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【勝ち組?】参天製薬の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

参天製薬は、眼科向け・一般向けの目薬・眼科薬・点眼薬などを製造販売する製薬メーカー。1890年に田口謙吉が大阪府で創業した田口参天堂が源流企業。創業当時は風邪薬を主力としたが、1899年に眼科薬を開発してからは眼科薬・点眼薬へと転換。現在では眼科領域では国内首位を独走、アイリーア・アレジオン・ジクアスなどを主力製品とする。2014年には米製薬大手メルクから眼科医薬品事業を買収、2015年には抗リウマチ薬事業を譲渡。眼科領域に強い製薬メーカーとしての選択と集中を加速。

POINT

・眼科領域で日系製薬メーカーとして断トツ首位、海外売上高比率35%
・売上高は右肩上がりだが利益は伸び悩む、無借金経営で財務堅実
・平均年収882万円で業界中位級、借上げ社宅制度が手厚い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:67(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用数は年間10名~30名ほど。製薬メーカーとしては一般知名度もそこそこ高く、恵まれた待遇から一定以上の人気がある。大阪企業ゆえに関西圏の出身者からの応募が多い。
採用大学:【国公立】大阪大学・名古屋大学・東北大学・筑波大学・広島大学・熊本大学・三重大学など、【私立】慶応義塾大学・上智大学・国際基督教大学・立教大学・法政大学・近畿大学・中京大学・帝京大学・京都薬科大学・同志社女子大学・神戸女学院大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

参天製薬の売上高は長期的な成長が継続しており、直近では売上高3,019億円に到達した*1。営業利益は2022年には営業赤字に転落*2したが、2023年には385億円に回復した。
*1:当社の売上高が長期的に成長している理由は、①角結膜疾患点眼薬ジクアス・抗アレルギー点眼剤アレジオン・滲出性AMD阻害剤アイリーアの販売好調、②海外における事業拡大、など。
*2:2022年に営業赤字に転落した理由は、①2020年に再参入した米国事業における損失拡大、②後発医薬品との競合激化、③経営陣が突然辞任するなどの混乱(参考リンク)、など。

✔セグメント別の状況

参天製薬は、医療用医薬品事業(ジクアス・ヒアレイン・アレジオン・アイリーアなど)、一般用医薬品事業(サンテFXシリーズ・ソフトサンティアシリーズなど)、医療機器事業(レンティスコンフォート・プリザーフロなど)、その他事業、の4事業を有する。
当社はドラッグストア等で販売されている目薬のイメージが強いが、実際には医療用医薬品が売上高の90%以上を占める。売上高の約42%を海外事業が占めるが、主力は中国地域やアジア地域など。かつて撤退した米国市場に2020年に再参入するも、2022年には損失を計上して再撤退準備中。が、2026年に3度目の参入を目指している(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

参天製薬の純利益は、売上高の成長に反して2017年の352億円をピークに苦戦傾向が続いている。2022年には純損失149億円を計上*3。営業利益率は年度により好不況が分かれており、あまり安定しない。好調時には営業利益率16~19%ほどと高利益率だが、不調時にはマイナス圏に沈む。
*3:2022年の最終赤字の理由は、米国事業における約300億円の減損損失が理由。2020年に買収した眼科薬メーカーの米・アイバンス社において薬事承認の取得が遅れ、思い描いていた黒字化の道筋が立たなかった。

✔自己資本比率と純資産

参天製薬の自己資本比率は70%~76%の高水準で長期的に推移している。有利子負債が殆どない無借金経営を達成しており、財務の健全性は傑出している。純資産は2018年から2,900億~3,300億円で横ばいが続いており、方向感が定まらない。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

参天製薬の平均年収は2021年から増加傾向にあり、2022年には901万円にまで増加*4。総合職は30歳で年収700万〜800万円ほど、課長職レベルで1,100万〜1,350万円ほど。中堅製薬メーカーとしては優良な給与水準である。平均年齢は直近で43.9歳とこちらも標準的な水準。
*4:2021年から平均年収が上昇した理由は、家族手当・住宅手当などが廃止され、ベース給与が引き上げられた事情による。

✔従業員数と勤続年数

参天製薬の単体従業員数は2020年をピークに減少傾向にあり、直近の2023年は1,676人となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3,700人ほど。平均勤続年数は16.7年と大手メーカーに勝るとも劣らない勤続期間である。

総合評価

企業格付け:BBB

在阪大手製薬メーカーの代表格の一社、眼科領域に特化した事業運営により日本国内では眼科領域で断トツ首位。最主力製品は『滲出性AMD阻害剤アイリーア』『抗アレルギー点眼剤アレジオン』であり、これらの2製品で売上高の約48%(2023年)を稼いでいる。業績は売上高こそ右肩上がりで推移しているが、過度な拡大戦略が祟って利益は伸び悩んでいる状況。とりわけ2020年に再進出を果たした米国事業の失敗により、2022年には減損損失300億円を計上するなど辛い状況が続く。米国への再参入を主導した経営陣が辞任したことで経営体制は一新されたが、次の成長ストーリーをどう描くのかが問われる局面。最主力のアイリーアの特許切れも迫っており、後発医薬品との競争激化も予想される。幸か不幸か、中国事業はそれなりに好調であるため、中国事業へのテコ入れも模索中。2023年には事業撤退を進めている筈の米国事業に再々参入する意欲を示すなど、経営が迷走している印象は拭えないか(参考リンク)。

就職格付け:BBB

小野薬品工業ロート製薬小林製薬などと並ぶ、在阪中堅製薬メーカーの1社。創業130年以上に及ぶ老舗であり、1890年に発売した大学目薬は今なお継続販売される100年以上のロングセラー商品である(参考リンク)。給与水準は中堅製薬メーカーとしては恵まれており、平均年収800万円以上をキープ。2022年には平均年収901万円までの向上を果たしている…が、これは2021年から家族手当・住宅手当などが廃止されてベース給与が引き上げられた事情による。MR職の場合には営業日当が支給される為、手取額が更に充当される。福利厚生も充実しており、家賃補助制度・住宅手当はないが、借上げ社宅制度が入社後10年間に渡って適用されるのは魅力(参考リンク)。上限額内なら月1.8万円で住むことができる上、転勤を経験すれば適用期間が10年間の延長となるため、金銭的なメリットはかなり大きいだろう。

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出典:参天製薬株式会社(有価証券報告書)