企業概要
日本道路は、道路工事・舗装工事・土木工事などを主力とする建設会社。1929年にアスファルト工場を経営していた馬渡操が道路舗装会社として設立。戦前から関東地方を地盤としつつ日本各地の道路工事に参画。終戦後には米軍・政府主導の道路工事を多数受注して戦後復興に貢献。高度経済成長期には日本全国への高速道路の整備にも多大な貢献を果たした。2022年には清水建設が当社株式の約50.16%を取得して子会社化。現在では同業のNIPPO・前田道路と共に日本3大道路会社として知られる業界大手である。
・道路業界3位で公共工事を主力とする建設会社、清水建設グループ傘下
・売上高・利益いずれも横ばい傾向だが安定性は強い、財務体質は健全
・平均年収731万円で住宅補助も手厚い、他頻度転勤への理解は必要
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:63(中堅上位)
サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用人数は年間70人~90人ほど。不人気傾向が強い建設業界において更にマイナーな道路業界ゆえに、選考倍率は低め。総合職の出身大学も多種多様であり、学歴差別もない。
採用大学:【国公立】千葉大学・金沢大学・熊本大学・信州大学・山口大学・大阪公立大学・高崎経済大学・北見工業大学・室蘭工業大学など、【私立】中央大学・関西学院大学・東洋大学・駒澤大学・成城大学・拓殖大学・創価大学・関東学院大学・東京理科大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
日本道路の売上高は2020年まで微増傾向が続いていたが、同年以降は1,500億〜1,600億円ほどで横ばい。営業利益は長期的に56億〜107億円で推移しており、景気後退局面にも底堅い推移*1。
*1:当社の業績が安定的である理由は、①道路業界は公共工事(発注元が都道府県・国土交通省・高速道路会社など)が最大顧客で景気動向に左右されにくい点、②高速道路工事などは工事期間が長期間に渡ることもある点、などである。
✔セグメント別の状況
日本道路は、建設事業(高速道路・一般国道・空港・サーキット・テストコース・駐車場・グラウンドなどの舗装・土木・建築工事)、製造販売事業(アスファルト合材・舗装用材料の製造販売)、賃貸事業(自動車・事務用機器のリース)、その他事業(不動産業・ソフトウェア開発・事務用機器販売・保険代理業・スポーツ施設運営など)、の4事業を有する。
当社は道路工事・舗装工事を主力とする建設会社であり、売上高の約82%を建設事業が占めている。副次的な事業として、アスファルト合材の製造販売事業があるが、これは当社の創業者がアスファルト工場から発展させて当社を設立させたことに起因する。
✔最終利益と利益率
日本道路の純利益は2017年のみ14.4億円に下落しているが、同年を除けば45億〜75億円ほどでの横ばいが続いている。営業利益率は3%〜6%ほどで安定して推移しており、建設会社としては高くもなければ低くもない水準。
✔自己資本比率と純資産
日本道路の自己資本比率は2017年から緩やかな増加傾向が続いており、2023年には66.7%に到達している。建設業界としてはかなりの高水準であり、負債に依存しすぎない事業運営ができている。純資産も2017年から緩やかな増加傾向にあり、2023年には1,002億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
日本道路の平均年収は2020年まで780万〜820万円ほどで推移していたが、同年以降は730万円前後に後退している*2。大卒総合職の場合、30歳で年収540万~630万円ほど、課長職レベルで年収950万~1,050万円が目安。平均年齢は41.4歳(2023年)と大企業の標準的な水準。
*2:2021年に平均年収が下落した理由は、単体従業員数が約400人ほど急増したことが主要因。単体従業員数が急増した理由は定かではないが、平均年収・平均年齢・平均勤続年数いずれも下がったことから現業職の従業員が増加した可能性が高い。
✔従業員数と勤続年数
日本道路の単体従業員数は2020年まで1,500人レベルで推移していたが、同年以降は1,600人ほどの組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,300人ほど。平均勤続年数は14.4年(2023年)と大企業の標準的水準に留まる。
総合評価
企業格付け:CCC
日本3大道路会社として知られる業界大手であり、まだ日本に舗装道路が少なかった1930年代から日本各地の道路工事に参画してきた老舗企業。2022年からは親会社となった清水建設を通じた民間工事の受注拡大に熱心であり、学校法人・物流業界・自動車業界向けの工事案件を増やしている。業績においては売上高・利益いずれも安定傾向が強く、過去8年間に渡って大きな業績変動は起こっていない。道路業界は公共工事(発注元が都道府県・国土交通省・高速道路会社など)が最大顧客となるため、景気動向に左右されにくい安定性が強みである。強いて言えば2017年に純利益14.4億円まで急落したが、これは東日本大震災に関わる舗装復旧工事での受注談合事件の発覚によるもの。財務体質においても保守的であり、自己資本比率66.7%(2023年)と負債に依存しすぎない事業運営ができている。
就職格付け:CCC
国内外において数多くの道路工事・舗装工事に従事している企業であり、主要な施工実績には、①上信越自動車道、②中部横断道(六郷IC~増穂IC間)、③クアラルンプール国際空港パーキングエプロン新設工事、などがある(参考リンク)。給与水準においては平均年収731万円(2023年)と道路業界としては上位クラスの待遇。総合職なら30歳で年収540万~630万円ほど、課長職レベルで年収950万~1,050万円には到達する。福利厚生においては(全国各地の道路工事現場への赴任が多い企業ゆえに)住宅補助が卓越しており、①独身者・転勤者向けの社宅・独身寮(自己負担は月額1万円未満)、②転勤時には赴任手当40万円を支給、③帰省費用の補助(年2回)、などが整備されている。社宅・独身寮によって住宅費用を最小限に抑えられるため、転勤が苦にならないのであれば実質的な可処分所得は見た目の平均年収を大きく上回るポテンシャルがあるだろう。