企業概要
堀場製作所は、エンジン排ガス測定装置・半導体異物検査装置・免疫測定装置などを主力とする計測機器メーカー。1945年に京都帝国大学理学部に在学していた堀場雅夫が物理研究所として設立。1959年には日立製作所と技術提携、1960年代に自動車排ガス測定装置を事業化した。1980年代には半導体分野と医用分野へと進出、事業多角化を果たした。現在では自動車排ガス測定装置で世界シェア80%を席巻、半導体製造工程向けマスフローコントローラでも世界シェア60%を誇る。
・京都地盤の計測機器メーカー、エンジン排ガス測定装置で世界シェア80%
・売上高・利益は成長が続く、半導体業界向け製品が利益の柱
・平均年収692万円で福利厚生も普通、ベンチャー気質が色濃い社風
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:61(中堅)
上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼなく、良好な人生を送ることができる可能性が高いだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:やや難関
総合職の採用数は年間25名〜35名と企業規模なり。一般知名度は極めて低いが、計測機器メーカーとしては上位企業だけあって選考倍率はそれなりに高い。
採用大学:【国公立】大阪大学・神戸大学・金沢大学・静岡大学・富山大学・鳥取大学・東京農工大学・名古屋工業大学など、【私立】早稲田大学・関西学院大学・関西大学・立命館大学・学習院大学・日本大学・名城大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
堀場製作所の売上高は長期的な増加傾向が続いており、2023年には過去最高となる2,905億円に到達*1。営業利益も売上高と比例して増加しており、2023年に過去最高となる472億円に到達している*2。
*1:当社の売上高が増加している理由は、①世界的な自動車排ガス規制強化によるエンジン排ガス測定装置の需要拡大、②生成AI・データセンター投資による半導体業界向け製品の販売拡大、③為替レートの円安推移による為替効果、など。
*2:当社の営業利益が拡大している理由は、高利益率な半導体業界向け製品の販売好調が主要因。他方で、自動車分野や医用分野の製品は利益が低迷しており、半導体分野に利益を大きく依存する状況にある。
✔セグメント別の状況
堀場製作所は、自動車事業(エンジン排ガス測定装置、エンジン・ブレーキテストシステム、バッテリー試験装置など)、環境・プロセス事業(水質計測装置・大気汚染監視用分析装置・環境放射線測定器など)、医用事業(血球計数装置・免疫測定装置・血糖値検査装置など)、半導体事業(マスフローコントローラー・半導体異物検査装置・薬液濃度モニターなど)、科学事業(蛍光X線分析装置・元素分析装置・水質計測装置など)、の5事業を有する。
当社は自動車排ガス測定装置における世界最大手として知られるが、現在では売上高・利益いずれも半導体事業が最大を占める。利益面では、全社利益の約86%を半導体事業が占めており、今や利益の大半を同事業に依存する状況にある。
✔最終利益と利益率
堀場製作所の純利益は緩やかな増加傾向が続いており、2023年に過去最高となる403億円に到達。営業利益率は長期的に10%〜14%で推移しており、計測機器メーカーとしては上位級の高利益率を誇る*3。
*3:半導体事業が営業利益率35.9%(2023年)と傑出するが、他事業の利益率は低い。自動車事業は営業利益率1.49%(2023年)、医用事業は営業利益率1.96%(2023年)に留まる(参考リンク)。
✔自己資本比率と純資産
堀場製作所の自己資本比率は長期的に55%〜65%ほどの高水準で推移している。安定した利益体質を加味すれば、財務体質は十分に良好である。純資産は増加傾向が長年に渡って継続しており、2023年に2,837億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
堀場製作所の平均年収は長期的に600万〜690万円ほどで安定的に推移。総合職の30歳で年収450万〜490万円ほど、課長職レベルで年収850万〜950万円ほど。賞与比率が高いため業績が不調だと平均年収600万円ラベルまで落ち込む。
✔従業員数と勤続年数
堀場製作所の単体従業員数は1,500人〜1,700人レベルで推移しており、直近の2023年は1,510人ほどの組織体制。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は8,600人ほど。平均勤続年数は直近でも15.9年と大手企業の標準的な水準に留まる。
総合評価
企業格付け:CCC
京都本社の計測機器メーカーであり、同じく京都企業の京セラ・島津製作所・オムロン・ニデックはなどには規模感・知名度で及ばないが、やはり京都を代表する企業の一角として知られる。とりわけエンジン排ガス測定装置では世界シェア80%を掌握しており、米国環境保護局に正式採用されるなどデファクトスタンダードに近い盤石の地位を築いている。業績においては長期的な成長が続いており、2023年には過去最高となる売上高・利益を更新。とりわけ当社の成長を牽引しているのは半導体事業であり、マスフローコントローラーや薬液濃度モニターの販売が好調。半導体事業の営業利益率は35.9%(2023年)と傑出しており、当社のドル箱事業となっている。が、当社の課題は半導体事業以外の不調であり、自動車事業は営業利益率1.49%(2023年)、医用事業は営業利益率1.96%(2023年)に留まる。今や全社利益の約86%を半導体事業で稼いでおり、同事業が不調に陥った場合にはかなりの減益リスクがある。財務体質においては実質無借金経営を維持しており、相当に優良。
就職格付け:CCC
終戦直後に京都帝国大学理学部に在学していた堀場雅夫が立ち上げた学生ベンチャー企業。現在においては東京証券取引所プライム市場に上場する大企業であるが、その気風は今なお残されており、社是は「おもしろおかしく」、この社是を実践する社員を「ホリバリアン」と呼称するユニークな社風(参考リンク)。毎月、同月に誕生日を迎える従業員の誕生日パーティーが役員の主催で開催されており、役員が従業員と直接交流する文化が創業当時から続いている(参考リンク)。給与水準においては平均年収600万〜690万円ほどで横ばい。実際には総合職の30歳で年収450万〜490万円ほど、課長職レベルで年収850万〜950万円ほどが目安となる。事業内容や利益率からすると、やや薄給の感は拭えないか。福利厚生もそれほど恵まれず、入社3年間に限っては独身寮または家賃補助が適用されるが、独身者に限られる。業績や財務では明らかな優良企業であるが、従業員の待遇については並の域をでないのが惜しいところ。