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【勝ち組?】伊藤ハムの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

伊藤ハム米久ホールディングスは、ハム・ソーセージ・加工食品などを主力とする大手食品メーカー。1928年に伊藤傳三がソーセージ工場として創業、1934年にはセロハンウインナーを開発、低価格化によって事業拡大。1958年にはプレスハムを大量生産化、日本国内におけるハムの大衆化に貢献を果たした。1998年には熟成技術を結集した『アルトバイエルン』を発売、大ヒットを記録した。2017年にはニュージーランド・アンズコフーズ社を買収、世界80ヵ国以上に同国産の牛肉・羊肉を輸出している。2019年には同業の米久と経営統合、日本ハムに続く業界2位の地位を固めた。

POINT

・食肉業界2位の大手食品メーカー、ハム類に加えて冷蔵食品にも強い
・売上高・利益いずれも横ばい傾向で安定性は強い、財務体質は健全
・総合職・30歳で年収540万円~が目安、ハムの社割制度もあり

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:64(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用人数は年間65人~70人ほど。食品業界の著名メーカーかつ一般知名度も高いために選考倍率は高め。ただし総合職の出身大学はハイレベル大学から中堅大学まで幅広め。
採用大学:【国公立】大阪大学・名古屋大学・神戸大学・広島大学・滋賀大学・鹿児島大学・岩手大学・大阪公立大学・釧路公立大学・東京農工大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・法政大学・同志社大学・関西大学・日本大学・南山大学・専修大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

伊藤ハム米久ホールディングスの売上高は2021年まで8,300億~8,500億円ほどで推移していたが、同年以降は増加傾向。2024年には過去最高となる売上高9,887億円に到達している。営業利益は140億~245億円ほどで横ばいが続いている。
*1:2022年から売上高が増加している理由は、①世界的な食肉価格の上昇による増収効果、②世界的な原材料価格の高騰をうけた加工食品の値上げによる増収効果、など。

✔セグメント別の状況

伊藤ハム米久ホールディングスは、加工食品事業(ハム・ソーセージ・調理加工食品の製造・販売など)、食肉事業(食肉の生産・加工・販売など)、その他事業(人事給与業務サービスなど)、の3事業を有する。
当社は食肉事業が売上高の約59%を占めており、食肉生産・販売が最大事業となっている。食肉事業においては牛・豚・鶏いずれも国内シェア10%以上を掌握しており、食肉生産~販売までのサプライチェーン全域を掌握している。加工食品事業ではハム・ソーセージで国内シェア20%を掌握する他、ピザ・スナック分野では国内シェア30%以上を掌握。

✔最終利益と利益率

伊藤ハム米久ホールディングスの純利益は105億〜200億円ほどでの横ばいが続いている。営業利益率は1%〜2%ほどで推移しており、食品業界としても低めの水準に留まっている。

✔自己資本比率と純資産

伊藤ハム米久ホールディングスの自己資本比率は56%~63%ほどで横ばいの推移が続いている。負債に依存しすぎない事業運営ができており、安定的な利益体質を加味すれば財務体質は良好である。純資産は緩やかな増加傾向が続いており、2024年は2,863億円となっている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

伊藤ハム米久ホールディングスの平均年収は2016年から減少傾向がみられるが、当社は持株会社制のため参考にならない*2。大卒総合職の場合、30歳で年収540万~630万円ほど、課長職レベルで年収950万~1,050万円が目安。平均年齢は42.1歳(2023年)と大企業の標準的な水準。
*2:当社の平均年収は持株会社の単体従業員のみの平均年収であるが、持株会社の従業員数が過去8年間で87人~916人で乱高下している事情がある。平均年収の算出母体が年度により大きく変わっているため、傾向を読み解くことができない。

✔従業員数と勤続年数

伊藤ハム米久ホールディングスの単体従業員数は882人(2023年)となっており、従業員の殆どは事業会社に属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は8,120人ほど。平均勤続年数は16.5年(2023年)だが、これは持株会社の従業員のみの平均勤続年数であるため参考にならない。

総合評価

企業格付け:B

2015年に食肉業界2位の伊藤ハムと同業界7位の米久が合併して誕生した大手食品メーカー。この合併により、当社は業界首位の日本ハムに続く業界2位の地位を盤石とし、業界3位を突き放すことに成功。現在では食肉生産〜加工〜販売までの強固なサプライチェーンを構築すると共に、ソーセージや冷凍食品においても高シェアを確立している。業績においては売上高こそ微増傾向がみられるが、営業利益・純利益は過去8年間に渡って大きな変動はない。よく言えば安定性が高いが、悪く言えば成長性が薄い。当社は海外売上高比率が10%台に過ぎないため、日本国内の少子高齢化・人口減少が逆風となっている事情はある。財務体質においては自己資本比率61.1%(2024年)と負債に依存しすぎない事業運営ができており、特段の不安要素はない。将来に向けた中期経営計画においては、①関東・関西における工場再編によるコスト体質の改善、②積極的M&Aによる事業ドメイン・海外市場における事業拡大、を目指すとしている(参考リンク)。

就職格付け:B

日本ハムに続く食肉業界の巨人。代表的製品としてはソーセージ『アルトバイエルン』や冷蔵ピザ『ピザガーデン』などがあり、日本人ならば当社製品を何度も口にしているであろう企業。給与水準においては平均年収715万円(2024年)と食品メーカーとしては上位級。ただし、当社は持株会社制であるため、事業会社に属する総合職については30歳で年収540万~630万円ほど、課長職レベルで年収950万~1,050万円が目安となるだろう。福利厚生においては企業規模なりの水準にあり、独身社員向けの借上げ社宅制度では27歳まで1.5万円/月・28〜30歳は2万円/月の自己負担で済む(かつては独身寮が存在したが、現在では廃止されて借上げ社宅制度に一本化されている)。自社製品の従業員向け割引制度も存在しており、お歳暮向けハム・ソーセージなどを割引価格で入手することもできる。

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出典:伊藤ハム米久ホールディングス株式会社(有価証券報告書)