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化学

【勝ち組?】日本触媒の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

日本触媒は、高吸水性樹脂・酸化エチレン・アクリル樹脂などを製造する大手化学素材メーカー。1941年に無水フタル酸の生産を目的に大阪府で創業。1959年には酸化エチレンを製品化してポリエステル繊維・ペットボトル・洗剤などの原料として大量消費社会の到来を支えた。現在では、①紙おむつなどに使われる高吸水性樹脂、②酸化エチレン・アクリル樹脂などの化学品、が主力製品。高吸水性樹脂において世界シェア1位である他、アクリル酸でも世界シェア3位を誇る。

POINT

・基礎化学品・機能性化学品を主力製品とする化学素材メーカー
・売上高・利益が一時悪化したが回復傾向、財務体質は超優良
・平均年収782万円だが賃上げペース緩慢、福利厚生はまずまず

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:65(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用人数は年間40人~80人ほど、うち事務系採用は10名前後のみ。大阪本社ゆえに関西圏では一般知名度も高めであり、化学メーカー志望者を中心に底堅い人気がある。
採用大学:【国公立】大阪大学・東北大学・神戸大学・金沢大学・静岡大学・信州大学・三重大学・佐賀大学・大阪公立大学・東京農工大学・京都工芸繊維大学・豊橋技術科学大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・明治大学・中央大学・立命館大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

日本触媒の売上高は2020年まで2,700億~3,300億円のレンジで推移していたが、2021年からは増加傾向に転換*1。2022年には過去最高となる売上高4,195億円に到達している。営業利益は2020年のみ赤字転落したが、同年以外は130億~290億円ほどで推移している。
*1:2022年に売上高が大幅増加した理由は、①販売価格の値上げ、②為替レートの円安進行による増収効果、など。景気減速によって販売数量は減少したが、値上げと為替効果で大幅増収に着地。

✔セグメント別の状況

日本触媒は、マテリアルズ事業(アクリル酸・酸化エチレン・エチレングリコール・高吸水樹脂・プロセス触媒の製造・販売など)、ソリューションズ事業(コンクリート混和剤用ポリマー・電子情報材料・粘着加工品・排ガス処理装置・ダイオキシン分解触媒・電池材料の製造・販売など)、の2事業を有する。
当社はマテリアルズ事業で売上高・利益の約70%を稼ぐ事業構造となっており、ソリューションズ事業は補完的な立ち位置にある。マテリアルズ事業では高吸水樹脂において世界シェア1位を確立、世界各国の紙おむつに採用されている(参考リンク)。ソリューションズ事業では顧客企業のニーズに応じた製品を開発しており、化粧品用ポリマー・プリンター用樹脂・排ガス処理装置などを手掛ける。

✔最終利益と利益率

日本触媒の純利益は2020年のみ▲108億円に悪化*2したが、同年を除けば110億~230億円ほどで安定的に推移している。営業利益率は2020年を除けば4%~8%ほどで推移しており、大手化学素材メーカーとしては良くも悪くもないレベルにある。
*2:2020年に純損失を計上した理由は、①COVID-19感染拡大による景気減速をうけた主力製品の販売鈍化、②ヨーロッパの現地子会社での減損損失119億円の計上、③三洋化成工業との経営統合中止による費用損失、など(参考リンク)。

✔自己資本比率と純資産

日本触媒の自己資本比率は60%以上で安定的に推移しており、大手化学メーカーとしては上位級の水準にある。利益体質の安定性を加味すれば、財務体質は大いに健全と評価できよう。純資産は2021年から緩やかな増加傾向にあり、2023年には3,925億円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本触媒の平均年収は長年に渡って760万~820万円ほどの水準で安定的に推移している。大卒総合職の場合、30歳で年収530万~650万円ほど、課長職レベルで年収1,000万~1,150万円が目安。2022年の人事制度改革によって実力主義に転換、入社年数に応じた横並び昇給が緩和された。

✔従業員数と勤続年数

日本触媒の単体従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、2024年は2,540人ほどの組織規模となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4,680人ほど。平均勤続年数は16.5年(2024年)と大手企業の標準的な水準をやや上回っている。

総合評価

企業格付け:B

基礎化学品・機能性化学品を主力製品とする大阪地盤の化学素材メーカー。過去から現在まで基礎化学品を製造しているが、独自技術を活かして高吸水性樹脂・電子情報材料などの分野にも積極進出。とりわけ高吸水性樹脂では世界シェア1位を確立するまでの成功を収めている。業績においては2020年のみ赤字転落したが、同年を除けば売上高・利益いずれも安定的。新たな中期経営計画においては、①世界5極での生産拠点再編による地産地消化、②光学制御技術・微粒子材料を軸としたニッチトップ製品の拡大、③ソリューションズ事業への積極投資による利益拡大、を目指している(参考リンク)。財務体質においては自己資本比率70.5%(2024年)と大いに堅実であり、化学メーカーとしてはトップクラスに優良な財務基盤がある。

就職格付け:CCC

大阪に本社機能を置く大手化学メーカーの1社。研究開発を重視する社風であることから従業員の4人に1人が研究開発部門に属している。世間一般では”触媒”という言葉から自動車排ガス浄化部品の会社であると思われがちだが実態としては高吸水性樹脂・酸化エチレン・アクリル樹脂などが主力製品(自動車排ガス処理触媒も実際に生産しているため完全な誤りではない)。平均年収は760万~810万円ほどで推移しており、大手化学メーカー4社には及ばないとはいえ業界上位級の待遇。大卒総合職の場合、30歳で年収530万~650万円ほど、課長職レベルで年収1,000万~1,150万円が目安となるだろう。福利厚生においては大手メーカー並みの制度は整っており、各事業所には独身寮・社宅が整備されている。この独身寮・社宅は通勤距離が無駄に長い物件もあるものの、家賃は格安水準であるため貯金を貯めやすい。ただし、関東・関西に事業所がまばらに存在しているうえ、東京と大阪にそれぞれの本社を置いていることから、転勤リスクがそれなりに高い点には注意。本社勤務者は服装自由であり、ファッションにはそこそこ寛容。

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出典:株式会社日本触媒(有価証券報告書)