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【勝ち組?】日本生命保険の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

日本生命保険は、大樹生命・はなさく生命・MLCなどを傘下に擁する大手生命保険会社。1889年に第百三十三国立銀行(現・滋賀銀行)で頭取を務めた弘世助三郎らが相互扶助の保険会社として設立。戦前の日本に生命保険を普及させ、1889年には国内首位の生命保険会社に成長。戦後には機関投資家としても頭角を現し、1988年には総資産で世界首位に躍進した。1990年代からは北米・アジア圏への進出を加速した。不動産でも日本トップクラスの規模を誇り、現在では全国200棟以上のビルを保有する。

POINT

・生命保険業界におけるトップ企業、日本最大級の機関投資家としても著名
・業績は安定的だが利益は伸び悩む、財務健全性は業界トップクラス
・総合職・30歳で年収850万~950万円、福利厚生は良好だが傑出もしない

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:71(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

年間の採用数は700人を超えるが、うち総合職の採用数は160人ほど(他はトータルパートナー職が主となる)。生命保険会社としてトップクラスの人気を誇り、選考倍率は高い。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・名古屋大学・東北大学・北海道大学・神戸大学・大阪公立大学・小樽商科大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・同志社大学・明治大学・中央大学・関西学院大学・関西大学など(出典:就職四季報)

業績動向

✔経常収益と経常利益

日本生命保険の経常収益は2020年までは6.3兆〜6.6兆円レベルで推移していたが、同年以降は急増傾向*1。2023年には経常収益12.0兆円に到達している。経常利益は2022年のみ1,423億円に下落*2したが、同年を除けば3,500億〜5,800億円ほどで推移。
*1:2021年から経常収益が増加した理由は、①外貨建て保険の販売好調による保険料収入の増加、②円安による海外債券の利息増加、③投資先企業の業績好調による配当金の増加、が主要因。
*2:2022年に経常利益が急減した理由は、①COVID-19感染時の自宅療養者を入院同等に扱う「みなし入院」による保険金支払いの増加、 ②日米の金利差拡大による為替ヘッジコストの増加、など。

✔セグメント別の状況

日本生命保険は、保険料収入(日本生命・大樹生命・はなさく生命などによる生命保険事業、企業年金制度管理業務、生命保険契約募集・損害保険代理業務など)、資産運用事業(株式・公社債・外国証券による預かり資産運用、ニッセイアセットマネジメント・日本マスタートラスト信託銀行などによる投資運用・助言、リース・ベンチャーキャピタルなど)、その他事業(システム開発・介護・医療事務・訪問看護・印刷など)、の3事業を有する。
当社は保険料収入として年間8.5兆円規模を得ており、これは第一生命と並んで業界トップレベルである。2016年には大樹生命(旧・三井生命)を子会社化、2018年にはマスミューチュアル生命保険(現・ニッセイ・ウェルス生命保険)を子会社化している。

✔最終利益と利益率

日本生命保険の純利益は2022年に1,182億円に下落したが、2023年には4,124億円に急増している。自己資本利益率も2019年を除けば3%~4%ほどで推移しており、保険業界としては低めの水準。

✔自己資本比率と純資産

日本生命保険の自己資本比率は10.7%(2023年)と低めだが、生命保険会社であれば健全な水準。保険会社は顧客から保険料を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。純資産は10.5兆円(2023年)に及び、業界2位の第一生命(3.88兆円・2023年)を突き放す。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本生命保険の平均年収は非公開だが、530万円~640万円ほどで推移していると推定される*1。総合職の場合、30歳で年収850万~950万円ほど、課長職へ昇格すると年収1,200万~1,400万円に到達する。トータルパートナー職の場合は、販売実績に応じて給与が決まる実力主義色が強い評価制度となっている*4。
*3:当社にはトータルパートナー職(いわゆる生保レディ)が約5万人ほど所属しており、平均年収が高まりづらい要因となっている。
*4:トータルパートナー職の場合、固定給は15.3万~23.0万円となっており、契約実績に応じて給与が大きく変動する(参考リンク)。成績がよければ年収1,000万円を超える反面、成績が振るわなければ年収300万円台にも後退する。

✔従業員数と勤続年数

日本生命保険の単体従業員数は6.8万人(2023年)の巨大組織となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は8.57万人ほど。平均勤続年数は直近で12.0年と大企業の標準的な水準を下回る。

総合評価

企業格付け:AA

日本最大の生命保険会社であり、1899年から保有契約高において業界1位に君臨し続ける業界トップ企業。日本最大級の機関投資家としても知られ、総資産は80兆円を超える規模を誇る。日本全国にビル200棟以上を保有しており、不動産の保有規模は延床面積ベースで三菱地所三井不動産に続く規模である。業績においては2021年から経常収益を急速に伸ばしており、2023年には12.0兆円にも到達している。が、経常利益・純利益はそれほど伸ばしてはいない。これはCOVID-19感染拡大による保険金支払いの増加や、日米の金利差拡大による為替ヘッジコストの増加が逆風となっている。財務体質においても生命保険業界トップクラスであり、純資産は10.5兆円(2023年)と圧巻の厚さ。保有資産の内訳においても逆に国内株式・債券への投資を重視しており、外国証券・外国不動産の比率は低いが故に海外景気にも左右されにくい。2024年には総額1.2兆円を投じて米系生保・レゾリューションライフ社を買収すると発表、海外展開の加速を図っている状況(参考リンク)。

就職格付け:総合職=AA/トータルパートナー職=C

■総合職=A
給与水準においては他の業界大手と横並びレベルであり傑出はしない。給与水準においては総合職の30歳で850万円~950万円ほど、課長職レベルで年収1,200万~1,400万円レベル。恵まれてはいるが、管理職に昇格しなければ年収1,000万円前後で頭打ちとなるため、世間が思うほど卓抜しているわけでもない。福利厚生においては住宅補助が弱く、全国転勤あり総合職向けであれば独身寮・社宅は整備されているが築古物件も少なくはない。エリア転勤・非転勤型の総合職の場合は家賃補助制度があるが、月額2万~3.5万円と多くはない。

■トータルパートナー職=C
トータルパートナー職は給与制度・福利厚生が別枠となっているため注意が必要。採用から3か月間は「採用前研修」期間とされ、研修を受講した時間分の時給が支払われる程度。3か月後に正式採用されると固定給+実績給へと移行する。女性職種であるがゆえに、福利厚生においては子育て支援・介護支援など「仕事と家庭の両立」を支援する制度に恵まれているが、営業適性がなければ長期勤続が難しいことは課題となるだろう。

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出典:日本生命保険相互会社(決算情報)