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資産運用

【勝ち組?】日興アセットマネジメントの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

日興アセットマネジメントは、投資信託の運用や資産運用アドバイザリーなどを展開する三井住友トラストグループの資産運用会社。1959年に日興證券が投資信託運用会社として設立、1999年には日興国際投資顧問と合併して規模拡大。2008年には日興證券の経営不振によって米・シティバンクグループに救済されるが、紆余曲折を経て2009年に住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)に子会社化された。現在では資産運用残高が約35兆円に及び、世界11ヵ国において事業展開している。2025年9月には『アモーヴァ・アセットマネジメント』に社名変更を予定(参考リンク)。

POINT

・三井住友トラストグループの資産運用会社、海外ネットワークは日系随一
・営業収益・営業利益いずれも安定的だが成長もない、財務体質は傑出して良好
・30歳で年収850万円~が目安、国内拠点は東京・大阪・福岡のみ

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:75(最高峰)

日本企業における最高峰クラスのキャリアであり、誰もが勝ち組として認めるレベルの待遇・名声が得られる。入社するためには人並み外れた能力・努力は当然、運も必要である。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用人数は年間3名~5名と極めて少なく、門戸が狭いことが特徴。資産運用業界の上位企業だけあってハイレベル大学からの応募も多く、選考難易度は高まりやすい。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・東北大学・九州大学・北海道大学・横浜国立大学・一橋大学・東京工業大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・関西学院大学・法政大学・日本女子大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔営業収益と営業利益

日興アセットマネジメントの営業収益は2021年のみ996億円に増加したが、同年を除けば680億~830億円程で推移している。営業利益は2016年を除けば80億~130億円で安定。ただし、2021年の130億円をピークに同年以降は減益傾向にある*1。
*1:利益が伸び悩む理由は、投資信託分野における手数料の切下げ競争の激化が主要因(参考リンク)。インデックス型の投資信託は手数料以外の差別化要素が薄く、顧客の囲い込みのために各社が手数料の引き下げを争っている状況にある。

✔セグメント別の状況

日興アセットマネジメントは、資産運用サービス事業(機関投資家向け私募投信・個人投資家向け公募投信の開発〜販売〜運用、投資顧問・アドバイザリーなど)のみの単一事業会社である。
当社は1980年代から海外進出に積極的だったこともあり、米国・英国・シンガポール・香港・ニュージーランド・ルクセンブルクに現地法人を配置していることが特徴。当社が展開する投資信託ブランドは、パッシブファンド『Tracers(トレイサーズ)』や上場投資信託『上場インデックスファンド』などが著名。

✔最終利益と利益率

日興アセットマネジメントの純利益は2022年まで増加傾向が続いており、同年には過去最高となる178億円に到達*2。が、2023年には純利益83億円に後退。営業利益率は2016年を除けば10%~13%レベルで長期的に安定している。
*2:2022年に純利益が急増した理由は、特別利益として訴訟損失引当金戻入49億円が計上されたことが主要因。当社の元経営陣らがストックオプションに関する損害賠償請求を提起していたが、同年に原告との和解が成立した(参考リンク)。

✔自己資本比率と純資産

日興アセットマネジメントの自己資本比率は70%〜85%の高水準で推移しており、財務健全性は非常に良好。純資産は右肩上がりの増加傾向が続いており、2023年には純資産1,064億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日興アセットマネジメントの平均年収・平均年齢は非公開。大卒総合職は30歳で年収850万〜950万円ほど、ファンドマネージャーレベルで1,300万〜1,600万円ほどと推定。中途採用比率が高い企業であるため、前職の年収ベースで給与が設定されている従業員が多い。

✔従業員数と勤続年数

日興アセットマネジメントの単体従業員数は946名(2023年)と少数精鋭の組織体制となっている*3。平均勤続年数は2022年のみ公開されており、同年における平均勤続年数は12.9年となっている。金融業界としては長めであるが、大企業の標準的な水準を下回る。
*3:当社の従業員のうち資産運用のプロフェッショナルは221名、うちポートフォリオマネージャーが108人・アナリスト/ストラテジストが64人・トレーダー49名となっている(参考リンク)。

総合評価

企業格付け:AA

社名に「日興」を冠するが、現在では三井住友トラストグループにおける投資信託分野を担っている企業。資産運用総額は約35兆円と、業界上位の野村アセットマネジメント(約87兆円)やアセットマネジメントOne(約69兆円)と比べると規模感は小さめ。当社の特徴は、日系随一のグローバルネットワークであり、米国・英国・シンガポール・香港・ニュージーランド・ルクセンブルクに現地法人を置いている点だろう。1980年代から海外進出に積極的だった他、2000年代に米・シティグループ傘下入りした歴史的な経緯もあって海外展開においては先行していると評価できよう。業績においては営業収益・営業利益いずれも安定的だが、最近では同業他社との競争激化による信託報酬の引き下げ競争が痛手。新NISA制度などで投資信託への需要は高まっているが、当社の利益水準は伸び悩む状況にある。財務体質においては自己資本比率70%以上で安定しており、実質無借金経営と極めて堅実である。

就職格付け:AA

かつて日興證券(現・SMBC日興証券)が投資信託会社として設立した企業。1990年代以降に日興證券が経営危機に陥ったのち、源流である日興証券が三井住友フィナンシャルグループ入りする一方で当社は三井住友トラストグループに合流。上記2グループは名称こそ類似するが、何ら資本関係がない競合企業であるため、かつての日興證券グループ同士が分断された状態となっている。2025年には当社の社名は『アモーヴァ・アセットマネジメント』に変更される予定(参考リンク)であり、いよいよ日興證券色は消滅することになるか。給与水準においては日系大手資産運用会社なりであり、30歳で年収850万〜950万円ほど、ファンドマネージャーレベルで1,300万〜1,600万円が目安となる。ただし当社は中途採用比率が高い企業であり、前職年収に応じて個別に給与設定された従業員が多いために上記はあくまで参考値である。福利厚生においては特筆すべき制度はないが、中核拠点が東京・大阪・福岡のみであるために僻地勤務や高頻度転勤とは無縁である点は大きな魅力である。

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出典:日興アセットマネジメント株式会社(決算公告)