カテゴリー
その他 公企業

【勝ち組?】JRA日本中央競馬会の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

日本中央競馬会(JRA)は、農林水産省が競馬法に基づき所轄する特殊法人。1923年に競馬法に基づき日本各地に『競馬倶楽部』として設立、1954年に日本中央競馬会法に基づき再編された。1976年には電話投票を開始、2002年にはインターネット投票を開始して競馬普及に貢献を果たし、馬券売上高において世界1位に君臨。現在では政府全額出資の特殊法人として国内競馬所10か所を運営、騎手・厩務員・競走馬の育成を一手に担う。

POINT

・中央競馬を独占的に開催する公営企業、競馬売上高で世界1位に君臨
・売上高・利益は安定的、財務体質は鉄壁で倒産リスク皆無
・平均年収931万円だが、総合職は30歳で年収550万円~が目安

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:68(最上位)

競馬法に基づく事実上の独占団体で業績・財務は良好、国家公務員に準じる給与を得られる。公営賭博を嫌う層からの社会的名声は劣悪だが、それさえ気にならなければ優良な就職先。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:最難関級

総合職の採用人数は年間35人~50人ほど。もともと人気は高かったが、昨今の競馬ブームによって選考倍率が更に上昇。採用数の少なさもあって選考倍率は極めて高い。
採用大学:【国公立】東京大学・大阪大学・北海道大学・神戸大学・筑波大学・千葉大学・新潟大学・静岡大学・大阪公立大学・東京農工大学・帯広畜産大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・立教大学・中央大学・駒澤大学・成蹊大学・日本獣医生命科学大学・酪農学園大学など(マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

JRAの売上高は2011年から緩やかな回復傾向にあり、2023年には3.31兆円まで回復*1。事業利益は2022年まで増加傾向がみられたが、2023年には535億円にやや後退。
*1:当社は1997年に過去最高となる売上高4.0兆円を記録したが、2011年には2.29兆円まで悪化。それから売上高が回復傾向にある理由は、①2013年以降の世界的な景気回復による賭博意欲の回復、②2021年から『ウマ娘 プリティーダービー』の流行による若年競馬人口の回復、など。
*2:2023年に減益となった理由は、世界的な物価・人件費の高騰によって当社の主な事業費用にあたる競馬事業費・競争事業費・業務管理費いずれも高騰したことが主要因。

✔セグメント別の状況

JRAは、競馬事業(勝馬投票券の販売、レース情報の提供、レース審判、騎手・厩務員・競走馬の育成、各種システム運営、馬場保守・各種設備運営など)、のみの単一事業会社である。
当社は農林水産省が競馬法に基づき所轄する特殊法人であり、競馬事業のみに特化して事業展開している。売上高の約99%は勝馬投票券収入であるが、これらの売上高の一部は国庫納付金として国庫に納付される。2023年には年間3,500億円以上を国庫に納付しており、このうち4分の3が畜産振興、4分の1が社会福祉に活用されている。

✔最終利益と利益率

JRAの純利益は2022年に837億円に到達しているが、2023年は569億円にやや後退。事業利益率は長期的に1%~2%での低空飛行が続くが、そもそも当社が営利企業ではないために低利益率であることは何ら問題にはならない事情がある。

✔自己資本比率と純資産

JRAの自己資本比率は90%以上の超高水準で安定しており、著しい健全性を誇る。純資産は長期的に1兆円レベルで安定的であるが、これは当社が利益を追求していない公営企業であるために利益剰余金が増加しにくい事情による。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

JRAの平均年収は2022年まで900万円台で安定していたが、2023年には921万円にやや増加*3。ただし、この平均年収には高収入な専門職が含まれている点に注意が必要。大卒総合職の場合、30歳で年収550万~650万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,080万円が目安。
*3:当社は政府全額出資の公営企業にあたるため報酬・給与情報はすべて公式サイトで公開されている(参考リンク)。事務職に限った平均年収は867万円(41.2歳)であり、公務員の給与水準をベンチマークした給与制度となっている。

✔従業員数と勤続年数

JRAの単体従業員数は1,400人~1,500人ほどで極めて安定的に推移している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1,676人ほど。平均勤続年数は19.2年(2023年)と大企業の標準的水準を大いに上回り、従業員の定着は良好である。

総合評価

企業格付け:A

日本において中央競馬を独占的に運営する唯一の公営企業(中央競馬“以外”には地方競馬があり、これらは地方公共団体が運営している)。農林水産大臣の監督下にある特殊法人という位置付けであり、通常の民間企業とは異なり、国庫納付金を納めて畜産振興や社会福祉に貢献することを社会的使命とする。業績においては2011年まで売上高の減少が続いていたが、2023年には3.31兆円まで回復。長きに渡って競馬人口の高齢化が危ぶまれていたが、2021年からは『ウマ娘 プリティーダービー』の流行による若年層の流入も著しい。営業利益は2023年に若干の後退を示しているが、そもそも当社は国家納付金を納めることを使命とするため利益額の多少の変動を云々する必要性は薄いだろう。財務体質においては自己資本比率90%以上で安定しているが、これも政府全額出資の特殊法人である背景を考えれば妥当。いずれにせよ、倒産リスクとは無縁であろう。

就職格付け:A

給与水準においては平均年収900万円台で安定しているが、これには競馬運営に関わる専門職が多数含まれていることに注意が必要。国の外郭団体であるために国家公務員の給与水準を大きく超えられないうえ、公営賭博の運営元という社会的立場から不用意に高給を払えない事情もある。大卒総合職の場合、30歳で年収550万~650万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,080万円が目安となるだろう。福利厚生においては相当に恵まれており、独身寮・社宅が全国各地に整備されているために住宅コストを抑制できる。が、競馬法29条の規定により当社の職員は勝馬投票券の購入が禁じられているため、競馬ファンだからという理由で安易に就職を目指すと競馬を楽しめなくなる弊害はある。また、競馬をはじめとする賭け事を嫌悪する層からすれば「公営賭博の胴元」や「パチンコと何が違うのか」などの厳しい社会的評価を受ける対象でもあり、社会的名声はそれほど期待できないのは辛いところ。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!

出典:日本中央競馬会(経営に関する情報)