフラを公営企業として支えてきた他、民営化後においても磐石の路線網で安定収益を稼ぎだしている。売上高・利益いずれも安定的であるが、当社の特徴は鉄道業界トップクラスの利益率の高さであり、営業利益率は20%台前後で推移。これは東海道新幹線を擁するJR東海を除けば鉄道業界において首位となる利益水準である。さすがにCOVID-19感染拡大期には赤字転落したものの、2022年以降は回復傾向に転換。COVID-19感染拡大期にリモートワークが普及したことが今なお痛手とはなっているが、今なお安定した高利益率は健在であり企業存続にはまったく懸念がない。強いて言えば、大手鉄道会社と比べると沿線に不動産を多く保有しているわけではないため事業多角化の余地が限られることがネックだろうか。また、都心部に路線網が極端に集中しているため、首都直下型地震に見舞われた場合には経営・業績への打撃はかなりのものになる点もリスクといえる。

就職格付け:総合職=A、現業職=B

日本における都市地下鉄のトップ企業、実は輸送人員数においても私鉄会社トップを誇る。当社の年間輸送人員は年間23億人以上であり、私鉄2位の東急(年間10億人)に約2倍以上の大差をつけて引き離す。給与水準においては鉄道業界上位級であり、平均年収は770万円とかなり高め。現業職の絶対数などの違いがあるため単純比較はできないが、業界トップ企業であるJR東海(平均年収760万円)やJR東日本(725万円)すらも上回る。大卒総合職であれば30歳で年収600万~690万円には達し、課長職レベルで900万~1,100万円ほどになる。当社最大のネックは勤務地が都心部に集中しているが故に、生活コストも嵩みやすいことだろう。同業他社を平均年収で上回るとはいえ都心部にマンションを楽に購入できるほどでもなく、都心部には一流企業サラリーマンも多いために地元の名門企業とされる地方鉄道会社ほどのネームバリューも得にくい。そう思うと、結果的には地方鉄道会社のほうがネームバリューや実生活水準において幸福度が高いということも大いに起こりうる。

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出典:東京地下鉄株式会社(有価証券報告書)