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【勝ち組?】安川電機の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

安川電機は、産業用ロボット・ACサーボモータ・インバータを主力製品とする工作機械・電機メーカー。1915年に電動機の開発を目指して福岡県北九州市で創業、戦前から電動機・モーター分野で存在感を発揮。1977年には国産初となる電気式多関節ロボットの開発に成功、これまでに270万台以上を納入して自動車・半導体・電機分野などで工場自動化に貢献してきた。現在では産業用ロボット分野で世界シェア3位、ACサーボモータでは世界シェア1位を誇る。

POINT

・産業用ロボット世界3位の電機メーカー、ACサーボモータは世界首位
・売上高は成長基調で利益も堅調、財務体質も優良で高利益
・平均年収872万円だが変動幅が大きい、福利厚生は住宅補助が手厚い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:66(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用数は年間60名~80名ほど、うち技術系採用枠が50名ほどを占める。産業ロボット分野の世界的大手かつ九州エリアでは優良企業として知られており、選考倍率は低くはならない。
採用大学:非公開(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

安川電機の売上高は2020年まで3,800億~4,700億円ほどで推移してきたが、同年以降は増加傾向。2023年には過去最高となる売上高5,560億円に急増*1。営業利益は240億~530億円ほどで推移してきたが、2022年には過去最高となる683億円に到達。
*1:2023年の業績好調の理由は、①主要顧客の自動車メーカーの積極的な設備投資による産業用ロボット需要の増加、②世界的な原材料価格の高騰を受けた価格改定、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

安川電機は、モーションコントロール事業(ACサーボモータ・リニアモータ・マシンコントローラ・汎用インバータなど)、ロボット事業(溶接ロボット・塗装ロボット・ハンドリングロボット・FAシステムなど)、システムエンジニアリング事業(電機システム・風力発電用コンバータ・発電機・船舶向け電装品)、その他事業(物流サービス)の4事業を有する。
当社は産業用ロボットのイメージが強いが、売上高・利益いずれもモーションコントロール事業が構成比において最大を占める。ACサーボモータはあらゆる産業の工場ラインに不可欠な装置であるため市場規模が大きく、当社の業績を支える重要事業となっている。

✔最終利益と利益率

安川電機の純利益は380億~510億円ほどで推移しているが、2016年・2019年・2020年のみ急減している*2。2022年には純利益518億円に到達して過去最高を更新。営業利益率は長期的に7%~12%ほどで推移しており、製造業としては高め。
*2:当社は主要製品がいずれも企業の設備投資に依存するため、製造業の投資意欲が減退すると業績を落とす。2016年は米中貿易摩擦の深刻化、2019年・2020年はCOVID-19感染拡大が設備投資意欲を後退させたことが痛手となった。

✔自己資本比率と純資産

安川電機の自己資本比率は長期的に50%前後の水準で推移しており、かなりの高水準を維持。景気後退期の受注減にも耐えられるだけの財務基盤を確保できている。純資産は過去8年間でほぼ倍増しており、直近の2023年には純資産4,080億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

安川電機の平均年収は760万~880万円ほどの水準で推移しており、最大手メーカーにも肉薄する給与水準。総合職であれば30歳で550万円~650万円ほど*3、課長職レベルであれば1,100万~1,250万円に達する。ただし、給与に占める賞与比率が高めであるため、業績悪化した年度は平均年収が下がりやすい。
*3:当社の場合は30歳時点ではまだ一度の昇格をしただけの段階であるため、給与水準は高くない。35歳頃になると給与水準は800万円ほどまで上がる。

✔従業員数と勤続年数

安川電機の単体従業員数は2020年に3,300人規模まで増加したが、同年以降はやや減少傾向。直近では3,180人ほどの組織体制となっている。平均勤続年数は直近で18.6年とかなり長く、大手電機メーカー・大手自動車メーカーを凌ぐ水準。

総合評価

企業格付け:BBB

■業績動向
景気動向に左右されやすい。主力製品の産業用ロボット・ACサーボモータはいずれも製造業の設備投資に依存するため、景気後退局面では業績を落としがち。が、もともとの利益率が高いために多少の景気後退であれば黒字着地できるのは強み。最後に最終赤字に転落したのはリーマンショック直後の決算であり、過去10年以上に渡って赤字転落はない。

■財務体質
良好。景気動向に業績を左右されやすいビジネスモデルもあって、財務健全化には相当に気を払っている。自己資本比率は長年に渡って50%を下回らずに推移しており、負債に依存しすぎない事業展開ができている。製造業としては高い利益率を長らく維持できているため、一時的な業績悪化であれば早々に建て直せる点も強み。

■ビジネス動向
新たな産業革命を目指して「i³-Mechatronics(アイキューブメカトロニクス)」を掲げる。 具体的には、①製造装置の生産データを可視化してIT層へとつなぐ、②データ分析・解析によって稼働設備の生産性向上や品質安定を実現する。顧客企業の生産ラインのスマート工場化に貢献することで、更なる付加価値向上を目指す。

就職格付け:BB

■給与水準
大手メーカーに引けを取らないが、賞与比率が高いために変動大。業績好調ならば平均年収850万円を優に上回るが、業績悪化すると平均年収740万円まで後退する。年功序列色が強いため、総合職の場合でも若手社員の昇給スピードが遅め。30歳600万円、35歳800万円を目安に考えておきたい。課長職になれば年収1,000万円を優に超えるが、誰でもなれるわけではない。

■福利厚生
優良。家賃補助制度・借上げ社宅制度いずれも整っており、住宅補助が手厚い。若手社員なら2万円/月ほどで独身寮に入れるため恩恵大。老舗メーカーには珍しく、独身寮には新築物件も多いため居住環境もよい。主要拠点は北九州・埼玉・茨城に集中しており、都市部から遠すぎず居住コストも程よく安く済むバランスの良さも魅力。

■キャリア
職種別採用。入社後は営業・開発・コーポレートなどの各部門での勤務が続く。希望すれば他職種への転換もあるが、基本的には入社部門でプロフェッショナルを目指す。年功序列色が強く、管理職への昇格は40歳前後。よく言えば育成に時間を掛けるが、有能な社員でも出世スピードには限界がある。

■一般知名度・世間体
産業界・株式市場では有名企業であるが、産業用機器に特化した事業展開ゆえに一般知名度はかなり低い。地盤の北九州エリアであれば高い地元評価を獲得している名門企業であるが、同エリア以外では知名度は微妙。逆を言えば、かなりの高待遇企業にも関わらず倍率はそれほど高くならないため狙い目。

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出典:株式会社安川電機(有価証券報告書)