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【勝ち組?】博報堂の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

博報堂DYホールディングスは、テレビ広告・デジタル広告などあらゆる広告宣伝に関わる統合マーケティングソリューションを提供する大手広告代理店。1895年に瀬木博尚が広告取次店として創業、日本広告業界の創成期から業界を牽引してきた。2003年に同業の大広・読売広告社と経営統合、博報堂DYホールディングスとして再編。業界首位の電通グループに続く第2勢力を形成したことで”電博”と称される業界の双璧となった。主要子会社には、中核企業の博報堂・大広・読売広告社に加えて合併3社のメディア部門を統合した博報堂DYメディアパートナーズなどがある。

POINT

・電通グループと双璧を為す大手広告代理店、国内依存度が高め
・売上高・利益いずれも安定的だが成長性は薄い、財務体質は凡庸
・平均年収は1,275万円、30歳・年収850~1,000万円だが福利厚生は凡庸

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:77(最高峰)

日本企業における最高峰クラスのキャリアであり、誰もが勝ち組として認めるレベルの待遇・名声が得られる。入社するためには人並み外れた能力・努力は当然、運も必要である。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:最難関級

総合職の採用数は年間130人~180人と電通グループよりも多いが、広告業界の人気企業だけあって倍率は極めて高い。大卒総合職はトップレベル大学の出身者大多数であり、極めて狭き門。
採用大学:【国公立】東京大学・一橋大学・大阪大学・東北大学・名古屋大学・筑波大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・立教大学など(出典:大学通信ONLINE

業績動向

✔売上高と営業利益

博報堂DYホールディングスの売上高は2019年まで1.2兆~1.5兆円レベルでの推移が続いてきたが、2021年以降は0.9億円レベルまで低下している*1。営業利益は2021年に過去最高となる716億円を記録したが、2023年は342億円まで後退している*2。
*1:2021年以降の売上高の急減少は会計基準の変更が主要因。2020年3月31日から収益認識に関する会計基準が新たに適用され、同基準に従ったことが変化点(参考リンク)。
*2:2023年に減益となった理由は、①国内外の景気減速によるマーケティング・プロモーション分野の受注減少、②当社が得意とする4大マスメディア(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ)の広告需要の停滞、など。

✔セグメント別の状況

博報堂DYホールディングスは、国内事業(国内向けの広告・マーケティング・コンテンツビジネスなど)、海外事業(海外向けの広告・マーケティング・コンテンツビジネスなど)、の2事業を有する。
当社は売上高の約74%を国内事業で稼いでおり、電通グループ(海外売上高比率60%)とは対極的に国内型の事業展開となっている。売上高の約62%をメディア広告で稼いでおり、残りの約38%をクリエイティブ・マーケティングなどの周辺領域で稼いでいる。

✔最終利益と利益率

博報堂DYホールディングスの純利益は250億~550億円のレンジで安定的に推移。2021年には過去最高となる純利益551億円を記録した*3。営業利益率は3~8%ほどでの推移が定着しており、電通グループと比べると利益率は見劣りするほか、世間が思うほどの高利益率でもない。
*3:2021年はCOVID-19感染拡大の落ち着きから広告需要が回復、東京五輪関連業務でマーケティング・プロモーションが急増したことで利益率が高まった。投資有価証券として保有していたメルカリ株式の売却による特別利益126億円も貢献。

✔自己資本比率と純資産

博報堂DYホールディングスの自己資本比率は2017年までは40%台で推移してきたが、2018年からは30%台へと後退している。利益創出力が安定している為、財務健全性には然程の問題はない。純資産は2020年から緩やかな増加傾向にあり、2023年には4,092億円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

博報堂DYホールディングスの平均年収は1,157万円(2023年)と高水準だが、これは持株会社の149名のみの平均年収。中核企業の博報堂の大卒総合職は30歳前後で年収850万~1,000万円ほどだが、他の傘下企業の平均年収は30歳前後で500万~800万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

博報堂DYホールディングスの従業員数は直近で149人に過ぎず、従業員の殆どは事業会社に属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.88万人ほど。平均勤続年数は11.1年(2023年)と長くはないが、これは持株会社の149名のみの平均勤続年数である点には注意が必要。

総合評価

企業格付け:AA

日本の広告業界において電通グループと双璧を為す大手企業であり、広告業界では”電博”と称される2大グループを形成。2003年に博報堂を中核としつつ、同業大手の大広・読売広告社が経営統合することで規模拡大、業界首位の電通グループとの距離を一気に縮めた経緯がある。…が、2000年代以降に電通グループが海外市場における積極M&Aで規模を更に拡大したことで再び大きく引き離されつつある状況。業績においても売上高・利益いずれも頭打ち感が強く、成長性には欠ける。当社は売上高の約74%(2024年)を国内事業に依存するため市場は飽和気味、広告業界は旧来型メディア広告からネット広告への急シフトが進展していることも痛手。営業利益率をみても3.62%(2024年)と、世間が思うような高利益企業ではまったくない。財務体質においては自己資本比率37.2%(2024年)と凡庸であり、特筆すべき調書には欠けるだろうか。今なお広告業界の大手企業ではあるものの、将来的な成長に向けた打開策が見えないのは辛い。

就職格付け:AA

マーケティング・クリエイティブといった華々しいイメージがある広告代理店業界で第2位の存在であることから、就職最難関企業の1社。給与水準においては平均年収1,157万円(2024年)と高いが、これはあくまで持株会社の従業員に限定した数字に過ぎない。中核企業にあたる博報堂であれば総合職・30歳で年収850万~1,000万円ほどに到達するが、他の傘下企業(中広・読売広告社・博報堂DYメディアパートナーズなど)の平均年収は30歳前後で500万~800万円が目安となるだろう。広告代理店業界はいずれも長時間労働が基本であるが、どの事業会社においても20代のうちに裁量労働制へ移行するため労働時間の割に給与の伸びは悪い。福利厚生においても凡庸であり、家賃補助制度や独身寮はないのは痛い(支社への赴任時のみ家賃補助されるケースもある)。新卒採用の場合はインターンシップ参加者の中でも優秀な学生には採用優遇枠が付与されるため、本気で入社を目指すのであればインターンシップへの参加は必須。

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出典:株式会社博報堂DYホールディングス(有価証券報告書)