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【勝ち組?】日本発条の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

日本発条(ニッパツ)は、懸架ばね・自動車用シート・HDD用サスペンションなどを主力とする自動車部品・精密機械メーカー。1936年に鈴木商店(現・双日)の楓英吉らが芝浦スプリング製造所を買収して設立。戦前から自動車用ばねの製造を本格化し、戦後には進駐軍向けにジープのシートスプリングを供給。1980年からは非自動車分野を強化し、電子部品・セラミック部品など事業を多角化。現在では自動車用懸架ばね・HDD向けサスペンションで世界シェア首位級であり、ばね分野におけるトップ企業として知られる。

POINT

・ばね分野の業界最大手、自動車向け懸架ばね・HDD向け部品で世界1位
・売上高・利益は過去最高を更新、財務体質も良好で問題ない
・平均年収765万円で自動車部品メーカー上位級、福利厚生も良好

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:63(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用数は毎年60名~80名ほど、うち技術系採用枠が50名ほどを占める。自動車部品メーカーとしては知名度が高く、地盤である神奈川県や長野県において一定の人気を集めている。
採用大学:【国公立】名古屋大学・北海道大学・横浜国立大学・信州大学・香川大学・鹿児島大学・横浜市立大学・東京農工大学・長岡技術科学大学など、【私立】早稲田大学・上智大学・立教大学・関西大学・立命館大学・東京理科大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

日本発条の売上高は2020年に5,726億円まで落ち込んだが、同年以降は回復傾向。2023年には過去最高となる7,669億円に到達*1。営業利益は2020年に104億円に落ち込んだが、同年を除けば200億~400億円のレンジで推移している。
*1:売上高が拡大している理由は、①世界的な物価上昇を価格転嫁するための値上げ対応を進めた点、②主力製品である自動車部品・HDD向けサスペンション・半導体プロセス部品の販売好調、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

日本発条は、懸架ばね事業(コイルばね・板ばね・スタビライザなど)、シート事業(自動車用シート・内装部品、シート機構部品など)、精密部品事業(HDD用サスペンション・モーターコア・半導体検査用プローブユニットなど)、産業機器他事業(半導体プロセス部品・セラミック製品・ばね機工品・配管支持装置・ゴルフシャフトなど)、の4事業を有する。
当社は、ばね分野におけるリーディングカンパニーとして知られるが、実際にはシート事業が売上高の約42%・利益の約55%を占める。自動車業界を主要顧客とするビジネス(懸架ばね事業・シート事業)が売上高の約60%を占めるため、同業界の動向に業績を左右されやすい。

✔最終利益と利益率

日本発条の純利益は2018年~2020年にかけて100億円未満で低迷したが、同年以降は回復。2023年には過去最高となる純利益391億円に達した。営業利益率は概ね3%~6%ほどで推移しており、自動車部品メーカーとしては普通の水準。

✔自己資本比率と純資産

日本発条の自己資本比率は50%~58%ほどで長期的に推移しており、負債に依存しすぎない事業運営ができている。純資産は2019年から緩やかな増加傾向にあり、2023年は4,205億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本発条の平均年収は2022年まで685万~725万円ほどで横ばいであったが、2023年には765万円に増加している。大卒総合職は30歳で年収550万〜620万円ほど、課長職レベルで950万〜1,050万円に達する。平均年齢は直近で41.7歳と大手メーカーの標準的な水準。

✔従業員数と勤続年数

日本発条の単体従業員数は2019年まで増加傾向にあったが、同年をピークに横ばい傾向に転換。直近では5,100人規模の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.77万人ほど。平均勤続年数は直近で18.5年と大手メーカーの標準的水準をやや上回る。

総合評価

企業格付け:CCC

自動車向け懸架ばねにおいて世界トップクラスのシェアを誇り、世界の自動車の約4台に1台が当社製の懸架ばねを装着しているほどの大手ばねメーカー。が、実際には売上高・利益においてはシート事業が最大を占めており、自動車用シートにおける大手でもある。更には、HDD向けサスペンションにおいて世界シェアの約半分を掌握しており、HDDの2台に1台が当社製のサスペンションを搭載している。業績においては主要顧客である自動車メーカーの動向に左右されやすく、自動車業界がCOVID-19影響を受けた2020年には売上高・利益が落ち込んだ経緯がある。が、同年からは業績回復が続いており、2023年には過去最高となる売上高7,669億円・純利益391億円に到達。自動車分野以外にも、HDD向けサスペンションや半導体プロセス部品など将来性を期待される領域を積極開拓できているのも美点。特にHDD向けサスペンションはデータセンター向け需要の増加が期待されており、更なる成長ドライバーとなるかが注視される状況。

就職格付け:CCC

神奈川県横浜市に本社を置く、ばねメーカーとして国内シェア首位・世界シェア2位を占める業界最大手の企業。主要取引先は、SUBARU(売上高構成比率18%)・日産自動車(売上高構成比率16%)・トヨタ自動車(売上高構成比率13%)となっており、とりわけSUBARUが最大の太客となっている。給与水準においては直近で平均年収765万円(2023年)と、自動車部品メーカーとしては上位級の待遇。この平均年収は、SUBARU(691万円・2023年)やマツダ(689万円・2023年)などの中堅自動車メーカーを上回っており、主要顧客である自動車業界とも渡り合えるレベル。総合職であれば30歳で年収550万〜620万円ほど、課長職レベルで950万〜1,050万円に達する。福利厚生もかなり良好であり、主要拠点には独身寮・借上げ社宅を完備。若手社員は独身寮に月額1万円以下で入寮できるため、住宅コストの負担が非常に軽く済むのは美点。労働環境もかなり良好であり、平均残業時間20時間・平均有給休暇取得日数19.4日(参考リンク)と無理なく働ける環境が整っている。

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出典:日本発条株式会社(有価証券報告書)